【機能訴求 VS ストーリー訴求】ゲームプロモーションの幅が広がる感情訴求マーケティング

マーケティング

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はゲーム業界では、まだあまり活用されていないプロモーションにおける「機能訴求」と「ストーリー訴求」について解説します。

同じゲームでも「機能訴求」「ストーリー訴求」によって

ターゲットユーザーに対する伝わり方が全く違うという特徴があります。

このテクニックを知っておくことで、プロモーションの表現力に幅を持たせることができますので、マーケターとしての引き出しも増やすことができます。

ぜひ、この機会に身につけてくださいね。

アップルパイの機能訴求とストーリー訴求とは

機能訴求って何?

まずは具体例をあげて「機能訴求」の基礎を解説していきましょう。

ここに美味しそうなアップルパイがあります。

このアップルパイをターゲットユーザーに売り込みたいと思った場合、機能訴求で売り込むなら次のようになります。

 

・無農薬で育てた青森産りんご、安心して食べられる

・糖度は15度以上と、平均的なりんごに糖度13度を大幅にクリア

・サクサクのパイ生地は噛みしめるたびに脳に刺激を与え老化防止にも役立つ

・たんぱく質が豊富に含まれており筋トレ後に食べると筋肉増強も期待できる

・2個のアップルパイを購入すると20%オフ、3個で30%オフ、たくさん買うほどお買い得

・フリーズドライ加工によって、なんとこのアップルパイは賞味期限が3年も持つ

・モンドセレクション3年連続金賞受賞、世界が認めた世界のアップルパイ

といった感じです。

 

これらの内容はダミーですが、機能スペック訴求によって、このアップルパイの魅力を伝えてターゲットユーザーに売り込んでいくのが「機能訴求」になります。

わかりやすいスペック機能が満載で、このアップルパイの優位性が伝わってきますよね。

一方でストーリー訴求だと伝え方が全然変わってきます。

 

・このアップルパイは湘南に住む老夫婦の祖父母から教えてもらった3世代に及ぶ、50年にわたる歴史を持った伝説のアップルパイ

・門外不出のレシピはアップルパイが生まれたイングランドに住んでいた祖父母が持ち帰ったものであり、その味はイングランドの王様にも認められたお墨付き

・このアップルパイを食べることで、古き良きイングランドの風景が蘇る唯一無二の食べ物である

といった感じです。

これらの内容はダミーですが、ストーリー訴求によって、このアップルパイの魅力を伝えてターゲットユーザーに売り込んでいくのが「ストーリー訴求」になります。

心に響くストーリー訴求が満載で、このアップルパイがスーパーで大量生産されている一般的なアップルパイとは違う特別なバックグラウンドストーリーがあることが伝わってきますよね。

 

これら機能訴求、ストーリー訴求は

あくまでも伝え方の問題に過ぎません。

目の前に見えている、実際のアップルパイそのものは、どちらの訴求方法を使っても全く同じアップルパイに過ぎないのです。

でも、ここで重要なのは

「伝え方次第で、全く違った形でアップルパイをターゲットユーザーに伝えられるという点です」

素材は同じなのに、料理する方法(=ストーリー訴求、機能訴求といった伝え方の違い)で全く異なる商品の印象をターゲットユーザーに与えられる

これが、機能訴求とストーリー訴求の大きな違いです。

この発想が頭の中に刷り込まれていて、あらゆる商材に対して瞬時に、ストーリー訴求、機能訴求ができると、プロモーション訴求の幅は広がること間違いありません。

ゲームプロモーションにおける機能訴求とストーリー訴求とは

アップルパイにおける機能訴求、ストーリー訴求のお話をしましたので

続いてはゲームプロモーションに置き換えて説明してみましょう。

新作のアクションゲームがあるとします。

横スクロールアクションゲームを機能訴求で伝えるなら、例えば次のようになります。

・全世界で1億ダウンロード突破

・表面100ステージに加えて、裏面100ステージ、合計200ステージ収録

・プレイ可能キャラは10人、必殺技は30種類収録

・BGMはフルオーケストラ収録、壮大な音楽が盛り上げる

・最大4人で画面分割プレイ可能

・いまなら100連ガチャ無料!さらにSRトロネコがもらえる!

といった感じです。

 

これらの内容は全てダミーですが、機能スペック訴求によって、このアクションゲームの魅力を伝えてターゲットユーザーに売り込んでいくのが「機能訴求」になります。

実はスマホゲームの場合、アプリストアの説明文や公式サイトに書かれている事の多くは機能訴求ばかりです。

もしくはストーリー訴求と機能訴求が、どっちつかずに混在している状況もみられます。

 

一方で、この新作アクションゲームですがストーリー訴求だと伝え方が全然変わってきます。

 

・時は西暦2021年、世界は凶悪なネコ魔王によって支配されていた

・そこに立ち上がったのは、一匹の猫「トロネコ」

・魔王に残されていた僅かな善の心が作り出したのがトロネコだったのだ

・トロネコの前に立ちふさがるのは猫モンスターにされた7人の親友の猫たち

・親友を救うのか?それともネコ魔王を倒すために親友を犠牲にするのか

・プレイヤーであるあなた(トロネコ)の選択が世界を決める世紀末ディスティニーアクション超大作

といった感じです。

これらの内容はダミーですが、ストーリー訴求によって、このアクションゲームの魅力を伝えてターゲットユーザーに売り込んでいくのが「ストーリー訴求」になります。

 

終末感、運命感が溢れてくるストーリー訴求が満載で、クソゲーかな?と思いつつも、機能訴求とは違ったゲームへの興味が湧いてきますよね

 

これら機能訴求、ストーリー訴求は

あくまでも伝え方の問題に過ぎません。

目の前に見えている、実際の「アクションゲーム」そのものは、どちらの訴求方法を使っても全く同じ「アクションゲーム」に過ぎないのです。

でも、ここで重要なのは

「伝え方次第で、全く違った印象でアクションゲームをターゲットユーザーに伝えられるという点です」

 

さて、ここからが重要です。

機能訴求とストーリー訴求では情報が届くユーザーの属性が異なる

機能訴求とストーリー訴求について解説してきましたが、アップルパイ、アクションゲーム共に、商品そのものは全く同じなのです。

でも切り出し方、調理の仕方が違うだけで全く異なる印象をユーザーに与えることができます。

「商品は同じだけど与える印象が異なるということは

商品は同じだけど心を動かすユーザーの属性も異なります」

そもそも普段のゲームプロモーション活動で機能訴求、ストーリー訴求を意識せずに使っているかもしれません。

 

しかし、ターゲットユーザーを明確に設定していたとしても、訴求方法によって、そのターゲットユーザーの心を動かす方法として適さない場合があります。

イノベーターやゲーマーには機能訴求が効果的

ゲームマーケティングにおけるイノベーター理論の話を以前にしました。

このイノベーター理論を踏まえて説明すると

スペック重視の機能訴求は、ストーリーや背景を理解した上で「購入するか、それともしないか」迷っている2.5%に相当する「イノベーター層」に効く訴求軸といえます。

例えばわかりやすい事例をあげるならば、ガンダムやワンピースの新作ゲームが発売されるとしましょう。

イノベーター層に相当するターゲットユーザーの代表的な特徴は次の通りです。

・事前登録をする

・配信初日にインストールしてプレイする

・面白かったら課金してもいいと思っている(課金意欲が高い)

・そのゲームが気になっている、または原作ファンである

彼らはガンダムやワンピースがどのようなストーリーなのか理解しています。だから、あえて「ガンダムとは・・」「ワンピースとは・・・」と説明は不要です。気になることは

・あのキャラ、モビルスーツは登場するのか?

・いくつキャラ、モビルスーツは収録されているのか?

・3Dモデルの再現度はどの程度なのか?

・どの時代のストーリーまで再現されているのか?

・フルボイスなのか?やり込みクエストはいくつあるのか?

といった機能訴求が効果的となります。

 

ここで、ガンダムやワンピースのケースが特殊だと思われた人もいるかもしれません。

では、IP版権なし、完全オリジナルのゲームのゲームを例にしてみましょう。例えばオリジナルの「戦略シミュレーションゲーム」「RPG」を例にあげれば

・選べるキャラの数

・武器、アイテム、衣装の数

・クリアまでのプレイ時間

・対戦可能な人数

といったゲームシステムにかかわる部分が機能訴求になります。完全オリジナルのゲームですから、そのゲームが気になったイノベーター層の多くの動機は、よくわからないストーリーではなく、シミュレーションゲーム、RPGとして純粋に面白いのか?スペック部分がどうしても気になるはずです。

マジョリティや一般ユーザーにはストーリー訴求がおすすめ

一方で、イノベーター理論における「マジョリティ層」を獲得しようとすると、機能訴求では動かしにくくなってきます。

時間軸で説明すると、アプリ配信から

イノベーター→アーリーアダプター→アーリーマジョリティ→レイトマジョリティと順番にユーザーを獲得していくことになりますが、機能訴求で獲得できるゲーム好きなユーザーは既に獲得済であり、

・選べるキャラの数

・武器、アイテム、衣装の数

・クリアまでのプレイ時間

・対戦可能な人数

といった機能訴求では取れなくなっている状況が、まさにマジョリティ層だからです。

簡単な表にまとめると次のようになります。

端的に解説すると、マジョリティ層は理屈をこねても動かせないユーザーです。彼らを動かすには、

「心に響く」

「心を動かす」

「このゲームは自分にとって遊ぶべき」

「運命的な出会い」

が求められます。

ちなみに、イノベーター層に対して、ストーリー層が効果がないという話ではありません。あくまでも、各フェーズにおいてどの訴求軸に注目するのか、目安であることを伝えたい表ですので、誤解しないようにしてください。

みなさんの担当タイトルの機能訴求とストーリー訴求を書き出してみよう

ここまで説明してきた内容をもとに

みなさんが担当されているゲームタイトルや、ゲーム以外の商品でも構わないのですが機能訴求とストーリー訴求を書き出してみましょう。

え?担当タイトルで機能訴求、ストーリー訴求も書き出すほどの項目がない?

 

実はそれって、そもそもゲームとしてのセールスポイントがない状態なのかもしれません。

機能訴求とストーリー訴求がスラスラ書き出せない場合は、そもそもゲームとしてセールスポイントがない、企画として弱いゲームである場合が多いのです。

ということは、それって・・・ゲームの最初の企画書の段階で機能訴求とストーリー訴求を整理した上でゲームの企画が作られていれば、戦闘力の高い、戦えるゲーム企画が作れると思いませんか?

そして、ゲームの企画段階からどこが強みで、誰に遊んで欲しいのか?マーケティング戦略が明確になった状態でプロジェクトを進めることができます。

実は今回、お話をしている機能訴求とストーリー訴求は、決してゲームが完成した後だけの話ではないのです。

ゲームの企画、開発段階においても、この2つが整理されていることで、ゲーム事業の成功確率を上げることができます。

ターゲットと露出メディアで使い分けがおすすめ

話を戻しましょう。

機能訴求とストーリー訴求はメディアやターゲットによって使い分ける必要があります。でも、あまり考えずに使っているケースが多いのが現実で非常に勿体ないと思います。

機能訴求 ストーリー訴求
ターゲットユーザー 訴求内容 ターゲットユーザー 訴求内容
公式サイト
Twitter
youtuber
Webキャンペーン
バイラルコンテンツ
Web広告
TVCM
PV
OOH(屋外広告)

表だけ載せておきましたが、各施策ごとにターゲットユーザーと訴求内容が異なるはずです。そして、ターゲットユーザーと訴求内容はそのゲームの現状や課題、ステージによっても異なります。それを決めるのがマーケティング戦略になります。

 

わかりやすい例をひとつだけあげてみましょう。新作RPGのWebの運用広告があったとします。

Web広告のクリエイティブとして

「いまなら100連ガチャ無料」→機能訴求

「最大100人オンラインバトルが楽しい」→機能訴求

「王道RPG誕生」→ストーリー訴求

の3種類を製作してWeb広告をまわしたとしましょう。

それぞれ、獲得ユーザーの数は異なりますが、獲得したユーザーの継続率や課金率、LTVも異なります。なぜなら、機能訴求とストーリー訴求が効くユーザーの属性が異なるからです。

まとめ

機能訴求、ストーリー訴求は、あくまでもテクニックの話です。

これを最大限に活用するためには、もちろん適切なマーケティング戦略が必要です。

今回ご紹介した内容について、もっと詳しく相談したい!という方はLINEチャットで気軽に無料相談できる「トロネコのカベウチ」、もしくはメールにてご連絡ください。

toro_neko2020@yahoo.co.jp

というわけで今回はここまで!

みなさまのお役に立てればトロネコ幸せです。