Youtuber・動画を使ったゲームアプリプロモーションの設計方法(動画映像マーケティング)
こんにちは!ゲーム業界歴20年以上、ゲームマーケティング宣伝スペシャリストのトロネコです。
さて今回は、動画や映像を使ったプロモーションについてお話していきましょう。
もはや避けては通れなくい重要な施策である「動画・映像プロモーション」
動画施策については、ほとんどの宣伝マーケターが
「最低限やるべき基本ツール」として制作していると思いますが、それゆえに、あまり深く考えず制作されているケースが非常に多いのです。
たとえばゲームプロモーションでは必ず制作する「プロモーション映像」をひとつとっても、
「かっこよさ重視」「ゲーム会社側が伝えたい情報重視」で映像制作されがちで
これまでの慣例に縛られて、あまり深く考えず、制作されているケースが多いんです。
しかし、それって本当にもったいない!
動画施策にぞれぞれ役割を設定することでもっと効果を高めるプロモーション映像を制作することができます。
そんな動画施策の効果を高めるヒントについて
今回は「ゲームアプリの配信フェーズ」にあわせて想定される動画施策をベースに詳しく紹介していきますね。
よって、配信前のゲームでも、配信中のゲームでも、あらゆるフェーズにおける動画施策の悩みに対応できるように、心がけて書いてみましたので参考にしてみてください。
動画施策で期待できる効果まとめ
ところで、まず最初に動画施策による効果を整理しておきましょう。
動画施策というと一般的に「情報を伝える手段」として考えられがちです。これは間違ってはいないのですが、ゲームアプリマーケティングの世界においては、ちょっと考えが浅いのです。
単純に情報量だけでいうと、動画よりもテキストの方がたくさんの情報を伝えられます。
よって、細かく説明して情報を伝える媒体としては
動画よりもブログや、公式サイト、攻略Wikiの方が優れています。
それでも、あえて動画を使うということは、「情報」を伝えたいのではなく
どちらかというと視聴者の「感情」を動かしたいという目的があるわけです。
先に結論をお伝えすると・・・・
「説明を目的とした用途と動画施策は相性が良くありません」
「でも感情を動かして何かしらのアクションを促す効果は期待できます」
という感じ。
例えばTVCMも動画のひとつですが、
説明よりも記憶に残り、結果、感情を動かすクリエイティブがゲームアプリマーケティングにはユーザー獲得に効果があることはTVCMからも証明されています。
というわけで、多くの動画施策は「感情を動かす」目的で作られているのですが、使い方次第では「説明して情報を伝える」目的で設計することもできます(これ重要です)
これら設計方法を今回、ゲームアプリの各フェーズにおけるプロモーション施策にあわせてご説明していきますので、長文になってしまいましたが、最後までくじけずお付き合いください。
ほとんど語られていない結構深い話ばかりですので、わからないところがあったら、飛ばさず、何度も読み直してから進んでいただくのが良いと思います。
ゲームアプリにおける6つのフェーズ別・動画プロモーション
今回はゲームアプリマーケティングにおいて、大きな効果が期待できる動画プロモーションに絞ってご説明します。
ご紹介する以外にも多くの動画プロモーションがあります。
たとえばTwitterでキャラクターや必殺技紹介をしたり、インスタントウィンという動画を使った懸賞システムなど、細かい施策をあげたらキリがないのですが、これから紹介する動画施策に比べると、ゲーム事業に対する優先順位は落ちるため、今回は除外していますので予めご了承ください。
①【配信前】プロモーション映像
まず最初に取り上げる「プロモーション映像」とは、どんなゲームでも必ず制作する「ゲーム紹介映像」のことです。
PV、プロモーションムービー、本告ムービーなど名前はいろいろありますが、どれも同じものを指しており、これをみれば、ゲーム内容がわかり、観た人をわくわくさせることを目的に制作された映像になります。
どんなに低予算なゲームでも、プロモーション映像は必ず作るのではないでしょうか。
そんな「プロモーション映像」について目的、アクション、効果をまとめてみました
施策目的:該当タイトルへの期待感あげ
定性効果:期待があがって、もっと情報を知りたくなる
定量効果:公式Twitterをフォローする(=事前登録)
→Twitterをフォローさせること、これが事前登録フェーズにおけるプロモーション映像による施策の目標であり、コンバージョン成果ポイントになります
これらを実現するための映像の設計方法を考えてみましょう
長さ:期待感あげに効果的な冗長過ぎない1分程度
内容:ゲームの細かい説明よりも、視聴者のテンションをあげるもの
注意点:動画開始直後の掴みが重要。最後まで一気に観れる勢いが必要
プロモーション映像制作におけるNGリストを洗い出してみましょう
・ゲームシステムの細かい説明
・3分を超える長い映像
・最後まで観ないとわからない映像
プロモーション映像の目的は「期待感をあげ、その勢いで公式Twitterをフォローしてもらう」というゴールを設定するならば、これらNGリストは合致しない仕様といえますね。
制作した動画については、どのくらいのプロモ効果があったのか施策効果検証が必要です。多くの動画施策の場合「作っておしまい」 というケースも多いので、ここはしっかりやることで次の施策設計への反省とフィードバックへ繋がります。
そこで今回は施策効果検証のやり方についても説明していきましょう
A:プロモーション映像の制作費
B:この映像による事前登録の獲得数
C:事前登録の獲得単価
たとえば、こんな計算ができます。
A:制作費100万円 ÷ B:事前登録の獲得数1万件 =C:獲得単価100円
事前登録の獲得単価はゲームジャンル、モチーフの強さ(版権モノか否か)等によって異なりますが100~200円くらいですので、1万件の事前登録を獲得できるくらいの映像をつくらないと価値がないという計算になります。
プロモーション映像で1万人の事前登録を獲得するのはかなりハードルが高いのですが、そのくらいの目標をかかげて映像設計をする必要があります。
一方でゲームジャンルや獲得したユーザーの質によっては500円かけるだけの価値があるユーザーが獲得できるかもしれません。その場合は100万円の制作費をかけても2,000件とれれば良いという計算になります。
つまり、その映像は誰に向けて制作しているのか、もっと前段のマーケティング戦略もちゃんとできていないと、映像制作もうまくまわらないということになります。
ちなみに、プロモーション映像の再生数だけで効果判断をされる方もいますが、PV再生数の大小は関係なく、PV再生数が少なくても、事前登録で獲得できるユーザーの質が担保できれば効果があります。
よってPV再生数だけでプロモ映像の施策効果を語るのは非常にナンセンスでイケてないので、ここは注意しましょう。
②【配信前】ゲームシステム紹介映像
続いて、ゲームシステム紹介映像について説明していきましょう
プロモーション映像と何が違うの?
と思われるかもしれませんが、プロモーション映像のパートで、
「プロモーション映像ではゲームシステムの説明はNGですよ」
というお話をしました。
つまり「プロモーション映像」には目的があり、それを達成するためには「ゲームシステムの説明」は相性が悪いんです。
よって、プロモーション映像の中でゲームシステムの話は最小限に留めてそこから切り離して、ゲームシステムの紹介映像を別途作成した方が良いということになります。
では「ゲームシステム紹介映像」について、目的、アクション、効果をまとめてみましょう
施策目的:事前登録者のゲームシステム、ルール、攻略方法の理解促進、視聴者の熱量アップ
定性効果:ゲーム内容が理解でき、ゲーム配信までの準備ができる
定量効果:公式Twitterフォロー(事前登録)からのインストール転換率アップ
ゲームインストール後の初動離脱率軽減
意外に思われるかもしれませんが「ゲームシステム紹介映像」はアプリ配信前に公開する映像なのに
アプリ配信後のインストール率を高め、インストール後のゲームプレイ継続率に貢献が期待できるのです。
なぜ「ゲームシステム説明映像」がアプリ配信後に効果を発揮するのでしょうか?この疑問に対しては
「事前登録者がアプリ配信直後にインストールに至るまでの転換率」
「インストール後、日数経過と共にゲームを辞める離脱率」
この2点を理解する必要があります。
関連記事としては、こことここあたりに参考になりそうな記事があるので時間があるときに読んで欲しいのですが、ざっくりまとると
・100人の事前登録者はアプリ配信後に100人インストールしません
・だいたい30%から50%程度まで転換率は減少します
という避けては通れないゲームアプリの事実があります。
この転換率低下を軽減するために 「ゲームシステム紹介映像」を活用しようというわけです。
ゲームアプリは配信初日に100人インストールしても、翌日には半減、1週間後には7割が辞めてしまいます。辞めてしまう理由は幾つもあるのですが、その中でも大きな原因が
「ゲームシステムやルールの理解不足でゲームに勝利できない、クリアできず辞める」
というケースが多いのです(他にもいろいろあります)
この問題にゲーム開発者もマーケターも日々戦っているわけですが、今回「ゲームシステム紹介映像」を使って初期離脱要因を軽減しようというわけです。
いずれも、既に事前登録済のユーザーが対象であり、これから獲得する新規ユーザーではないので、それを踏まえた映像内容の設計も必要となります。
新規ユーザーにいきなり見せても、理解できる状態作りができていないので、新規ユーザーはTwitterやログ、公式サイトで段階的にゲームを理解しておく必要が別途あります
さて、これらを実現するための設計方法を考えてみましょう
長さ:特に問題なし
内容:ゲームシステムを段階的に理解させつつ、興味関心も同時にあげる構成
注意点:事前登録者がもっと知りたい内容が担保されているか
施策効果検証 のやり方は、実際に効果が出てくるのがゲーム配信後なのでちょっと複雑になります。
A:映像の制作費
B:事前登録済みユーザーが視聴した結果
熱量アップ、事前理解促進により事前登録からインストール転換率がアップしインストール数増
インストール後の離脱率を軽減したことで獲得できた人数
C:獲得できたユーザーが将来使ってくれるゲーム内課金
たとえば、こんな計算ができます。
A:制作費100万円 ÷ B:獲得人数1,000人 =C:獲得単価100円
B:獲得人数 × D:このゲームの生涯課金平均額(LTV)=E:想定売上
※LTVとはLife Time valueの略称で1人のユーザーがこのゲームで生涯に使う平均課金額
E:想定売上 ÷ A:制作費 =F:ROI
※ROIとはReturn of investmentの略称であって映像制作費100万円の投資に対して、将来ゲーム内で200万円の売上がみこめるならROI2.0となります。ROIも施策効果の検証に使われる数値です。
やばいですね・・・急に難しい計算式がでてきて理解できなくなった人がでてきたらトロネコの説明がわかりにくいのかもしれません・・・すいません。
ちなみに、アプリ配信後に「ゲームシステム紹介映像」を公開して、再生数が伸びないことに悩んでいるマーケティング担当をたまにみかけます。
でも、それは仕方ないことなのです。
ユーザーからするとアプリ配信後に 「ゲームシステム紹介映像」をあえて見るべき理由がありません。
なぜなら、いますぐダウンロードしてゲームをプレイすればいいからです。
「ゲームシステム紹介映像」 のようなジャンルの映像はアプリ配信前に「タイミング」を「視聴ターゲット」を考えて公開しないと価値を発揮できないということを認識しておきましょう。
アプリ配信前でゲームがプレイでいないから「ゲームシステム紹介映像」は観るだけの価値がユーザーにとってあるのです。
③【配信後】ゲームアプリインストール直後の初心者向け映像
そういえば、こんな話を先ほどしました。
ゲームアプリは配信初日に100人インストールしても、翌日には半減、1週間後には7割が辞めてしまいます。
それを軽減するために多くのゲーム開発者は
チュートリアル改善をしたり、辞めさせないようにゲーム内アイテムを配ったり(ログインボーナス機能はこれに相当します)、あの手この手を使って食い止めようと日々努力しています。
※チュートリアルとはゲーム開始時にゲームシステムをストレスなく説明してくれるゲーム内機能
しかし、ゲームアプリの場合、インストールユーザーの半分が初日に辞めてしまうという恐ろしい事実を考えると、7日間ログインすれば素敵なアイテムをゲットできる「ログインボーナス」が彼らにとっては全くを持って無力であることがわかると思います。
また先ほど「ゲームシステム紹介映像」 のパートでこんな話もしました
辞めてしまう理由は幾つもあるのですが、その中でも大きな原因が「ゲームシステムやルールの理解不足でゲームに勝利できない、クリアできず辞める」というケースがあげられます。
初日で辞めてしまう人の多くがゲームシステム、ルール、遊び方、攻略方法などを理解できないことを原因として辞めてしまうのです。
そのためにチュートリアル機能(ゲームのルールを説明するゲーム内の機能)を実装するわけですが、それだけでは役不足なのです。
なぜならチュートリアル機能でも彼らは救えないほど辞めやすいゲーム耐性だからです。
Youtubeの影響もあり最近のユーザーは文字を読むより、動画の方が伝えやすい、むしろ動画じゃなければ見ないとまで言われていますが
チュートリアルで対応しきれないことをバックアップするのが、このパートでご説明する「ゲームアプリインストール直後の初心者向け映像」というわけです。
といわけで、この映像について目的、アクション、効果をまとめてみましょう
施策目的:インストール直後の初期離脱軽減(特にインストール初日重視)
定性効果:離脱原因が解決できることでゲームをもう少しだけ続けられた
定量効果:インストール初日の離脱率が軽減される
続いて、これらを実現するための設計方法を考えてみましょう
長さ:30秒以下(初日で辞めてしまうような人ですから長時間の視聴耐性が低い)
内容:初日で辞めてしまう原因TOP3を解決してくれる内容
注意点:何を解決する動画で、解決してくれそうな動画であることが動画のサムネイルを見たら直感的に理解できなければ見てくれません
※初日でこのゲームを辞めてしまう原因TOP3を事前に突き止めておく必要はあります。ユーザーテスト調査をやってもいいですし、仮設に基づいた離脱要因でも結構です。
この映像でやってはいけないNGリストを洗い出してみましょう
・辞めようとしているユーザーが持つ課題を解決できない映像
・30秒を超える長い映像
・観ようというモチベーションが起きない映像
・最後まで観ないとわからない理解できない映像
・ゲーム外のYoutubeチャンネルにアップされている映像
一番最後の項目は非常に重要で、かつ見過ごされているケースが多いので要注意です。
なぜなら、今、まさに問題を抱えて自己解決できずゲームを辞めようとしているのに、その問題をゲーム内で解決せず、ゲーム外のYoutubeチャンネルに飛ばすのはゲームからの離脱を促進しているようなものです。
必ずゲーム内で、悩みを持っているユーザーを解決する映像を直接見せる設計が必要です。
たとえば、こんな打ち手が想定されます
・チュートリアルが終了した後に、あらためてわからないことを選択させて埋め込んだ動画を見せる
・ゲームインストール時に簡単なアンケートをさせてゲーム耐性を事前に把握しておき見せる
・問題を解決してくれる動画の存在をゲーム内TOPバナーで伝える
施策効果検証のやり方は先ほど説明した 「ゲームシステム紹介映像」とほぼ同じですね
施策効果検証 のやり方
A:映像の制作費
B:インストール後の離脱率の改善によって獲得できた人数
C:改善によって獲得できたユーザーが将来使ってくれるゲーム内課金たとえば、こんな計算ができます。
A:制作費100万円 ÷ B:獲得人数1,000人 =C:獲得単価100円
B:獲得人数 × D:このゲームの生涯課金平均額(LTV)=E:想定売上
※LTVとはLife Time valueの略称で1人のユーザーがこのゲームで生涯に使う平均課金額を指しますE:想定売上 ÷ A:制作費 =F:ROI
④【配信後】Youtuberによるゲーム紹介
最近はどのゲーム会社でもやってるYoutuber施策
Youtuberを使ったゲーム紹介映像は、以前と比べるとその効果は低下傾向にありますが、依然として新規ユーザー、離脱ユーザーの復帰が期待できる施策です。
なぜ新規ユーザー、離脱ユーザーの復帰が見込めるかというと
・Youtuberのゲームプレイを見て
・共感した結果、自分もプレイしたいと思い
・新規インストール、または復帰する
つまり、視聴者のテンションをあげてくれる施策だからです。
Youtuberによるゲーム紹介がゲームのインストールに繋がるのは、視聴者の心を動かし、インストールというアクションに繋がる効果があるためで
深夜のショッピング番組で、つい不要なものを買ってしまうような心理状態に近いかもしれません。
ただし、獲得できるユーザーは、そのYoutuberチャンネル登録をしている「そのYoutuberのファン」であり、そこから大きく超えてユーザー獲得することはできません。
よって、Youtuberについているファンと
該当するゲームとの相性が重要で、この良し悪しが結果に大きく影響します。
相性がよければチャンネル登録数が少ない Youtuberでもインストール数が獲得できますし、
相性が悪ければチャンネル登録数が多いYoutuberでもインストール数が獲得できません。ゲームプロモーションにおいては、必ずしもチャンネル登録者数の多さが施策効果と比例しないことに注意が必要です。
また、最も重要なポイントは視聴者の心を動かせるか否かであり
ゲームプレイしているYoutuberが、そのゲームを心から好きか好きでないか、によってインストール数が大きく変動します。なぜなら視聴者は無意識のうちに、観ているYoutuberが楽しんでいるのか、そうではないのか察しているためで、それが視聴者の共感度に影響を与えるためです。
つまり、お仕事的に心から楽しまずプレイしているYoutuber施策の場合は、良い数字がでません。)ということは、優秀なYoutuberになるためには共感を生む、自分自身が楽しむことが重要という裏返しなんですね)
話が脱線してしまいましたが、というわけで、このYoutuber施策における
目的、アクション、効果をまとめてみましょう
施策目的:視聴者を共感させゲームをプレイしてもらう
定性効果:あのYoutuberが楽しんでプレイしてるので楽しそう、プレイしてみたいと思う
定量効果:新規ユーザーの獲得、または離脱ユーザーの復帰数
続いて、これらを実現するための設計方法を考えてみましょう
長さ:特に無し
内容:ゲームの楽しさがYoutuberのプレイをもって画面から偽りなく伝わってくるもの
注意点:実演するYoutuberについているファンの属性によって効果が大きく変動
施策効果検証の方法も前回紹介したものと、若干違いはありますがほぼ同じです
施策効果検証 のやり方
A:Youtuber施策の広告費
B:新規ユーザー数、または離脱したユーザーの復帰数
C:獲得したユーザーが将来使ってくれるゲーム内課金たとえば、こんな計算ができます。
A:制作費100万円 ÷ B:獲得人数1,000人 =C:獲得単価100円
B:獲得人数 × D:このゲームの生涯課金平均額(LTV)=E:想定売上
※LTVとはLife Time valueの略称で1人のユーザーがこのゲームで生涯に使う平均課金額を指しますE:想定売上 ÷ A:制作費 =F:ROI
⑤【配信後】ネット番組によるゲーム紹介
ネット番組といえば、ニコニコ生放送、AbemaTV、YoutubeLIVE、ペリスコープ、LINELIVEなど様々な配信媒体があります。
あまりにもメジャーな施策なので、ゲームアプリのプロモーション担当をされている方は、何かしらネット番組を作成して放送したことがあるかもしれません。
しかし、残念ながらネット番組はゲームプロモーションの効果としては限定的で、普通に実施するとお金だけがかかってしまい、プロモーション効果が期待できません。よってかなり割り切った設計をする必要があります。
その理由は
・新規ユーザーはそもそも興味がないので観る理由がない(新規ユーザーはとりにくい)
・番組内でゲームを辞めた離脱ユーザーは観るだけの価値はつくれなくはないけど、彼らは観たいと思わないし、辞めていった彼らに観せる手段は限られている(離脱ユーザーも復帰させにくい)
というわけです。
新規ユーザー、離脱ユーザーに届けるにはSNSや広告、生放送媒体での露出など、さらにコストがかかりますが、費用対効果がまったく合いません。
なんとかして、その生番組を観てもらおうと、有名タレントを読んだり、プレゼントを用意したり、ニコニコ生放送、AbemaTV内から誘導をかけたりすることで、視聴者を増やすことはできますが、そうやって集めた視聴者はゲームインストールや復帰に繋がりにくいのです。
なぜなのでしょうか?
・視聴者にとって興味があるのは番組であり、そこで紹介しているゲームは興味の距離は遠い。
・理屈の上では番組を観る前にある程度、ゲームとの距離を縮めて状態を改善しておけばインストールや復帰が見込めるかもしれませんが難易度は高い
動画施策の効果は視聴者をどうやって集客したのか「集客方法」によって効果が大きく変動します。
また新規ユーザー、復帰ユーザー、既存ユーザーではネット番組の内容に対して求める内容が大きく異なり、一つの番組で3者のニーズに応え、抱えている問題を解決するのは非常に難しいこともあります。
ネット番組は新規ユーザー、復帰ユーザー獲得には向かないというのが基本的な考え方です。
※厳密にはユーザーが全く獲得できないわけではありませんが、コストに対して1ユーザーの獲得単価がおそろしく高額であり、獲得したユーザーが将来使ってくれるLTV(Life Time value)とまったく見合いません
よって、ネット番組の多くは、今プレイしている既存ユーザーの維持、離脱防止目的として設計されるケースが殆どですし健全です。既存ユーザーに振り切れば番組内容も振り切れますし、ゲーム内から動線を持って来れば視聴してもらえる可能性が高いためです。
といわけで、ネット番組施策の目的、アクション、効果をまとめてみましょう
施策目的:既存ユーザーに観てもらいこれからもゲームを続けてもらえるよう熱量をあげる
定性効果:来週も、来月も、このゲームを続けていこうという想いが高まる
定量効果:1週間、1か月、2か月スパンでの離脱率が緩やかに軽減される
続いて、これらを実現するための設計方法を考えてみましょう
長さ:特に無し
内容:既存ユーザーが求めている情報
注意点:既存ユーザー向けのコンテンツですので、ゲーム内での告知、誘導はもちろん、ゲーム内で超人気イベントが実施しておりユーザーが離れられないタイミングなどは、生放送実施は避けるべきです。
「いま生放送やっているけど、ゲーム内で時間限定特別クエスト開催中だから視聴している場合じゃない」といった笑えないことが起こりうるわけです。
検証方法はこれまでとほぼ同じです
施策効果検証 のやり方
A:ネット放送施策のコスト
B:番組放送以降の本来なら辞めてしまう予定だったユーザー数
C:辞めさせず離脱を防いだユーザーが将来使ってくれるゲーム内課金たとえば、こんな計算ができます。
A:制作費100万円 ÷ B:獲得人数1,000人 =C:獲得単価100円
B:獲得人数 × D:このゲームの生涯課金平均額(LTV)=E:想定売上
E:想定売上 ÷ A:制作費 =F:ROI
ゲーム配信後の効果検証についてはこのパターンで算出できますので押さえておきましょう。
ところで、生放送施策の効果は即時的にはみえにくく、1週間後、1か月後に緩やかに効いてくるケースがほとんどです。なので、生放送を実施したことで1ヶ月後にどれだけのユーザーを維持できたのか、その差分を見る必要があります。
一方で生放送中に、番組内でゲーム内の強力アイテムをプレゼントすることで、意図的に数字上の効果を出すことも可能ですが、アイテムというモノで釣る施策は瞬間的な数字の盛り上がりはつくれても、本質的な改善は見込めません。生放送施策は基本的に長期的効果を狙った施策であり、短期的効果を狙うならば、別に生放送ではなく、理論上はTwitterを使った施策でもいいわけです。
⑥【配信後】ゲーム内容のアップデート情報訴求映像
最後にこちらも、よく目にする映像施策「ゲームの大型アップデートに合わせた情報訴求映像」について説明しましょう。
大型アップデート、1周年合わせでのアップデートなど
従来と比べてどれだけ変わったのか、その魅力をドラマチックに伝えて、今後も遊びたくなる心理状態を作り出すために有効な施策です。
大型アップデートのたびに、映像を作っているゲームは多いのですが、ただ作るだけでなく、その内容と公開タイミング次第で、効果を最大化することができます。
といわけで、ネット番組施策の目的、アクション、効果をまとめてみましょう
施策目的:大型アップデートに向けた期待感をあげ、アップデートまで、辞めずに居続けてもらう
定性効果:大型アップデートまでは辞めずにプレイしようという意識が高まる
定量効果:大型アップデート直後の盛り上がりを最大化すべく、それまでの離脱率を軽減できる
続いて、これらを実現するための設計方法を考えてみましょう
長さ:60秒以下(プロモーション映像に近い)
内容:既存ユーザーのニーズに応える情報
注意点:この映像はアップデート内容を適切に、かつ効果的に伝える手段ですので、アップデート内容がしょぼかったり、ユーザーの期待値にそぐわなかったりすると、どんなに映像を設計しても効果は出せません
施策効果の方法は他で説明しているのと同じパターンですね
最後に
今回フェーズごとに動画を使った施策についてまとめてみましたが、いかんせん文字数が多くなりすぎてしまいました・・・なんと1万文字超えです!!これは反省しなければなりません。
これでも、すべてを語るにはまったく時間が足りないので、かなり端折ってしまいましたが、少しでも動画施策におけるヒントがお伝えできたなら、この記事を書いた価値がありました。
というわけで最後まで読んで頂いてありがとうございました。
今回の話はゲーム事業だけでなく、様々な業界でも転用できると思いますので参考にしてみてください!
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