新規ユーザーでアプリのDAU改善するための13個の方法|ゲーム内機能からゲーム外プロモーションまで解説
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回も3回に渡って連載企画でお届けします。
テーマは「DAUを構成する3大ユーザーの具体的な獲得・維持するためのテクニックや施策設計のヒント事例」です。DAUを構成する要素はこちらの記事でも書きましたが「新規ユーザー」「復帰ユーザー」「既存ユーザー」になります。
ゲーム運営担当やマーケターはこの3つのユーザーを獲得維持することでDAU維持、改善に日々、頭を悩ませています。
そこで、3回に渡って、これらユーザーの獲得維持施策の設計ヒントをお話していきます。
とはいえ本来であれば「マーケティング戦略」を決めてから施策について考えるという順番が必要です。よって今回の記事は施策設計のヒントとして使って頂きたいのですが、必ずマーケティング戦略を立ててから活用するようにしてください。
なぜなら、こちらでも書いた通り戦略なきHOW思考による施策実施は結果が伴わないですし、運良く結果が出ても再現性を担保できないので、組織の成長にフィードバックできないからです。
結果、永遠に打率が低い、やってみなければわからないゲームビジネスを続けることになります。
「ゲーム事業はやってみなければわからない」
という主張をする人もいます。これは半分正解でもあり、半分間違いです。
厳密には「あとはやるだけの状態まで追い込んでからやってみる」といった
徹底的、かつ緻密な設計が必要です。
よって、この点については忘れず、決してHOW思考にならないように注意しながら今回の記事を読み進めてください。
【目次】 ・デジタル広告 ・Youtuber施策 ・TVCM ・事前登録キャンペーン施策 ・インストールキャンペーン施策 ・ストア対策 ・バズコンテンツ施策 ・Twitter施策 ・Facebook施策 ・リアルイベント ・ゲーム内機能① ・ゲーム内機能② ・ゲーム内機能③ |
デジタル広告
一般的にスマホゲームでのデジタル広告とは純広告(バナー掲載のimpression広告)ではなく、入札方式の運用広告を指しています。
UAC(Universal App Campaign:読み方はユーエーシー)と呼ばれるgoogle媒体を活用したインストール広告(詳細はこちら)や、LAP(Line Ads Platform:読み方はラップ)と呼ばれるLINE媒体を活用したインストール広告、アフィリエイトASP広告、ディスプレイネットワーク広告など多種多様な広告手段があります。
各媒体ごとに獲得ボリューム、ユーザーの質など様々であり、そこに対して訴求したいゲームアプリから切り出したクリエイティブを複数試して「当たりクリエイティブ」探しだし、効率重視で運用していくのがデジタル広告になります。
当たりクリエイティブを見つけるとインストール数は取れますが、インストールした後のユーザーの継続率が悪い場合があります。例えばゲームと関係ないクリエイティブで釣ったりすると、インストール数はとれますが、明らかにインストール直後で続々と離脱する数字が出ています。広告クリエイティブとゲーム内容の乖離は離脱に繋がるということは認識しておきましょう。
ちなみにバナーなどの純広告は情報接触の手段としては有効です。ただしそのバナー経由からのアプリインストールを目的とすると全く数字が出ませんので使い分け方がポイントになります。
工数:★★★★
コスト: ★★★★★
効果: ★★★★★
獲得数: ★★★
Youtuber施策
以前に比べると効果は低下傾向にありますが、それでも依然としてyoutuberによる新規ユーザー獲得効果は見込めます。
(以前が異常なくらいに効果があったため、それと比べると低下傾向という表現を使っていますが、いまだに効果が見込める施策です)
様々なプロモーション施策の中で、比較的容易に新規ユーザー獲得ができてしまうので、新規ユーザー獲得施策がYoutuber施策中心になりがちで、いわゆる「思考停止状態」に陥るリスクがあります。
youtuberに関する記事はこちらでも書いていますので参考にしてください
新規ユーザーの獲得をYoutuber施策に依存してきたマーケターは、以前に比べるとyoutuber施策でユーザー獲得できなくなっているので、ユーザー獲得において結構苦戦しているのが現状です。
選んだyoutuberとその映像の内容によってユーザー獲得の「当たり」「ハズレ」が明確に出ます。youtuberの登録者数に比例して動画再生回数は稼げますがアプリインストール数が伸びない、そこから獲得したユーザーの質が悪くすぐに離脱してしまう、といったこともあるのです。
youtuberの人気=広告価格は比例しますが、実際に獲得したユーザー数とそのユーザーのLTVからROIを計算すると、全然割りに合わない場合もありますので、みなさんが担当しているゲームのターゲット属性に対して、いかに相性の良いyoutuberを選出するのかが重要です。
100万円出稿のyoutuberより50万円出稿のyoutuberの方が全然ユーザーの獲得効率が良かった!ということも、当たり前のようにあります。
とりあえず登録者人数が多くて、名前が知られているyoutuberだけピックアップして実行されているケースが多いと思いますが、ゲームとは嗜好性の塊のような商材ですので、そのyoutuberについているファンと、皆さんのゲームの嗜好性(ジャンルとかコンセプトとか)が一致しないと結果を出しにくいのです。
工数:★★★★
コスト: ★★★★★
効果: ★★★★★
獲得数: ★★★★
TVCM
TVCMも依然として新規ユーザーを獲得できる施策として有効ですが以前と比べると獲得効率は低下傾向にあります。
原因は次のようなものが考えられます。
・広告媒体の中心がTVCMからネットへのシフト
・スマホゲームという商材そのものの鮮度低下
・スマホゲーム業界における先行利益者の存在による引き剥がし困難
いわゆるスマホゲーム市場自体が成熟化してしまったゆえにTVCMの効果が効かなくなってきたとか、ユーザーの嗜好が多様化したためとか、様々な原因が考えられるのですが、これからも新規ユーザー獲得に有力な媒体であることには間違いないため、「TVCMの役割」を踏まえた全体設計が今後さらに重要になります。
TVCM単体施策でユーザーを獲得する、という発想のマーケターがまだ多いのですが、TVCM単体ですとなかなかユーザーは獲得しません。TVCMはあくまでも接触機会の一つと考え、WEB、SNS、OOH、PRといった様々な媒体をセットで、複合的に展開して接触機会を増やせるかが重要です。
実際のところTVCMとyoutuberの組み合わせで実施するゲーム会社も多いのですが、youtuberが以前ほど爆発的なインストール効果が得られにくくなってきているので、この2つだけでは不十分というわけです。多くのケースでうまくいっていません。
工数:★★★★★
コスト: ★★★★★
効果: ★★★★★
獲得数: ★★★★★
事前登録キャンペーン施策
アプリ配信前の事前登録キャンペーンは「質」「数」ともに新規ユーザーを獲得できるチャンスです。同じ1ユーザーでも、事前登録キャンペーン経由と、通常の獲得経由では「継続率」「LTV」が異なります。
タイトルによって変動するため一概に数字で表現できませんが、事前登録経由と通常経由では1.5倍から2倍のユーザーの質が違うと考えておきましょう。
事前登録するくらいのユーザーは、みなさんのゲームに相当関心があり遊んでくれるモチベーションを持った熱いユーザーです。むしろ事前登録ユーザーこそ重要であり、彼らをどうやって維持できるかがDAUを維持する攻略方法になります。
工数:★★★
コスト: ★★★
効果: ★★★
獲得数: ★★★
インストールキャンペーン施策
「ゲームをインストールするとXXXXがもらえる!」といったキャンペーンになります。
貰えるモノによって獲得ターゲットが異なりますが、まだゲームをプレイしていない新規ユーザー向けに対するキャンペーンですから、ゲーム内アイテムをキャンペーン商品にしても、そのゲーム内アイテムの価値が伝わりにくいため、どうしてもゲーム内アイテムにする場合は誰でもその価値が理解できる「XXX連ガチャ無料」といったガチャ訴求が多用されています。
その他、ゲーム以外のリアルインセンティブとしてアマゾンギフトコードやストアギフトコードや家電製品、食品などが使用される場合もあります。
いずれにしても、インストールキャンペーンの存在を新規ユーザーに伝えなければならないため、SNS、TVCM、デジタル広告との併用が前提となりますので、伝えるためのコストと工数が別に発生します。
100連ガチャ無料で獲得したユーザーは、「お得感」で釣っているので、オーガニックインストールユーザー(自然流入)と比べるとどうしてもユーザーの質は落ちがちです。ただしアマゾンギフトコードで獲得したユーザーは、ゲームと関係ない方法で獲得しているので、さらに質は落ちます。インストール後、すぐに離脱する可能性が高いのです。
インセンティブ施策は悪い施策とはいいませんが、設計次第では実施した割にインストールは取れても、すぐに離脱してしまうケースも多いので無駄な施策になりがちです。ここは注意しておきましょう。
工数:★★
コスト: ★★
効果: ★★★
獲得数: ★★
ストア対策
アプリストアによって新規ユーザーを獲得する施策です。大きく分けて3つがあります。
・ランキング流入
無料ダウンロードランキングからの副次流入を期待する施策です。ランキング上位に入るために、さまざまな施策を時間を合わせて集中投下することでランキング上位入りを目指すのが基本的な対応になります。
数年前に比べるとランキング流入は激減しました。以前の半分から1/3くらいになっています。これはストア上のランキング表示の変更による部分が大きいため、過度な期待できなくなっています。
・Feature掲載交渉
ストアの特設バナー掲載を狙う施策です。アプリ配信直後、または大型アップデートのタイミングなどにおいて、アプリストア側との交渉によって実現するケースがほとんどです。
・ASO対策
ストアの来訪したユーザーのインストール転換率をあげる対策です。
こちらの記事も参考にしてください。
ASOは無料でできるインストール獲得の改善方法です。ゲームの運営フェーズや、施策内容によって細かくチューニングすることで、インストール数の底上げが可能です。
工数:★★★
コスト: ★
効果: ★★★★
獲得数: ★★★
バズコンテンツ施策
Webコンテンツを制作して、そのコンテンツをプレイしてもらうことでネット上のバズを狙い、ターゲットユーザーに対するリーチを稼いでインストールを狙う施策です。
リーチさせても、必ずしもインストールに繋がるわけではないので一般的にはインストール数がそこまで稼げないのですが、
・バズの大きさ
・ゲーム内への導線(ゲーム内外連携設計)
・その他施策との連携技
などによって、効果が大きく変動します。
ただWebコンテンツを作ればいいのではなく、その内容次第で当たりハズレが大きく、緻密な計算と設計、アイディアとセンスが必要で、成功ハードルが高い施策です。
市場のトレンドや空気感で成功失敗のバラツキがあるため、複数案用意するのがおすすめです。成功打率は5割程度で見込んでおきましょう。よって1つの案だけで1打数1安打を目指すのはちょっとリスキーな施策でもあります。
絶対にバズる!と思って作成したコンテンツが100%バズる可能性はなく、それ1本しか打ち手を用意していなかったらハズレた時点で目標インストール数への影響は計り知れないからです。バックアッププランは必ず用意しましょう。
もし、皆さんのゲームタイトルで複数のターゲットユーザーが存在して、そのターゲットユーザーの属性が極端に異なる場合は、1個のバズ施策で異なる嗜好性を持つユーザーをカバーできません。複数のバズ施策が必要となります。
工数:★★★★★
コスト: ★★★★★
効果: ★★★★★ (施策設計次第)
獲得数: ★★★★★ (施策設計次第)
Twitter施策
こちらもWebコンテンツ施策と同様にリーチからのインストールを狙う施策です。
リーチさせても、必ずしもインストールに繋がるわけではないので一般的にはインストール数がそこまで稼げないのですが、アイディア次第で低コストで何度でもチャレンジできるので、新規ユーザーの数は事業計画上では計算できないけど、チャレンジ施策として常に網を張っておく施策として重要です。
Twitter運営については下記で詳しく書いていますので参考にしてみてください。
工数:★
コスト: ★
効果: ★★★★★(施策設計次第)
獲得数: ★★★★★ (施策設計次第)
Facebook施策
Twitterと異なりリアルな人間関係の繋がりに基づいたFacebookは、数は稼げないけど「質」の高いユーザーを獲得できる可能性があります。
リアルな人との繋がり活用する施策ですから、リアルな人の繋がりゆえに一度インストールをしてプレイしたら、簡単には辞めにくい施策設計ができると活用できます。
施策設計次第ですが理論上は、他経由で獲得したユーザーよりも、継続率が高いユーザーが獲得しやすいと思います。
facebookは40代以上のユーザーにむしろ有効です。40代以上のユーザーはTwitterをやらない、みない傾向が強いので彼らへの情報伝達手段としては唯一かもしれません。
若い人に聞いたらFacebookはビジネス向けと、おっさん向けのツールだよね。だから個人で繋がるにはインスタかLINEだよね。と言われたのですが、それは正しい表現だと思います。
工数:★
コスト: ★
効果: ★★★(施策設計次第)
獲得数:★★★ (施策設計次第)
リアルイベント
リアルイベントは基本的に既存ユーザーのコアファン化向け施策として設計されますがこちらもリアルな人との繋がり活用した設計をすることで、新規ユーザーを獲得することも可能です。
例えば友達を誘って参加するゲーム大会や、こちらの記事で書いたような別のグループを繋ぐリアルイベント設計など「数」は稼げませんが「質」が高く、将来にわたってインフルエンサーの役割を果たしてくれるファンを創出できるのはリアルイベントならではの特徴です。
広告代理店とかが出してくるプロモーションプランには必ずといっていいほど、リアルイベントが含まれているのですが、役割と設計が適切にできないと本当にコスト高で無駄で、自己満足の施策になるので要注意です。
基本的にリアルイベント単体を実施してもDAUなどのKPIには無風です。それ以外の施策とどう連携して複合的に設計して、リアルイベントにどのような役割を持たせるのか、という点が重要です。
工数: ★★★★★
コスト: ★★★★★
効果: ★
獲得数: ★
ゲーム内機能①
その昔、ソシャゲ時代ではゲーム内で友達招待コードを発行して、それを友達に入力してゲームを始めるとインセンティブがもらえる施策がありました。
この方法は現在はアプリストア規約に抵触する可能性もありますが、
「友達を誘いたくなる仕掛け」は新規ユーザー獲得において価値があります。
ポイントはネット上の誰でもいい「知らない人」ではなく、人間関係に基づいた「知っている人」の方が招待した後の定着率が高くなるのでおすすめです。Facebookとの連携など検討余地はいろいろありそうですね。
ちなみに、「ゲーム内に誘いたくなる行動」こそクチコミの正体の一部にあたります。
デジタル広告や様々な施策は「新規ユーザーを1本釣りし続ける行為」なのですが、お金が無限に存在して1本釣りすることは困難ですので
1本釣りしたユーザーが新しい友達を作れてくる仕組みを、ゲーム開発段階でどこまで盛り込めるかが「オーガニックユーザー(自然流入ユーザー)」に大きな影響を与えます。
ここが踏み込めていないゲームがほとんどですから、開発段階からどこまで踏み込めるかで将来が大きく変わります。
無限に宣伝費があっても広告やプロモーションでユーザーを獲得することには限界があります。そして広告経由で獲得したユーザーよりも、知り合いから誘われてインストールしたユーザーの方が継続率やLTVが高く、結果的にDAUに貢献できます
工数: ★★★
コスト: ★★★
効果: ★★
獲得数: ★★
ゲーム内機能②
友達招待機能と同じように、ゲーム企画そのものがひとりではなく「みんなでプレイすると楽しいゲーム」であればオーガニックユーザーの新規ユーザー獲得が期待できます。
ゲームの根本的な企画レベルまで踏み込む必要がありますが「ひとりで遊ぶゲームより、みんなで遊ぶのが楽しいゲーム」の方が圧倒的に新規ユーザー獲得ハードルが低いといえます。新規ユーザー獲得で頭打ちになる多くのゲームが「ひとりで遊ぶゲーム」であり、プロモーションではどうしようにもない状態だったりします。
「ひとりで遊ぶゲーム」であっても、そこに「友達を誘いたくなる拡散性」の有無で新規ユーザー獲得のハードルは全然変わってきます。
工数: ★★★★★
コスト: ★★★★★
効果: ★★★★★
獲得数: ★★★★★
ゲーム内機能③
ギルド機能が搭載されているゲームは多いのですが、その多くがゲーム内でおすすめされた「よく知らない人」だったりします。
友達招待機能に近い話ですが、このギルド機能に招待できるのはリアルな友達のみ、かつ友達のアクティビティ次第で、ゲーム内でアイテムがもらえる、といった設計ができるとオーガニック(自然流入)による新規ユーザー獲得が期待できます。
マーケティング100リストにも記載していますが「つくるマーケティング」でどこまでゲーム内の機能やプレイサイクルに「リアル友達を誘いたくなる要素」を設計して盛り込めるかがポイントです。ゲーム完成後にゲーム運営でのイベントやゲーム外施策で実現するのは難しのです。
「このゲームを楽しむためにAさんを誘いたい!」と思えるかが重要です。
工数: ★★★★★
コスト:★★★★★
効果: ★★★
獲得数: ★★★
まとめ
今回、ゲームアプリの「新規ユーザー」獲得に効果が期待できる施策について特集してみました。他にも様々な施策案はありますが、比較的「活用しやすいテクニック、施策事例」に絞ってみました。「これは!」と思う手段があれば、ぜひ活用してみてください。
よくわからない!具体的に相談したい!という方はLINEチャットで気軽に無料相談できる「トロネコのカベウチ」、もしくはメールにてご連絡ください。
みなさまからのご相談お待ちしております。
今回の連載企画記事はこちら
【第1回】新規ユーザーの獲得方法 【第2回】離脱ユーザーの復帰方法 【第3回】既存ユーザーの維持方法 |