家庭用スマホゲームのプロモーション映像(PV)の作り方と注意点

宣伝・プロモーション

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はゲームアプリ、ゲームソフトの宣伝におけるプロモーション映像(PV)の作り方について解説します。

プロモーション映像は、映像の目的と用途と、何に対して効果を期待するかによって映像の作り方が異なります。

つまり、映像は全部作り方が異なるわけですね

作り方を知ることで、映像のプロモーション効果を高められますし、

そもそも、プロモーション効果が見えにくい「映像コンテンツ」の費用対効果も明確にすることができますので、コストをかける意味も明確にすることができます。

映像コンテンツにかける予算って、いまいち効果が見えないよね

だからPVに100万円なんてかけてもいい、という判断出せないよ

というゲーム会社の現場にも度々遭遇するのですが、

目的と用途を明確にすることで、予算をかける価値を明確にできます。

PVは何を目的として制作するのか?

今回の記事は、曖昧になりがちな映像制作の役割と価値について解説します。

 

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目的と用途によって映像の目的と期待効果が異なる

ゲームプロモーションにおける「映像コンテンツ」には様々なものがあります。

各映像の目的と、用途を明確にすることで映像の構成が異なります。

今回は「映像制作における考え方」についてお話し致します。

最低限、ここだけは押さえておきましょう。

TVCM

TVCMは15秒と30秒CMが主流になります。中には60秒CMもありますが、ほとんどのゲーム会社の場合は15秒CMになります。

そして15秒CMであっても、15秒をフルにCMとして使えるわけではありません。

映像の目的 ・ゲームアプリの事業を成功させる
期待する効果 ・新規ユーザーを獲得する

・既存ユーザーのアクティビティをあげる

・離脱ユーザーを復帰させる

・上記の結果、DAUを積み上げて売上を出す

注意するべきこと ・伝えたいことは全部伝わらない。伝えられてもワンメッセージ+α

・伝えたいことが多すぎる、視聴者がわかりにく表現を使ってしまうなど、ユーザー目線が欠落しているTVCMは多いです

よくある失敗 ・ゲームのCMなのに、ゲームと認知されない

・情報過多で伝えたいことが伝わらない

・ジングルや企業ロゴで15秒の大部分を使ってしまいゲームに使える尺が短い

ちなみに、TVCMが15秒とするなら、15秒の最後に企業ロゴとか、企業のCI(コーポレートアイディンティティ)を入れたがるゲーム会社も多いですが、これは単体のTVCMとしてゲームアプリのインストールや、または販売を考えた場合、デメリットしかありません。

なぜなら、TVCM最後のCIによって、視聴者における、それまでの14秒ちょっとの記憶が全部持っていかれるため、TVCMとしての認知購買訴求効果がグーンと落ちるからです。

わかっているけど我が社のルールでね

TVCMの最後にCIを入れるのが

という声をよく聞きますが、繰り返しますが、単体TVCMの効果は確実に落ちます。

ルールを重視するのか、それともTVCMとしての効果を狙うのか、

どっちが大切なのかよく考える必要があります。

OOH(out of home media)

OOHとは屋外ビジョンや、屋外のデジタルサイネージ(デジタル看板)、電車内のトレインビジョン、または、ただの看板などを指す名称です。

渋谷の駅に出ると、たくさんのOOHを目にしますが、あれがそうです。

また映画館に行くと、上映の前に流れる映像のCMもOOHの一種になります。(シネアドと呼びます)

OOHにおける映像素材について、まず考える必要があるのは

「音声はほぼ伝わらない、もしくは流せないOOHもあるため、視覚で伝える必要がある」

「足を止めてOOHの映像を観る人は少ないので、動く平面広告として考える」

「ロケーションに依存するため、そのエリアに滞在する人の属性との相性が重要である」

「OOHをきっかけにネットに繋がるクチコミなどの連鎖を設計する必要がある」

といった感じです。

 

つまり、OOHに関しては、OOHという特性を考えた上で、それ専用の映像を作る必要がありますが、多くのOOHはTVCMやPV向けに作った映像の流用だったりします。

この流用で済ませてしまうという点は

何かしら告知映像を流せばいい、流すための場所にOOHは過ぎない

という考えが現場に根強く存在するからだと思われます。

OOHを流すようなタイトルは、当然TVCMも流すと思われるため、これら映像制作を行うときに

「TVCM」と「OOH」の目的と役割を整理した上で映像制作をする必要があります。

TVCM向けに作った映像の「切り出し」をOOH用として使うのは言語道断ですぞ

映像の目的 ・ゲームアプリの事業を成功させる
期待する効果 ・情報のフリークエンシー(情報の接触回数)を稼ぐ

・OOH単体だけでゲームアプリのインストール、販売に繋げるのは厳しいく、OOHと他の施策を複合的に設計することで、施策全体のCPI単価を下げる目的として使う

注意するべきこと ・結果的にOOHに対してはDAU積み上げを期待しているわけですが、それ単体ではわかりやすいDAUの変動は見られないため、他の施策との連携設計が重要です

・OOHだけでKPIに対する変動が見られない、施策効果がないという声も聞きますが、それは当然の話です。なぜなら単体だけで使うものではないからです。

・予算はあるけど、施策アイディアがなくなったのでとりあえずOOHをやっておこう、とか、OOHは施策設計の検証ができないので最初から諦めているといった声も聞きますが、これは怠慢以外の何者でもありません。

よくある失敗 ・情報過多で伝えたいことが伝わらない

・OOHの施策検証ができず、施策結果を次に繋げることができず成長が見られない

OOHって、なんか賑やかですし、仕事に対する達成感もあるし

自己満足のプロモーションに終わりがちなので注意が必要です。

SNS投稿

SNS投稿向けの映像といえばTwitterやインスタ、tiktokなどがあげられます。

BGMあり、無しの違いはありますが、いずれも短い映像の尺で効果を狙う映像施策になります。今回はこの3つのSNS投稿についてまとめてみましょう。

目的 定量目標 定性目標
Twitter フリークエンシーを稼ぐ 投稿動画の視聴回数、または投稿のインプレッション数など 投稿された映像に対するユーザーの心象がポジティブな状態を作る
Tiktok 同上 同上 同上
インスタ 同上 同上 同上

厳密には異なる部分はありますが、大体こんな感じになります。

ここで注意して欲しい点として2つあります。

・各施策単体では、瞬時にユーザーを獲得してKPIに影響を与えるのは難しいという点。基本的には他の施策とセットで複合設計した上でのフリークエンシーを稼ぐための施策になります。

・各媒体ごとにユーザー属性が異なるため、相性の良い媒体とゲームの関係性が存在するという点。皆さんが担当しているタイトルのユーザー属性などを理解した上で媒体選定と、そこに対する映像クリエイティブ投下が必要となります。

SNS施策で結果が出せないケースの多くは

単体単発施策として実施していたり、媒体とユーザー属性が一致していないといった原因が多いのです。

Youtube投稿PV

Youtube映像=公式サイトに埋め込んである公式プロモーション映像

といった感じになる場合がほとんどでしょう。

PVは最低限作らなければならないプロモーション施策

と考えがちですから、あまり深く考えず伝えたい情報を詰め込んだ映像を作りがちですが、下記だけは最低限、押さえておくようにしましょう。

 

・冒頭数秒でそれ以降観るか、離脱するか決まるので「出だしの掴みが非常に重要」となります

・よほど、そのゲームに興味がない限り1分以上のPVは観てくれないと考えましょう

(もし、1分以上、視聴してくれるユーザーがいるなら、その時点でPVがなくてもインストールしてくれる確定ユーザーです)

・ユーザーの関心、理解のプロセスを踏まえた上での構成にしましょう

・PVはあくまでもゲームの認知と理解を深めるためのツールとして考え、その他施策との複合制作、導線を設計しましょう。

PV単体でプロモーション的な結果を求める人はいますが、これは難しいため、必ず他の施策と複合的に設計して、全体の獲得CPIを下げる効果を見込むようにしましょう。

アプリストア映像

アプリストアに掲載される動画は

AppStoreは加工無しのゲーム画面を繋いだ映像のみ

googlePlayはPVをそのまま流用可能

といった感じになります。

 

特にAppStoreはストア内でゲーム検索した場合に自動再生される「動くスクリーンショット画面」と言える効果がありますので、自動再生された瞬間にそのゲームの魅力が伝わる映像構成になっているか?という点も重要です。

ASOの領域になりますが、この「動くスクリーンショット画面」はアプリストアにやってきたユーザーがそのゲームに関心を持ち、インストールするかにおいて大きな役割を果たします。

Web広告用映像

運用広告向けに制作されるWeb広告映像は、これまでお話した映像とは全く異なる性質を持ちます。

「動的なバナー」として考えた方が良いと思いますが、どうやってユーザーに対して情報を伝え、共感させてバナーをクリックさせ、インストールさせるか

ユーザーの感情的なプロセスを考慮した上での設計が必要となります。

繰り返しになりますが、Web広告映像においては

「いかにユーザーの心を動かして、ゲームをインストールしたいと思う衝動を起こさせるのか」

ここを突き詰める必要があります。

 

「今プレイするとお得だから」

「今プレイする価値があるから」

「自分が求めていたゲームのような気がするから」

「なんか楽しそうだから」

いずれも、感情を動かした結果になりますので、ここを動かすWeb広告動画を作れるかにかかっています。

プロモーション映像の制作手順

最後に、プロモーション映像の制作手順について解説しましょう。

あらゆる映像施策は、マーケティング戦略に基づいて、その役割と目的が決まっています。

(決まっているはずですよね?)

 

ということは、映像制作担当に素材だけ渡して丸投げ

というわけにはいきませんし、そのような仕事をしてしまうと、効果を発揮しない、意図しない映像が作られてしまいます。

そこでマーケティング担当は次のような手順を踏んで、マーケティング戦略に基づいた映像制作をする必要があります。

目的に応じて映像構成リストを作成する

・この映像の目的とは?

・掲載場所は?使用場所は?

・ターゲットユーザーは?

・視聴者に対してどんな感情を起こさせたいのか?

などを整理したシートと、それを達成するための映像構成の指示書を作成します。

絵コンデを描け!とまではいいませんが、最低限、エクセルで映像の構成をまとめるようにしてください。映像構成が整理されると必要な素材や、必要な工数なども見えてきますので、映像制作チームに対して適切な指示を出すことができます。

その結果、間違った映像が制作されるリスクを軽減できるというわけです。

映像構成リストで必要な素材を収集する

映像構成の指示書を元に必要な素材も明確になっていると思います。

・ゲームプレイ映像(白素材)

・ゲーム内で使用している二次利用料が発生しないBGMやSE

・キャラクターの絵素材、背景素材

・ゲーム内で使われているUIやボタンのパーツ素材など

・ロゴや映像に記載必須の権利表記など

これら情報を収集しましょう。

 

ちなみに、BGMはもちろんですが、SEやUIなどのパーツ素材までこだわることで、そのゲームの世界観と合致した映像を作ることができます。

映像制作チームに依頼する

映像構成資料と素材一式がそろったら、映像制作をするチームに依頼しましょう。

プロモーション映像を制作するチームはゲーム会社によってバラバラですが、次のいずれかに該当すると思います。

・外部映像制作会社で制作する場合

・ゲーム開発チーム、外部開発会社などで制作する場合

・Web制作、広告運用チームで制作する場合

などが挙げられます。

一方で、簡単なプロモーション映像ならマーケターが自分で作れるようにしておくことをお勧めします。

限られたコストや工数の中で、どうしても映像施策が必要な場合が出てきます。

Final cut pro、adobe premierとMacがあれば誰でもハイクオリティのPVは作れる時代ですから、マーケターが作れると、かなりのアドバンテージになるからです。

マーケターが映像作るなんて、業務領域外だし

おかしいよね。俺の仕事じゃないよ

という意見もあるかもしれませんが

youtuberなら誰でも映像編集できる時代ですし、トロネコでさえ、finalCutPrioでPVを作れます。やれば、誰でもPVなんて作れる環境も揃っているのです。

作れないというのは単なる言い訳に過ぎません

注意点

ちなみに、映像と一言で言っても

ゲーム画面繋ぎと人間がプレイしている映像を含むPVでは制作環境が異なります。

ゲーム画面繋ぎであれば編集ソフトと素材だけでもなんとかなりますが、撮影が入る場合は照明やキャストのアサインなども必要です。

アフレコを入れる場合も環境が変わってきますね。

 

また、TVCMとTwitter投稿映像、youtubePV映像、OOH用などの広告映像では解像度が異なりますし、TVCMなどの場合はそのままテレビ局納品できる、ちゃんとした納品形式を理解している必要もありますので

TVCM、OOHなど広告出稿に使う映像制作については専門の映像制作会社に依頼する方のが事故なくお勧めです。

 

とはいえ、youtubeがそうであるように、お金をかけた映像とゲームアプリのプロモーション効果は比例しないということも知っておく必要はあります。

100万円かけて制作したPVよりも、手弁当で制作した映像の方が

Twitterで何倍もRTされた、ということも当たり前にあるからです。

ということは、映像を使ったプロモーションについては「使い分けが重要」となります。

まとめ

映像制作について解説しました。

今回の記事ですべてを語り尽くせていませんが、映像制作における注意点はお伝えできたかな、と思います。

ぜひ参考にして頂けると幸いです。

というわけで今回はここまで!