ゲームアプリマーケティングにおいて「ペルソナ分析」の設計は必須です
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はマーケティングに詳しくない人でも一度は聞いたことがあるかも!?
「ペルソナ分析」についてお話します。
ペルソナについて話を始めようとすると
ペルソナって
アトラスから発売されているペルソナですか?
みたいな質問をよく受けるのですが、
「ジュブナイルRPGのペルソナ5のことではないですよー♪」
という決まり文句をお戻ししています。
一般的なペルソナ分析とは
まずは一般的なマーケティングにおける「ペルソナ分析」についてお話しておきましょう。
ペルソナ分析とは
・商品、サービスにおける典型的な顧客となる人物のイメージを深掘りすること
・職業、年齢、住所、年収、日々の生活など、様々なライフスタイルでその人物のイメージを深掘りすること
とされています。
例えば下記のようにペルソナ分析を行います。多くのケースでペルソナ分析といえば、このように洗い出します。
ターゲット | ペルソナ分析 |
30代男性、RPG好き、漫画好き |
35歳、山田太郎さん
会社員、システムエンジニア 家族構成、使用頻度の高いSNS 休日の過ごし方・・・ |
実際に「山田太郎さん」が世の中に存在するわけではなく、あくまでも想像上の人物になります。
なぜ、このような人物像を作り上げる必要があるのかというと
ゲーム開発のプロジェクトにはさまざまな考え、人生経験を持った、世代、性別も異なるメンバーが参加します。
このゲームを遊んでくれる人はどんな人なのか?
30代男性サラリーマン
といった情報だけではユーザーのイメージをすり合わせるのは大変です。
そこでペルソナ分析の出番になります。
ペルソナ分析で導き出した顧客イメージをチームで共有できれば、目指すべきゴールもブレずに明確になるというわけです。
「みんなの認識を合わせようよ」
という目的達成にペルソナ分析は使えるという話です。
ペルソナ分析ができれば次のようなメリットがあります。
「顧客イメージの共通化」
「顧客視点でのものづくり」 「時間の短縮」※イメージの共通化ができれば仕事も進めやすい |
また、いくつか注意点もあります。
・一度作ったら終わりではなく、都度見直し必要
・様々なレベルのメンバーでもわかりやすい表現が必要
・精度が低いと間違った方法に進んでしまうリスクあり
といった感じです。
一方で、ペルソナ分析を決めると、そこで描かれている人物像があまりにも鮮明すぎるゆえに、そのイメージに引っ張られすぎる場合があります。
ターゲット | ペルソナ分析 |
30代男性、RPG好き、漫画好き |
35歳、山田太郎さん
会社員、システムエンジニア 家族構成、使用頻度の高いSNS 休日の過ごし方・・・ |
山田太郎さんしか見えなくなってしまうリスクがあるのです。
あくまでも山田太郎さんはイメージであり、チームの目指すゴールをすり合わせるためのツールとして使うのがおすすめです。
ゲーム業界の現場では「ペルソナ分析」はほぼ活用できていません
ここからが本題です。
マーケター、調査担当、ちょっとマーケティングに詳しい人は、前パートで説明した一般的な考えに基づいて、きっと「ペルソナ分析」を作っていることでしょう。
ただし、実際のところこれら一般的なペルソナ分析は、ゲーム事業において、ほぼ役立っていません。
なぜなら、実際の現場はこんな感じだからです。
・イメージの共有ができても「ふーん」で終わってしまう
・イメージを共有して、みんな理解した状態にしても実務に活かす方法がわからない ・多くの現場では「ペルソナを作成すること」そのものが目的となっており作成して終わりである ・一度「ペルソナ」をつくったらその後、更新されない |
なぜ、活用されないのでしょうか?
トロネコは考えました。
その結果、導き出した理由は2つです。
・メンバーの中でペルソナ分析がゲーム事業に大きく役立つことが理解きないから(重要性がわからない)
・実際に役立てる方法がないから(活用方法がわからない) |
正直なところ「ペルソナ分析」は、市場調査やユーザーインタビューや、ペルソナを作る人の経験やスキルに基づいて「単体」で作られます。
ペルソナ分析は単体で活用するのではなく、ゲーム開発やマーケティング戦略と連携して初めてその価値が活かせるのですが、連携して作られていないケースがほとんどです。
当サイトでもマーケティングには、商品開発と連携した3つのプロセスがあるとお話をしてきました。
この3つのプロセスそれぞれにペルソナ分析は必要であり、かつ、ペルソナ分析の内容はフェーズによって変化していきます。
つまり、「①つくるマーケティング」に相当するゲーム企画書のペラ1枚の時点から「マーケティング戦略」と連携した「ペルソナ分析」が必要です。
しかし、多くの現場では完成したゲームを分解しただけの「後付けのペルソナ分析」であり、それがゲーム事業の成功に繋がるのか、役立つのか怪しいからです。
つまり現状は
・ペルソナ分析を作るタイミング
・それを活用する方法
この2点が「点」で存在して、他の項目と「線」で繋がっておらず、分断されているケースが多いのです。
この辺りは「ペルソナ分析」を実際に作成している担当者と話をしても「分断されている」と強く感じます。
多くの現場では調査担当、分析担当がペルソナ分析を作ったり、マーケティング担当がマーケティング資料の中でペルソナ分析をしたりしていますが、資料としてのペルソナ分析でありゲーム事業への反映が伴っていないのです。厳しい言い方をするなら、作ることが目的になっているのです。
(これはペルソナ分析だけでなく、市場調査、ユーザーインタビューとかもそうですね。マーケティングや開発からは担当者的にも、プロセス的にも分断されているケースが多いです)
ペルソナ分析は、イノベーター理論とセットで作ると効果あり
ならば、どうすれば使える「ペルソナ分析」ができるのか
これについては次の3つの方法が良いと思います。
これで完璧かというとまだ不十分ですが、現状のゲーム事業における「ペルソナ分析」の貢献度はかなり高められます。
①ゲーム企画段階、または本開発前のプロトタイプ版(試作品)のときつくる
②イノベーター理論とセットでつくる ③マーケティング戦略・施策に必ず組み込む |
①ゲーム企画段階、または本開発前のプロトタイプ版(試作品)のときつくる
ゲーム開発の段階からマーケティングは関わる必要があります。
下記の図でいうところの「①つくるマーケティング」に相当します。
なぜ、この段階からマーケティングが関わる必要があるかというと次の5つのメリットがあるからです。
①進むべき道を誤らない
②事業計画と連携してゲーム内KPIを設計できる
③ユーザー獲得に必要な機能を実装できる
④ユーザー離脱に繋がる課題を事前に解決できる
⑤戦えるゲームアプリの運用計画を設計できる
詳しくはトロネコのnoteでも解説しています。
このタイミングには必ずペルソナ分析がされており、そのゲームの顧客イメージを明確にしておく必要があります。
②イノベーター理論とセットでつくる
イノベーター理論とは商品やサービスのサイクルによって、重要なユーザーターゲットが変化していくという考え方です。
つまりゲームアプリ事業において、配信直後にインストールした1ユーザーと1年後の1ユーザーでは、同じ1ユーザーだけどユーザーの中身が異なるということになります。
下記がイノベーター理論を構成するユーザーですが、各セグメントにおいてユーザーの属性がガラっと変わるのです。
ここに気づけると、各セグメントごと=ゲームのプロダクトフェーズごとにペルソナ分析は連携して決める必要があるわけです。
イノベーター(革新者)2.5% | 誰よりも早く購入する。新しいもの好き、誰よりも先に手に入れたい |
アーリーアダプター(初期採用者)13.5% | 情報に敏感、自ら情報収集、良いとおもったら購入 |
アーリーマジョリティー(前期追随者)34% | 既に話題になっている商品を購入。クチコミに影響を受けやすい |
レイトマジョリティー(後期記追随者)34% | 流行には懐疑的だが周囲の半分以上が支持している「これは間違いない!」状態になると安心して行動する |
ラガード(遅滞者)16% | 保守層。新しい物に興味がない人 |
【関連記事】ゲームマーケティングに使えるイノベーター理論【キャズムがわかるとヒットも仕掛けられる】
③マーケティング戦略・施策に必ず組み込む
せっかく作ったペルソナも、活用されなければ価値がありません。
必ずマーケティング戦略や戦略から導き出された施策に、必ず組み込む必要があります。ペルソナ分析はそれ単体では全く意味がないのです。
【関連記事】ゲーム事業におけるマーケティング戦略のつくり方(フレームワークを使った立案方法)
ペルソナ分析の効果的な作り方
「ペルソナ分析」の作り方としては、いろいろあるのですが下記をおすすめします。
とりあえずマーケターやゲーム開発者の思い入れでいいので仮説でペルソナを作ってみる
↓ 仮説のペルソナを踏まえて、仮説でマーケティング戦略をつくってみる ↓ 「市場調査」や「ユーザーの個別インタビュー」でこれらの仮説を検証をする |
仮説の検証というプロセスを踏むことで、「ペルソナ分析」の精度があがります。
しかし、多くのペルソナ分析は次のような流れを踏んでいます。
「市場調査」や「ユーザーの個別インタビュー」を実施する
↓ それらをもとに「ペルソナ分析」をする |
これは非常に効率が悪く、精度も低い「ペルソナ分析」になってしまいます。なぜなら「市場調査」「ユーザーインタビュー」の際に
仮説が存在しない状態で「市場調査」「ユーザーインタビュー」を実施しているため、そこから完成したペルソナ分析に対して疑問が残るからです。
場合によっては再度ユーザーインタビューが必要になったりします。
しかし、多くのケースでコストも時間もかけられないので、不十分な「ペルソナ分析」をもとに戦略を立てていかなければなりません。
これは、非常によくない進め方です。
まとめ
ペルソナ分析について解説してみました。
ポイントをおさらいすると
・仮のペルソナをつくる
・その上で市場調査やマーケティング戦略と組み合わせてペルソナの精度を高める
・イノベーター理論と組み合わせると使えるペルソナになる
といった感じです。
ペルソナ分析についてお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひトロネコまでご相談ください。ご相談はメール、またはLINEチャットで気軽にご相談できる「トロネコのカベウチ」をご利用いただけます。
というわけで今回はここまで!