【ユーザーインサイト】ファンが存在するIPのゲーム化は「期待値ギャップ」が大きいほど失敗します

ゲーム開発

こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はシリーズモノや版権キャラクターなど「既存ファン」が存在するIPを使ったゲーム化は、ファンの期待値とのギャップがあるほど失敗しやすいという話をします。

いわゆるユーザーインサイトに踏み込んだ「ファンの期待値コントロール」の話です。そして結構、奥の深い話ですので、意味不明な部分も出てくるかもしれませんが、できるだけわかりやすく解説しますのでご了承ください。

 

例えば「人気版権キャラクター」にはその世界観から「アクションのイメージ」が定着しているとするとしましょう。ファンが求めるのは当然「アクション性の高いゲーム」となります。

しかし、ファンが求めるものと違う「パズルゲーム」を作ってしまうと

「とりあえずインストールして遊んでみたけど期待していたものと違ったからゲームを辞めた」

となってしまいます。

これが「ファンによる期待値のギャップ」です。

そして「ファンによる期待値のギャップ」はゲーム離脱に繋がります。

しかも、ここで離脱したファンは今後、このゲームアプリを支えてくれる可能性が非常に高いファンであり、配信後に獲得した一般的なユーザーとは比較にならないほど重要なファンなのです。

よって、ここでまずやるべきことはファンの期待値に沿うように「パズルゲーム」ではなく「アクションゲーム」を第一に考えるべきです。

しかし、実際には「アクションゲーム」が作られないケースが多いのです。

なぜ、「アクションゲームが作られないのか?」
そして「間違いはなぜ起きてしまうのか?」

今回、深く掘り下げていきます。

【目次】
・なぜファンの期待に応えられないゲームが作られるのか
・何度もゲーム化されたIPならゲームジャンルの多様性は許容される
・完全新規タイトルは最初に作ったゲームからIPのイメージがつくられる
・ファンの期待値のキャップから想定されること

なぜファンの期待に応えられないゲームが作られるのか

ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのナンバリング新作は必ず「RPG」であるように、ファンも「いつものRPG」を期待しています。

しかし、明らかに「RPG」を期待しているのに、「パズルゲーム」が作られてしまう場合があります。

こんなことは長年に渡って「RPG」のブランドを築いてきたドラゴンクエストやファイナルファンタジーでは、まず無い話ですが、例えばキャラクター版権モノではあり得る話です。

世界観やキャラクター性から「アクション」が楽しいキャラクター版権モノなのにアクションゲームではなく、パズルゲームが作られてしまう

といった事が起こるわけです。
(この例はダミーなので特定のタイトルを指しているわけではありません)

なぜ、アクションゲームではなく、パズルゲームが作られるのか?その理由は次のいずれかで説明ができます。

・ゲーム会社側の事情
 (開発費の節約、開発期間の短縮、既存のゲームエンジンを流用によるコスト削減)
・作り手の一方的な思い込み(アクションゲームではなくパズルゲームを作りたい)
・ユーザーの期待値やニーズの理解不足

いずれも、ユーザー視点が欠けているのが原因です。
冷静に考えれば、普通のゲーム会社ではこのような事はまず起こりませんが、さまざまな事情から実際に起こりうる話です。

しかし、冷静になって考えてみてください。

「ユーザーの期待値に反するゲームはユーザーの反感を生み離脱に繋がります」

その結果、ゲーム事業として苦戦しそうなのは容易に想像できそうです。
なぜ、こんなことが起こってしまうのは、それはそもそものゲーム事業の「目的」が「整理」されていない事が原因なのです。

ただし誤解しないでください。必ずしもユーザーが求める「アクションゲーム」を作らなければならない、というわけではありません。これらの状況を踏まえて、あえて「パズルゲーム」を選ぶならば、その選択を持って「事業を成功させる戦略」がセットで必要なのです。

多くのケースで、勢いで作ってしまい、開発終盤で市場調査やCBT、OBTの結果、またはタイトル発表後にSNSでの反応で「ユーザーの期待値とのギャップ」に気づきます。(そんな経験ありませんか?)

しかし、そこではもう手遅れです。

このような「手遅れ」が様々な会社で、または同じ会社の違う部門で何度も繰り返されているのは事実です。ここをマーケターであるアナタは変えなければなりません。

何度もゲーム化された歴史あるIPならゲームジャンルの多様性は許容される

ところで、ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーのナンバリング最新作は必ず「RPG」という形態を取っていますが、スピンアウト、番外編、派生作品では「アクション」「サンドボックス」「カードゲーム」「音ゲー」「シミュレーションゲーム」など様々なタイトルが存在します。

しかし、このような派生作品に対してゲームファンはそれほど抵抗なく許容していると思いませんか?その理由は極めてシンプルです。

「時間をかけてユーザーの中にそのIPの多様性が浸透しているゲームは許容される傾向にある」

というわけです。

ナンバリング最新作「ドラゴンクエスト11」がRPGとしてちゃんと発売されていれば、それとは別展開のサンドボックスゲームの「ドラゴンクエストビルダーズ」の存在はユーザーの中で「ドラクエの世界観を楽しむ派生タイトル」として許容できるのです。

こんなことは、改めて言語化するまでもないかもしれません。でも、ここで理解しておきたいことは

歴史あるゲームにはこのようなファンの中で「多様性における許容」が出来ているため、「IPファンの期待値に対するギャップを軽減しやすい」ということです。

つまり、言い換えると「様々な展開がファンとして許容できる状態」とは

IP化が成功して、IPとしての存在が価値が認められている状態とも言えます。よって下記の記事でも書きましたが「IP化を目指す上で目標とする状態」のひとつともいえます。

参考記事 【家庭用/スマホ】ゲーム業界におけるIPとは何か?

 

完全新規タイトルは最初に作ったゲームからIPのイメージがつくられる

ところで、「これから完全新規のゲームを立ち上げよう!」という人も多いと思います。

スマホゲーム、PS4、ニンテンドースイッチで・・・機種は問いませんが、注目して欲しいことは「最初に立ち上げたゲームの内容がファンを作り、そのゲームに対するファンの期待値が決定される」ということです。

こんな事を考えてゲームの企画作り、開発、マーケティングをしている人は少数かもしれませんが

「完全新規タイトルは、1本目でどんなゲームを作るかでその後のIP化への道がほぼ決まるのです」

もし1本目で「パズルゲーム」を作るならば、そのIPに対するファンの期待値は「そのパズルゲームの内容がベース」となって構築されます。

1本目でファンになったユーザーは次回作も「パズルゲーム」か、「それに近いゲーム性」を期待しますし、ゲーム発でキャラクター展開をするにしても、「それに近い展開」を自然と期待します。

もし次回作が「パズルゲーム」ではなく「アクションゲーム」を作るとするなら「既存ファンにおける期待値とのギャップ」が生じますので、ここをどう解決するのか対策をセットで考える必要があります。

別に「アクションゲーム」を作ってはいけない、という話ではなく「期待値のギャップが生まれる」ことを事前に理解して、「ギャップを埋める策(ギャップをポジティブに転換する策でもOK)をセットで考えておけるかが重要です。

 

「かわいいパズルゲームのキャラクター」が、例えば「ゾンビサバイバルゲーム」とコラボするなら、「それは求めていないよ」として既存ファンの反感を買うかもしれません。

つまりまとめると

「完全新規タイトルは最初に作ったゲームからIPのイメージがつくられるので、どんなIPに育てたいのか?その戦略とセットでゲーム企画も考える必要あり」

というわけです。

むしろIP展開を事業のコアに置いているプロジェクトであるならば、これは絶対に避けては通れない話です。

でも、ぶっちゃけると気が付いたら既にゲームの企画が立ち上がっていて、もう後戻りできない状態で、後付けでIP展開を考えていたりしませんか?

そんな後付けの戦略ではそのプロジェクトは成功しません。
プロジェクトに最初から参加して、そんな状態を変えるのもマーケターの役割です。

ファンの期待値のギャップから想定されること

さて、今回、話をしたいことは殆ど話をしてしまったので、最後に「ファンの期待値のギャップ」はどんな事態を引き起こすのか?という話を最後にしましょう。

次の3つにほぼ集約されます。

①ゲームアプリの継続率の低下

ゲームインストールをさせて、初動プレイさせても継続できず離脱してしまいます。

②ゲーム会社に対する信用低下(企業ブランド棄損)

凄く期待していたのに、その期待が裏切られるほどがっかりすることはありません。次回、全く別の新作ゲームの発売にも影響する可能性があります

③ネガティブインフルエンサーの創出

裏切られるとその想いはSNSで瞬く間に伝搬し、期待値に合致しているファンにもマイナス影響を与えます。

結構ヤバそうな事が起こりそうですよね・・・

でも、ここで注目して欲しいのは、今回のタイトル単体が失敗に終わるだけでなく、事前の期待値をあげるプロモーションが成功すればするほど、その反動は大きく、今後のゲーム事業に影響してくる可能性があるという点です。

ゲーム会社の最終ゴールは「特定タイトルのファン獲得」ではなく
時間をかけて「そのゲーム会社に対するファン獲得」することです。
その結果、ゲーム会社としての企業ブランドが構築されます。

単体タイトルの期待値のギャップは、ゲーム会社としての企業ブランド構築にも影響を与えるという事を想定しながら仕事ができると、全く違った仕事の進め方ができるようになります。

まとめ

今回、「ファンの期待値」というテーマでお話をしました。

ここまで踏み込めているゲーム会社は非常に少ないのですが、ゲーム事業においては重要なことであり、ここに踏み込めると大きく現状改善をすることができます。

というわけで、今日はここまで!

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