【永久保存版】失敗しない新作ゲーム企画の考え方と書き方チェックリスト9項目
こんにちはトロネコです。
新作ゲームの企画書を書くとき
企画書をもとにゲーム開発に着手するとき
誰もがそのゲームタイトルが成功すると信じて疑いません。
しかし、実際のところ、多くのゲームは市場で戦うだけの戦闘力を持たず開発、発売、配信され、失敗します。
もしくは日の目を見ることなく、開発途中でプロジェクト中止になってしまいます。
そんな悲しい結末にならないようにするためにはどうすればいいか?
トロネコは長年考えてきました。
その結果、導き出したの解決策が今回紹介するマーケティング視点で作成した
「新作ゲームを企画開発する時のチェックリスト」です。
一番最初のペラ1枚のゲーム企画を書くとき
それを元にゲーム開発に着手するとき
今回紹介するチェックリストが網羅され、考え抜かれているか?
たったそれだけで、皆さんのプロジェクトの成功確率はアップします。
今回のチェックリストは次の9つの項目から構成されています。
・市場規模
・自社把握
・競合タイトル
・ターゲット市場
・ゲームの面白さ
・競合タイトル
・リソース
・ビジネス視点
当サイトを読んでいる人なら、もう気づいているかもしれません。
これら項目は、いわゆるマーケティング戦略策定にかなり近い内容になっています。
つまりゲーム企画開発段階から、完璧なものではなくてもいいので、マーケティング戦略的なものが必要なのです。
ぜひゲーム事業の参考にしてくださいね。
市場環境チェックリスト
①市場規模
企画しようとしているゲームは次のような掛け算になります。
新作ゲーム = ゲームジャンル × コンセプト × ゲームシステム(コアの遊び)
ゲームジャンルを選んだ時点で、そのジャンルを好むユーザーの母数=市場規模が決まります。
コンセプト、ゲームシステムを決めた時点で、さらにそのゲームジャンルの中で、ユーザーの嗜好性が絞られます。
つまり新しいゲームの企画を立てた瞬間でビジネスとしての市場規模が決まります。
1億円の市場なのか?
10億円の市場なのか? 100億円の市場なのか? |
大体決まります。
今作ろうとしているゲーム企画は、みなさんが期待しているビジネス規模のイメージと一致しますか?
とりあえず企画を100本あげろ!
そして10本開発して発売するぞ!
みたいなミッションが上から出ることはありませんか?
その結果、現場は必死になって企画を考えます。
面白いゲーム企画 ≠ 市場があるとは限らない
当たり前のことなのですが、ここを理解せず、ただ面白いゲームの企画をあげる事に注力している人も多いのです。
あなたにとって面白い企画であっても、世の中で共感してくれる人が少なければ事業として成立しませんし、あなたにとって面白い企画は、ただの独りよがりに過ぎません。
ゲーム事業はビジネスです。
ですから、市場が存在するか?ビジネスが成立するほどの市場規模があるのか?
最初のボタンの掛け違いで、そのプロジェクトの未来はかなり決まってしまいます。
②自社把握
市場規模、ターゲット市場が決まったら、自社把握をします。
ドラクエを作りたい!ファイナルファンタジーを作りたい!
といっても、作れる開発力、経験、資金やリソースがなければ、ただの妄想に過ぎません。
(そもそも、ドラクエも、ファイナルファンタジーも簡単に作れるものではありません)
自社の開発力で現実的に何が作れるのか?
RPGが得意なのか?パズルゲームならライバルに負けないのか?
開発費、開発期間はどのくらいかけられるのか?
冷静になって自社分析をしてみてください。
その結果、自分たちがターゲット市場で勝利するために何ができるのか?
考えてみてください。
多くの現場は、自分たちが何者であるのか?自己把握ができていません。
夢を語って、夢をみることは否定しません
しかし、現実に直視し、自分たちの力を過信しないことも重要です。
ピアノが弾けないのに世界的なピアノのコンクールに出場するのは無謀ですよね?
その前にピアノが弾けるように練習して、小さなコンクールで腕試しして・・・・
といったようにプロセスが必要です。
最終的に世界No1のゲーム会社を目指すという目標は否定しません。
でもそこに到達するまでのプロセスを考えましょう。
自分たちの力量を知って、上を目指すプロセスを考えること=自社把握をすること
なのです。
③競合タイトル
現在のゲーム業界はかなり成熟しています。
ホワイトスペース=誰も気づいていない未知なる市場
なんてものは、ほぼ存在せず、あらゆるゲームジャンル、セグメントには何かしらの成功者が存在します。
仮に運よく誰も気づいていない「ホワイトスペース」を発見したとしても
すぐにその場所に他社が乗り込んできて競争が生まれます。
あっという間にです。
新作ゲームを企画開発して発売するということは、
何かしらの競合タイトルが存在し
それらタイトルとユーザーを奪う必要があります。
皆さんにとっての競合タイトルは何か?
実は多くの失敗するゲームは、自分たちが戦う相手が誰なのかわかっていません。
ゲーム視点チェックリスト
④ターゲット市場(=ターゲットユーザー)
市場環境のチェックリストを経て、戦う場所と相手が明確になってきましたよね。
例えばシューティングゲームというジャンルを選択した場合、シューティングゲーム市場全体が戦う場所ではなく、さらにその中で細分化された戦場で戦うことになります。
新作ゲーム = ゲームジャンル × コンセプト × ゲームシステム(コアの遊び)
という話をしましたが
この組み合わせは無限に存在するため
この段階で、この新作ゲームはどこで戦うために作っているのか?
明確になっていないと、その後出来上がったゲームが「ふんわりした曖昧なゲーム」になってしまいます。
どこかでみたことがあって、パクリっぽくて
既視感があって
それを選ぶ必要がないゲーム
はそううやって生まれます。
そして戦いにならず、すぐに退場させられてしまうのです。
うまくいくゲームは、最初の企画段階で戦う場所、戦う相手が明確になっています。
ターゲットユーザーが
30代、男性、会社員、アニメ好き
といった粒度で設定しているゲームタイトルもよく見かけますが、これではほぼターゲット設定していないのと同じです。
⑤ゲームの面白さ(そのゲームの根っこにある遊びの楽しさは?)
ゲームの面白さとは
そのゲームにおける「コアな遊び体験」です。
コアな遊び体験=ゲームの面白さの本質なので、例えば対戦ゲームとして面白いゲームシステムは、どんなモチーフでガワガエしても「対戦ゲームとしての面白さ」は変わりません。
美少女 × 対戦ゲーム
ヤンキー × 対戦ゲーム
ファンタジー × 対戦ゲーム
どんな組み合わせをしても対戦ゲームとしての「コアな遊び体験」は変わりません。
よって、いきなり新作ゲーム開発をするのではなく
基礎研究として対戦ゲームとしての「骨組みになるコア部分」を徹底的に研究開発するゲーム会社もあります。
だから「ゲームの根っこにある遊び体験」って本当に重要なのですが
ここが理解できずにゲーム開発を始めてしまうと、ゲーム開発をやりながら、このゲームのコアな面白さを模索して道に迷ってしまいます。
武器、パーツ、モンスターの数、ステージ数、アイテム数・・・
そういったものはゲームのコアの面白さをさらに引き出すための脇役に過ぎません。
重要なのは
そのゲームの根っこにある面白さは何か?
時間を忘れて遊び続けてしまうゲームとしての面白さは何か?
ここを見失ってしまうと、ゲーム事業はうまくいきません。
皆さんが企画開発中の新作ゲームですが
その新作ゲームの「楽しさ・遊びの根っこ」って何ですか?
シンプルに説明できますか?
⑥競合タイトル(自社タイトルとユーザーを奪い合う他社競合タイトルは?勝ち目はあるのか?)
現在のゲーム業界はかなり成熟している・・・という話をしましたが
みなさんの新作タイトルが成功すれば、その裏では競合する他社のゲームタイトルのユーザーを奪っていることになります。
皆さんの新作ゲームが成功したら
その裏で売上が激減して、ひっそりとサービス終了に追い込まれるゲームも存在するというわけです。
現在のゲーム市場はユーザーの奪い合い状態です。
全くのホワイトスポットが存在して、未知なる油田を掘り当てるようなことは、ほぼ不可能なのです。
そう考えていくと
みなさんの開発している新作ゲームの競合タイトルは何ですか?
競合タイトルに対して勝ち目はありますか?
競合タイトルに対して皆さんのゲームはどの部分が武器になりますか?優れていますか?
実際にあなた自身はユーザー目線で見た場合どう思いますか?
勝ち目のない相手と、勝ち目がないゲーム内容で戦いを挑んでも100%負けます。
勝ち目がないなら勝てるように準備するか
もしくは、場所を変えて勝ち目がある方法で勝負をするべきです。
ビジネス視点チェックリスト
⑦リソース(自社の開発力、資金力で現実的に作れるゲームは何か?)
RPGを作ろう!シミュレーションゲームを作ろう!サッカーゲームを作ろう!
いろんな企画が出てきますが
実際のところそれって自社で開発できるのかが課題としてあります。
RPGっぽいものを開発することはできるかもしれませんが、RPGを30年作り続けているゲーム会社に勝負をかけるのは無謀な話です。
一方で自社はシミュレーションゲームなら誰にも負けない経験とノウハウを持っているなら、ゲームコンセプト次第では勝ち目があるかもしれません。
この時点でターゲット市場、競合タイトルも明確になっているはずです。
それならば、自社の開発力、資金力などを踏まえて
現実的に作れるものは何か?
明確にした上で戦いを挑むべきです。
RPGを開発した経験がないチームが、いきなりRPGを作ってもゲームのクオリティ、面白さで競合タイトルと勝負にならないでしょう。
開発費1000万円のゲームは、到底、開発費100億円のゲームと勝負になりません
ならば、何ができるのか?何をすれば戦えるのか?
そこが重要です。
⑧ビジネス視点(事業としてかけられるリスクと期待するリターンは?)
既にヒットタイトルを持っていて、内部留保がたくさんある会社なら
次のヒットがなくても、これから10年は生きていけるかもしれません。
しかし新しいゲーム会社や、ヒットタイトルがないゲーム会社はそういうわけにはいきません。
自社のゲーム事業としてかけられるリスクと、期待するリターンは何か?
当たり前のことなのですが整理できずにゲーム開発に着手してしまう現場は多いものです。
年商100億円を目指しているならば、ゲームジャンルでシューティングゲームを選んだ時点で、それは達成しないでしょう。
なぜなら市場規模が小さいからです。
年商1000億円のゲーム会社が月商1億円の新作ゲームを開発しても、それってやる価値があるの?という話になります。
一方で、年商1億円のゲーム会社なら、限られたファンだけに受け入れられるニッチなゲームジャンルでも事業として成立する方法があるでしょう。
もう少し深く掘り下げると
ゲームを企画開発することばかり見えておらず、実際にゲームが完成したら市場は限定的で、収益性の低いKPI構造であり、ビジネスとして成立しなかった・・・ということもあります。
ゲーム企画段階でビジネス視点を持てるか?
それって、結構大切なことなのです。
自分視点チェックリスト
⑨このゲームにこれからの2年をかける価値があるか?
実際、現場で働いている人の多くは日々の仕事に追われて物事を冷静に見ることができていません。
日々のタスクをこなすことで精一杯です。
よって明らかに勝ち目がないゲームタイトルを
疑うことなく売れると思って世の中に送り出していたり
わかっているのに自分を騙しながら現実を見ずに世の中に送り出したり
している人もいます。
(はい、トロネコもかつてそうでした)
上司が言ったから
社長がやれといったから
みんながうまくいくといったから
そんなことはどうでもいいんです。
皆さんは誰に忖度することなく
このゲームのためにこれからの2年を捧げる価値はありますか?
100%YES!!!!!!!
と即答できなかったら
自分でも疑問を感じているはずです。
ならば、その疑問に対して向き合ってみて、修正すべきなのです。
まとめ
今回、お話ししたチェックリストは、正直なところ多くの現場でチェックされず見落とされています。
そして、実際のところ、新作ゲーム企画をジャッジする決裁者も、このような観点で物事を判断できていないケースが非常に多いのです。
だから
新作ゲームを毎年、何タイトルもリリースするのに、なかなかヒットが生まれない
かつてヒットして収益を上げている特定のタイトルに依存して、なんとか会社を運営している
そういう状況に陥っている現場は非常に多いのです。
うまくいかないのは、多くの方がわかっているけど
でも現状を変えようとしない、変えられない・・・・
でも変えないと何も変わらない・・・・
だったら、変えませんか?
この記事が皆さんの未来を少しだけ変えることができたらトロネコは幸せです。
ということで今回はここまで!