「施策の振り返り」ができると個人も組織も成長できます!事業の成功確率もあがります!
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回は「施策の振り返り」というテーマについてお話をします。
「振り返りって何?」という人も多いですし「振り返り」としてやっている内容がまったく役割を果たしていないというケースもあります。
そして、多くの人が「いまをこなす」だけで精一杯で、過去のプロモーション施策の結果を改めて「振り返る」という作業ができません。
なぜなら「振り返りって面倒だし、振り返るためには事前に設計が必要だから」です。
つまり振り返りをするためには、事前にちゃんとしたマーケティング戦略や、施策に対するKPI設計も固める必要があります。
でも多くの人が「事前に必要な準備」もできていません。
ただ、思うままに「いまをこなす」だけで精一杯なのです。
「いまが精いっぱいで何もできない」という状況はわかります。なぜならトロネコも若い頃はそうだったからです。
でも、この状態には未来がありません。なぜなら
・自分自身も成長せず、組織も成長しないので |
・同じような初歩的な失敗を何度も繰り返してしまうからです |
組織が成長しないので、人の入れ替わりがあるたびにマーケティング力はゼロリセットされます。いままで当たり前に持っていた「マーケティング力」が受け継がれません。
これってゲーム会社としては致命的でもあり、本気で改善するなら「振り返り」を怠る事ができないのです。
今回はそんな「振り返り」「フィードバック」と呼ばれるものについてお話します。
【目次】 ・「振り返り」とは何か? ・施策の「振り返り」を行う目的と理由 ・「振り返り」には情報共有だけでなく行動変化が必要 ・全く価値がない「振り返り」事例4つ ・「振り返り」における最大の課題 |
「振り返り」とは何か?
「振り返り」「フィードバック」様々な呼び方がありますが、今回は「振り返り」というワードを使ってお話しましょう。
ゲーム業界における振り返りとは
・事業計画単位(1年単位)
・クオーター単位(3か月単位)
・コストをかけた施策単位(TVCM実施や商戦期など)
・日々の施策単位(月単位、週単位)
といった大小様々な粒度感で行われる、マーケティング戦略、プロモーション施策に対して
・計画した内容
・計画に対する結果
・結果から得られた「示唆」「気づき」
を共有、報告することです。
報告のやり方、資料のボリュームは特にきまりはありませんが、後程お話する「目的と理由」に関係してきますので、ボリューム盛りだくさんの「振り返り」が良いかというとそうではありません。
施策の「振り返り」を行う目的と理由
なぜ「振り返り」を行う必要があるのでしょうか?実施する目的についてまとめておきましょう。
・自分自信の成長 ・チームや組織の成長 ・成長を持ってこの瞬間からのチームや組織の行動を変えて ・ゲーム事業で結果出す |
ここに集約されます。
この目的が達成できる「振り返り」でないと全く意味がありません。
しかし、多くのケースで「実施した事の結果まとめ」にとどまっており、本来の「目的」を達成できるような「振り返り」ができているのは稀です。
「振り返り」は次の3つから構成されます。
①計画した内容
②計画に対する結果
③結果から得られた「示唆」「気づき」
しかし、重要なのは③の「示唆」「気づき」であり、これをもって、チームや組織の行動をどこまで変えられるかに、振り返りの価値はかかっています。
「①計画した内容」「②計画に対する結果」は自分自身の成長にとっては重要ですが、やったことと結果だけを伝えたいならメールで一斉送信すれば済む話です。
でも多くの人が知りたいのは、やったことや結果よりも、自分のやってるゲームタイトルや、仕事、成長に対してプラスになる「示唆」「気づき」だったりします。
振り返りの価値は結果報告の共有ではなく、そこからの「行動変化」が重要
ならば、自分のやってるゲームタイトルや、仕事、成長に対してプラスになる「示唆」「気づき」を提供してくれる「振り返り」なら価値があるか?
といえば、半分正解でもあり、半分不十分です
その「示唆」「気づき」は、相手の行動を変えるだけの「インパクト」と「具体的な方法」まで示してあげる必要があります
そこまでする必要があるのでしょうか?
と思うかもしれませんが、そこまで示してあげないと人は動かないのです。
なぜなら、人は過去の経験や実体験の世界でしか物事を考え、動くことができないからです。
すべての人がそうであるとは断言しませんが、特殊な人を除き、9割以上の人は「インパクト」と「具体的な方法」まで示してあげないと動こうとしません。ここまで踏み込める「振り返り」が必要です。
非常にハードルが高いように聞こえるかもしれませんが、実際にはハードルの高い話をしています。
でも、ここを諦めてしまうと冒頭でお話した通り、人も組織も成長しないので、人の入れ替わりがあるたびにマーケティング力はゼロリセットされ、同じような失敗を繰り返し続けるだけの残念な状態になってしまいます。
全く意味がない」振り返り」事例4つ
ここで、残念、かつ価値がない振り返り事例についてお話しましょう。
全く価値がないのに、これを「振り返り」として実施して、自己満足に陥っているケースが多いのです。
①プロモーション施策実施からの振り返りの期間が長い
1月に実施した施策の「振り返り」を、半年後の6月にやっている、または1年後にやっているというケースがあります。これは全くをもって無意味です。
家庭用ゲームの場合は様々な点においてスピード感が足りないので、このような事が散見されます。また売り切りビジネスですから発売日を迎えると安心してしまうからか、気が緩んでしまい、さらにスピード感が落ちてしまいます。
一方でスマホゲームの場合は日々、やるべきことが多すぎて「いまをこなす」だけに精一杯です。よって、過去にやったことを振り返る時間を取れないという人がいます。
でも、これって甘え以外の何物でもありません。
そして、事前にちゃんとマーケティング戦略やプロモーション施策が設計されている状態で進んでいるなら、「振り返り」作業は瞬時に終わるものです。
つまり事前準備をせずに進めてきたツケがまわってきている状態とも言えます。
なぜ、施策実施からの振り返り時間が長いと意味がないのか?それは次の2つに集約できます。
・市場はどんどん変化するので時間経過と共に「示唆」「気づき」の価値が落ちる |
・記憶に新しいタイミングで「振り返り」をしないと聞き手に伝わりにくい |
つまり振り返りから導き出された「示唆」「気づき」の価値を下げ、さらに、その伝達力も下げるのでチーム、組織を「変える力」が弱まってしまうからです。
「振り返りは施策実施から1か月後に必ず実施する」とルール化してしまうのが良いと思います。
②プロモーション内容をまとめただけの資料である
資料作成力、プレゼン力、様々なスキルが影響しますが「振り返り」をした場合、その多くのケースは「結果をまとめただけの資料」になりがちです。
「示唆」「気づき」「インパクト」「具体的な方法」これらが抜けている「振り返り」は意味がありません。
とくにジュニアクラスのメンバーは「資料を作ることに精一杯」になりがちですので、ここはマネージャーやシニアマーケターがきちんとやり方を示す必要があります。
③示唆や気づきが相手に伝わらない、相手の行動を変えられない
なんとなく「示唆」や「気づき」は含まれているけど、それが相手に伝わらないというケースも「振り返り」としては価値を出せません。
資料の作り方、プレゼンの仕方で解決できるなら良いのですが、「振り返り」を伝える相手のマーケティングスキルがバラバラの場合は、相手のスキルを超えた「振り返り」をしても理解させることができません。
よって、「振り返り」は伝えて動かしたい相手のスキルレベルを配慮した「見せ方」が必要です。
④やりたくない、やらされている状態
日々の仕事に追われていたり、事前に設計なく施策を進めていたり、または、「振り返り」によるチーム、組織貢献に興味がない人にとって、「振り返り」は苦痛以外の何物でもない「無駄な作業」と感じる人は少なくありません。
トロネコも20年間ゲーム業界にいますが
かつて、とあるゲーム会社ではチームの全員が「振り返り」に対してネガティブでした。なぜなら、毎日の仕事をこなすだけで精一杯ですし、そもそも会社をどうにかしたい!なんていう意識は全く持っていなかったからです。
その一方でとあるゲーム会社では「振り返り」に対してネガティブな人は3割で、残り7割くらいが「振り返り」に対してポジティブでした。
この2社は別の会社ですが、この意識の差は人や組織の成長はもちろん、結果にも大きく影響してきます。
もし、チームの全員が「振り返り」に対してネガティブだとしたら、今回の話以前に、もっと変えるべき課題があります。(人生の目的とか人間関係とか、働き方とか目標設定とか、いろいろあります)
振り返りにおける最大の課題
ところで、「振り返り」に対してネガティブな人は3割で、残り7割くらいが「振り返り」に対してポジティブだとお伝えした会社においても、今回お話した「振り返り」ができていたかというと、そうではありません。
ここについてトロネコは踏み込んで考えてきましたが、最大の課題は
「人は自分の置かれている状況の範囲でしか興味関心がない」
という点にあります。
どういうことかというと
・家庭用ゲームのマーケターにスマホゲームの振り返りをしても興味を持たれません。なぜなら、彼は家庭用ゲームにしか興味がないからです |
・配信前のスマホゲームに運用ゲームにおける「振り返り」をしても興味を持たれません。なぜなら、彼は配信前のスマホゲームにしか興味がないからです。 |
・配信後の運用タイトルに配信前ゲームにおける「振り返り」をしても興味を持たれません。なぜなら、彼は配信中の運用タイトルにしか興味がないからです。 |
つまりジブンゴト化できない情報には興味がないし、情報を取り入れても、そのままの形で実活用できないのです。
このような状態に対してマネージャーの人なら
「家庭用、スマホゲーム、運用中、配信前ゲーム関係なく、情報を自分の中で解釈して仕事に活かすようにしなければダメだ」
みたいな話をしがちですが、これは理想論にすぎません。
多くの人は、ジブンゴト化できる事にしか興味を持てないのです。モチベーションの高さ、優秀無能とか関係なく、この傾向についてトロネコは20年間のキャリアを通して感じてきました。
でも、これを回避する方法は3つあります。
①振り返り内容の価値がある人に対してしか情報共有しない
ちょっと荒っぽいやり方ですが、こちらの方が「振り返り」の価値もあがりますし、「振り返り」あとの議論も進みます。
②ゲームのフェーズや形態に関係なく活用できる具体的提案をセットで振り返る
いわゆる、あなたの「振り返り」の結果を持って、他の人のタイトルに活用できる具体的な活用案を提示するというやり方です。ただし、これは「振り返り」する方の能力に大きく依存します。
③異なるフェーズ、形態のゲームをパラレルで担当させる(おすすめ)
実はこれがベストな対応方法です。配信中の運用タイトルと配信前の新規タイトル、家庭用ゲームタイトルとスマホゲームタイトル、といったように異なるフェーズのタイトルを複数担当させる事で、自然に無意識に「ジブンゴト化」できるようになります。
このあたりは、人事アサイン的な話になってきますが、ここまで考えた担当アサインができるかで、結果的に個人や組織の成長に影響してくることを考えて欲しいのです。
まとめ
今回は「振り返り」というテーマでお話をしました。
ちなみに「振り返り」は成果の発表場所ではないし、自己アピールの場所でもありません。
「これだけの結果を残した!みんな拍手!!パチパチ!!」
というのは「あってもいいけど、それは振り返りの目的とは関係ありません」
気づきを与えて、誰かの行動を変えて、他のタイトルの結果を変えられないと無価値であるという点を、必ず押さえるようにしましょう。
というわけで今回はここまで!