【ゲーム開発】完全新規ゲームの99%が失敗して、キャラ版権ゲームが売れる理由(IP知的財産)

お知らせ

【大公開】自社オリジナル完全新規ゲームを成功させるヒント

こんにちは!

ゲームマーケティングスペシャリストのトロネコです。

今日は、ゲームの仕事をしていると、誰でもきになる素朴な疑問についてお話しましょう。

それはゲーム会社はなぜ

・自社の新規オリジナルゲームではなく

・人気漫画、人気アニメなどキャラクター版権を使ったゲームばかり開発するのか

という話です。

スマホゲームで生まれた完全新規タイトルの有名どころといえば

「パズドラ」「モンスト」などがありますが

これらが生まれたのは、もう5年以上も前なんです。

それ以降、様々な完全新規タイトルが発売されましたが、なかなかヒットせず

いまとなっては売上上位ランキングは「人気漫画、人気アニメなどキャラクター版権を使ったゲーム」ばかりが占めるようになりました。

このような状況は決していまに限った話ではなく、過去に家庭用ゲームでも度々あったのですが

ゲーム市場が成熟するとキャラクター版権モノばかり発売されるというのは、

過去の歴史をみれば想定の範囲なんですね。

 

キャラクター版権と完全新規ゲームの定義とは?(IP知的財産の話)

ワンピース、ガンダム、ドラゴンボール、ナルト

これらは漫画アニメを原作にするキャラクター版権ゲームですね

ポケモン、ドラクエ、ファイナルファンタジー、マリオ

これもゲームから生まれて長い時間をかけてシリーズ作品を通してファンを獲得してきた作品です。

これらを一般的にIP(intellectual property)知的財産とゲーム業界では呼びます。

IPはその名の通り「財産」としての価値があるので、冠を使ったゲームを出すことで一定の売り上げが見込めます。

一方でゲーム会社がまっさらな状態で新規に生み出すタイトルをここでは「完全新規タイトル」と呼んでいますが、まっさらな完全新規ですから、IPとしての価値は存在しません。

完全新規タイトルの99%が失敗する理由

実験に失敗した博士のイラスト

あらゆるゲーム会社が毎年何本も自社オリジナルの完全新規ゲームを世の中に出しています。

その傾向は、PS4などの家庭用ゲームよりもスマホゲームの方が多いんです。

 

なぜかというと

家庭用ゲームを購入する人はゲームファンだからゲーム選びの目利きが厳しいんです。

しかも家庭用ゲームは購入する時点でその対価を支払わなければならないので、ユーザーはハズレを引きたくないでうすから。面白さが保証されているゲームを選ぶ傾向があります。

結果、よくわからない完全新規のゲームよりも、ある程度の面白さが担保されたシリーズ作品や、キャラクター版権モノが売りやすいんですね。だから家庭用ゲームで完全新規のゲームで成功を収めるのは非常にハードルが高く1年に1本、2年に1本くらいしか完全新規でヒットが出てきにくい市場なのです。

だからドラクエ、ポケモン、ファイナルファンタジーなどのシリーズ作品が多くなってしまいます。

 

一方でスマホゲームはゲームファンではなくても、スマホを持っていれば無料ダウンロードで遊べる市場です。いわゆるスマホユーザーがターゲットになりえるというわけです。

ゲーム自体にIP力がなくても、ゲームが面白ければ遊んで貰える可能性があるんですね。

よって、スマホゲームでは数多くの完全新規タイトルがリリースされています。その中で「パズドラ」「モンスト」のような当時としては無名の完全新規ゲームが生まれたという経緯があります。

しかし「パズドラ」「モンスト」の登場から5年以上経過すると

スマホユーザーもゲームに対する目利き力あがってきたので、家庭用ゲームと同じように

・無料であってもハズレを引きたくない

・確実に面白いゲームを選びたい

という想いが湧き上がってきたわけです。

結果、かつてはジャパニーズドリームともいえたスマホゲームは、家庭用ゲームと同じ道を辿り、完全新規ゲームの成功率がぐーんと下がってしまったわけです。

それでも家庭用ゲームと比べればまだジャパニーズドリームの余地は残されているのですが、「モンスト」「パズドラ」の時代と比べると完全新規タイトルの成功率はかなり落ちてしまいました。

結果として完全新規ゲームの9割以上、いやほぼ失敗するような状況になって

各ゲーム会社の売上が下がったのが2019年であり

多くのスマホゲーム会社はIPモノばかりつくるようになりました。

IPモノ、いわゆる版権・シリーズ作品の成功確率が高い理由

理由はいたってシンプルです。

「版権・シリーズ作品には既にファンが存在するから」

ファンが既にいるから版権モノには価値があり

高いお金を出してでも許諾してもらいゲーム化する価値があります。

逆を言えば、ファンが少ない版権モノはゲーム化されにくい事になります。

ゲーム作品のシリーズモノも、シリーズを重ねる中でファンを獲得してきたわけで、

続編を出しても一定の成功が見込めるというわけです。

版権・シリーズ作品ともに、ゲーム化するにあたって

その時点で固定ファンが存在するわけで、ファンがいる状態で権利を許諾獲得してくるわけですから、

相当に変なことをしなければ、成功する可能性は高いのです。

ゲームの開発費は年々高騰傾向にあるので、企業としてはリスクは避けたいところ。

完全新規ゲームよりも、既にファンが存在する(新たにファンを獲得するコストをかける必要もない)

版権・シリーズ作品は、大きなリスクヘッジになります。

完全新規ゲームの成功確率が低い理由

一方で、完全新規ゲームは、当たり前の話ですがファンがゼロの状態からスタートします。

ゲーム発表から配信(発売)までの限られた時間の中で、

何年にもわたってファンを育ててきた版権・シリーズ作品の状態に近いところまで

ファンを育てなければなりません。これは非常に難題です。

たとえばポケモンのファンが500万人いるとして

そのファンは30年もの月日をかけて獲得してきたファンとしましょう。

でも完全新規タイトルは、ポケモンほどの規模は無理としても

発表から配信までの短期間である程度のファンを自ら作らなければなりません。

しかも強豪ひしめくゲーム業界、キャラクター市場で

そんな強豪に夢中なユーザーを引き剥がして、完全新規タイトルに振り向かせなければなりません。

冷静に考えたら無理ゲーだと思いませんか?

きっと1万人のファンをつくるだけでも、完全新規タイトルではハードルの高い目標でしょう

事前登録はリアルファンの人数を把握できるバロメーターです。

 

でも見た目だけファンがいるように数字を作るのはお金があれば誰でもできます。

 

でもそうやって100万人もの事前登録を集めた完全新規タイトルがサービス開始から半年も経たずサービス終了の判断をするような状態ですから

こういった数字がどれほど意味なく、完全新作タイトルでも1万人のファンを獲得することのハードルの高さと、でもそれが本質的に重要な事であることは理解していただけると思います。

完全新規タイトルはゲーム会社内から選出されたイチオシタイトルのはずなのに売れない理由

企画書のイラスト

そんなことはゲームの作り手や、トロネコのようなマーケターでもわかっていること。

だからこそ、ゲーム会社では数多くの

・ゲームの企画書がつくられ

・有望な企画からプロトタイプ版(試作品)がつくられ

・その中からさらに有望なゲームを絞って本開発している

わけですね。

それでも完全新規タイトルは簡単に売れません。

たぶん、10本発売して1本売れたらいいくらい、3本売れたら大成功といった感じです。

でもスマホゲーム会社は1打数1安打を狙っているんです。

だから年間で2本つくって、2本とも失敗したら会社が傾いてしまうという非常にリスキーな状態が今起こっています。

これは長く家庭用ゲーム業界にいたトロネコとしては、無理ゲーだと断言するのですが、そこが彼らんはわからないんです

なぜなら、ヒット作を連発しているようにみえるかもしれない、あの任天堂さえもニンテンドーDS、3DSの時代では多くのタイトルを発売して、多くの失敗をしています。

つまり完全新規タイトルで勝負するならば

絶対に行ける!売れる!という確信めいたチャレンジできるタイトルに絞って発売するのは大前提ですが、ある程度の打席は絶対に必要なんですね。

完全新規タイトルの成功には打席が必要な理由

野球のバッターのイラスト

ゲーム会社内の企画会議で生き残ってきた

イチオシの自信に溢れたゲームが1打数1安打で結果を出せない理由は非常にシンプルです。

・イチオシの自信に溢れた面白いゲームというのは思い込みである

これは単純に面白いと思い込んでいるだけで全然品質低くて面白くないものを世の中に出しているから売れないというケース。理由はシンプルにそのゲーム会社の事業決裁者、または組織としてゲームの目利きがいないということですね

・ゲームがヒットする理由は組み合わせ方に大きく依存する

ゲームが売れるための計算式をつくるなら、こんな感じになります

ゲームジャンル × コンセプト&テーマ × ゲームとしての面白さ

ゲームジャンルだけとっても

RPG、シューティング、アクション、パズルなどいろいろありますね。そしてジャンルごとに年齢性別やゲームに対する人生経験値が全然違うんですよ。

男性に売りたいのにパズルゲームを選択した時点で女性寄りになってしまいます。

このパーツの掛け合わせがたった1作品でバッチリ決まるなんて宝くじに当たるようなものです。

2020年、このコンセプト&テーマは絶対にウケるんだけど

シューティングを選択したことで失敗してしまった

でもRPGだったらヒットしていたとしたら・・・・

ある程度の打席数は必要であり、ゲーム会社内でその可能性を自ら潰しているケースって結構あるんですよね。潰している側がそれに気づいていないだけで。

一方で、IP力があるキャラクター版権モノは

あまりにもキャラクター版権パワーが強すぎるので、ジャンルの不一致、ゲームの面白さ不足でも、なんとかキャラクターパワーで乗り越えられてしまう場合が多いんです。

これが、ゲーム市場が成熟してくると、多くのゲーム会社がシリーズモノや、キャラクター版権モノばかりに依存してしまう大きな原因というわけです。

完全新規ゲームの成功確率を上げる方法

野球のイラスト「ヒットを打ったバッター」

ここまで読んでいただくと

「完全新規ゲームなんて、リスクが大きいから、もうつくれないよ・・」

と思ってしまうかもしれません

でも、ちょっと待ってください!

マリオもドラクエも、元は完全新規ゲームでした。そしてゲームの歴史は完全新規ゲームの「登場によって何十年もかけて作られてきました。

ゲームが「未知なる遊びへの飽くなき追求」から生まれた過去をみれば、これからもそれはかわりません。完全新規ゲームでメガヒットを生み出すことは可能なのです。

なので、最後に完全新規ゲームでヒットを生み出すための道筋をお話ししますね

・ゲーム会社の内部にゲームの目利きを育てる

個人でも組織でも結構です。決裁権を持つ目利きを作ってください。ゲームは人間の感情を動かすエンタメですから、数字だけでは正解を算出できません。純粋に面白い、面白くないがジャッジできるかが重要になります。

・質の高いゲームで打席を増やす

1打数1安打は基本的に困難ですしリスキーです。

チャレンジの打席を増やさなければ完全新規タイトルは生まれません。完全新規ゲームで成功した会社は相当数の打席にたって、その数だけ失敗しています。

ただ、それがヒットに隠れて意識されないだけです。

・これだけは他社に負けないジャンルをつくり、面白さが保証されたゲームエンジンをつくる

アクションゲームに強いカプコン、RPGを得意とするスクウェアエニックス、スポーツが得意なコナミ、といったようにゲーム会社って長年にわたって積み上げてきた他社には真似できない得意なゲームジャンルがあるんです。

でもスマホゲームを中心とした会社は、あらゆるゲームジャンルに手を出して、得意とするゲームジャンルを持っていないケースが多いのです。

得意ジャンルを持っている=圧倒的に面白さが保証したゲームエンジンがある

ということなので

ゲームが売れるための計算式における3つの要素のうち

ゲームジャンル × コンセプト&テーマ × ゲームとしての面白さ

1番目「ゲームジャンル」3番目「ゲームとしての面白さ」の変動要素がある程度クリアになります。

だから勝率の高い得意なジャンルの上で「コンセプト&テーマ」の載せ替えで勝負がしやすくなります。

これは圧倒的なアドバンテージであり、限られた打席しか立てなくても、成功の打率があがります。

・ゲームの発表から配信(発売)までに「完全新規ゲーム」に熱狂的なファンをつくる

これも当たり前の話なのですが、多くのゲーム会社はここが抜けています。

見た目の事前登録を積み上げて

配信直後に事前登録からのインストールを稼ぐ

といった数字ばかり見ているのです。

でも本質的には、インストールという「数」を稼ぐことが目的ではないですよね?

だってインストールしてくれたユーザーは翌日には半分は辞めてしまうのが無料であそべるゲームアプリの特性だからです。

でも翌日残って遊び続けてくれるユーザーは、ほぼ間違いなくファンの含有率が高いと思います。と考えると、

事前登録数よりも、インストール数よりも、この完全新規ゲームを好きになってくれるファンが重要であり、数年後、このゲームはそのファンだけで支えられている状態になるわけです。

だからこそ

ゲームの発表から配信(発売)までに「完全新規ゲーム」に対して
熱狂的なファンをつくるということです。

その数は1万でもいいのです。

え!?1万じゃ少ないと思いますか?

そんなことはありません!

配信までに1万の熱狂的なファンを生み出せれば、実は広告効果もあがるんですよ!

これはまた別の機会にお話ししましょう

最後に:ファンをつくるとはどういうこと?

胸の位置でうちわを持つアイドルファンのイラスト

あなたが完全新規ゲームのファンことをイメージしてみてください

「そのタイトルの事が気になって仕方ない」

「ゲームも遊びたいけど、キャラクターとか世界観とかゲーム以外の事も気になる」

「この想いを誰かに伝えたい」

きっとこんな感情が心の底から自然に沸き起こってくるハズです。

これがファンになるための第一歩の心理状態です。そんな想いを配信までに何人作れるかが完全新規ゲームの成功を大きく左右します。

ポイントは「心の底から自然に沸き起こる状態」であり
モノで釣ったり、見せかけで騙して、数を稼ぐことではありません。

でも、それがでいない、自分には無理だ!と思うならば

完全新規タイトルの創出はあきらめて、キャラクター版権やシリーズ作品などのIPモノだけを作り続けるという潔さもゲームビジネスにおいては賢い選択だと思います。

タイトルとURLをコピーしました