こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回は
「ゲームアプリ開発運営を初動で失敗してしまった場合のタイトル復活方法あるの?」
というテーマでお話をしたいと思います。
スマホアプリに限って言えば、多くのゲームが配信初動で勝負が決まります。
その先があるのか、その先はもう無いのか
残酷な話ですが初動で結果が出てしまいます。
しかし、最近のゲーム開発は数億円規模をかけるものは普通ですし、なかにはマーケティングコストと合計で数十億かけているタイトルもあるでしょう。
そうすると簡単に諦めきれない現実があります。
諦めたくても、後がないので諦められないというわけです。
また、中小企業や個人のゲーム開発者にとっては諦めきれない「想い」も存在します。
そこで、もしアプリ配信初動で失敗してしまった場合に
考えられる「打ち手」「復活方法」についてお話をしたいと思います。
失敗した課題は「ここのゲームアプリ」によって様々ですから、このような記事で解説するには向かないテーマかもしれません。
つまり個別対応が必要になるテーマなのですが、それでは何も前進しませんので、
今回は復活・挽回方法を考える上でのヒントになる「気づき」を意識しながら書いてみました。
初動で失敗したら潔く諦めよう
現実的な話として、初動で失敗したらその先はないので潔く諦めるのが賢明です。
まだ、スマホアプリ市場が現在ほど混沌としていなかった時代、2015年くらいまでは、初動で失敗したゲームアプリでも、その後、時間をかけて課題を解決し復活させることができました。
そういう時代もあったのです。
しかし現在は
・既にファンを魅了しているゲームアプリが存在する
・続々と良質な新作ゲームが登場しており全体のレベルがあがっている
・スマホゲーム以外にも楽しいゲームがある(ニンテンドースイッチやPS4など)
・ゲーム以外にも楽しいネットコンテンツがある(SNSや映画音楽など)
つまりゲーム開発者やマーケターの辞書に「初動で失敗」という文字は存在しない市場なのです。
いや、それは違う!まずは配信してみてその後、時間をかけて改善していく手法はまだ健在です!!
という意見も聞こえてきそうですが、
現実問題として、もし1年後に挽回できる未来があったとしても、それは本来、到達できた場所よりも、低い場所をゴールと誤解しているに過ぎません。
1年後に挽回して月商5億円を突破した!という事例があるなら、本来目指せたのは月商10億かもしれないわけです。
とはいえ月商5億円でも十分価値はあるのですが、いまのマーケット市況から、そこを達成するのはハードルが高い話であり、むしろ傷口を広げてしまうかもしれませんし、諦めることでトライできた新しいチャレンジも、諦めないことで先送りしてしまうかもしれません。
「たら、れば」の話ばかりして申し訳ないのですが
このような状態にならないように、事前に課題を全部解決して万全の状態で配信日を迎えるのがトロネコがずっとお伝えしている
ここをサボっていた結果が初動の失敗を招いたわけですから、
そもそも初動で失敗して、もう一度挽回しよう!という考え方は甘い考え方なんですね・・・。
ちょっと手厳しい話をしてしまい心苦しいのですが
「潔く諦めて次で活かす」というのも選択肢としてはアリなのです。
なぜ初動で失敗したのか原因を探ろう
しかし、初動で失敗したゲームアプリの全てが「打つ手なし」かというと、必ずしもそうではありません。
まずは初動で失敗した原因を探ることに注力してください。
その失敗原因から「復活・挽回の余地はまだあるか」可能性を探ることができます。
【失敗原因①】認知、プレイモチベーション喚起不足
・面白いゲームだけど見た目が地味で伝わらなかった
「ゲームはラーメン作りと同じ」といった話を以前にしましたが、ラーメン屋さんを成功するには
見た目も美味しそう、実際に食べたら美味しいラーメン作りが必要です。
遊んで貰えば楽しんだけど、見た目が魅力なさ過ぎて振り向いても貰えない!というケースがここに当てはまります。
・ゲームの見た目、中身ともに素晴らしかったけど世の中に知られていない
もうひとつは、見た目、中身ともに素晴らしいけど、ただ知られていないというケースです。
この場合は、そもそも認知不足ですからインストール数が取れていないと思います。
実はこの2つのケースはまだ復活の余地があります。
資金があるならパワープロモーションで認知を拡大すれば、ゲーム本体は面白いのでチャンスがあります。
資金がないなら、世の中のユーザーの注意を惹く「フック」が圧倒的に不足しているので、そこをピンポイントで改修して、その改修ポイントに振り切って打ち出すことで、ワンチャンは作れそうです。
【失敗原因②】ゲーム内の課題
・ゲーム内容、ゲームシステム、コンテンツ量、ゲーム運営に課題あり
一方でゲームそのものに課題あり、ゲーム運営で失敗してユーザーが離れた
コンテンツ量がユーザーの消費スピードに追いつかなかった
といった場合は打ち手が限られます。
①ゲーム内容&ゲームシステム→そのゲームの根幹を否定されている状況
②コンテンツ量不足→遊んでくれたけどコンテンツ不足で既にユーザーが離脱している
③ゲーム運営失敗→ユーザーとの信頼関係が一度破綻している
このような状況が推測されます。
①の場合は根底を否定されている状態ですが、その内容の深さによっては、これから改修すれば課題解決できるかもしれませんし、できないかもしれません。
②③は課題解決できれば、その後、ワンチャンは作れるかもしれませんし、できないかもしれません。
「できるかも、できないかも」という表現を使った理由は以下のような状態が強く影響するためです。
初動での失敗状況によって挽回復活できる確率が大きく変動します。
・初動でインストールは結構とれていた
初動でユーザー獲得は大成功し、初動でこのゲームアプリは成功したように見えた後での失敗の場合、現在は多くのユーザーをがっかりさせて離脱させている状態かもしれません。
一度、がっかりさせてしまったユーザーに再度振り向いてもらうには相当量のコストと労力が必要です。その工数をかけられる環境にあるかは復活挽回の確率を大きく左右します。
・初動でインストールが全然取れていなかった
「初動でインストールが全く取れていなかった状態」は大失敗ですが、視点を変えればむしろポイティブとも言えます。なぜならそもそもインストールさせられていないわけですから、がっかりさせてしまった離脱ユーザーが存在しないからです。
・配信日からの経過時間
ゲームアプリは配信日から鮮度を失っていきます。時間との勝負ですし、時間の経過と共に「過去のゲーム」になってしまいます。
配信直後にアクションを起こせば、まだチャンスがありますが、既に半年1年を経過しているなら復活のチャンスは限られてくるでしょう。
なぜなら1年後にゲーム改修のアクションを起こしても、それがゲームに反映されるのは、さらに1年後かもしれないからです。
初動で失敗したゲームアプリの復活・挽回方法
初動で失敗したゲームアプリを復活、挽回させる上で重要なのは
・初動で失敗した原因解決
・ユーザーが見た目で理解できるわかりやすいパワーアップ要素
これらをセットで設計して復活を狙うようにしましょう。
「初動で失敗した原因」だけを解決できたとしても、それは最初から解決しておくべき内部的な解決に過ぎず、マイナス状態がゼロに戻っただけに過ぎません。
ゼロに戻っただけでは、もう一度遊んでもらう「きっかけ」としては非常に弱いのです。しかし多くのケースで「課題解決」だけで戦おうとしてしまうので、うまく復活できないのです。
縦横なのは「ユーザーが見た目で理解できるわかりやすいパワーアップ要素」をセットで設計することです。
この「パワーアップ要素」はそれ単体だけで、このゲームをもう一度遊びたくなるだけのパワーが必要です。つまり復帰するための強い「きっかけ」を用意する必要があります。
その結果、プレイしてみたら
あれ!?前回ダメだったところが全部なおっている(復帰ユーザー)
あれ!?このゲーム始めてプレイしたけど凄く面白いじゃん(新規ユーザー)
という状態を作る必要があります。
ここが復活・挽回を目指す上での最低条件です。
しかしながら、一度失敗したゲームを復活させるのは簡単な事ではありません。
繰り返しになってしまいますが、失敗した原因を完全理解して次に活かせる状態ならば、現状のアプリにこだわらず、そのエンジンを使い失敗原因を解消した新作に賭けるのも健全な考え方だと思います。
やってはいけない復活・挽回方法
ところで、やってはいけない復活・挽回方法についてもご紹介しておきましょう。実は非常に多く見られるケースなので注意が必要です。
・少しづつ課題解決していく
少しづつ課題を改修しゲームに反映していく、少しづつ新しい機能を搭載してゲームに反映していく
一見、正しいように見えますが、このやり方ではユーザーに気づいて頂きにくいのです。
いま遊んでいる残存ユーザーなら、その微細な違いに気づき、プレイモチベーションがあがるかもしれません。
しかし辞めてしまった離脱ユーザー、全く新規ユーザーは微細な違いは気付きようがないのです。
小出しで改修を変えていくよりも、小出しの改修は一旦止めて、あるタイミングに寄せて全改修した方がユーザーは「ビフォアアフター」に気付きやすくなりますし、プロモーションとしても気づかせる方法の余地が広がります。
・課題解決せずパワープロモーションでユーザーを獲得しDAU、売上などの数字を作っていく
問題解決せず、お金でユーザーを獲得して見せかけのDAUや売り上げを作っていくケースも見られます。
しかし、これは問題の先送りに過ぎず、やがてお金が尽きたら打ち手がなくなってしまいます。
デジタル広告を出し続けることでユーザー獲得をし、売上やDAUを作っているケースは最近は減りましたが、以前は結構見られました。
デジタル広告を出す予算が削られた瞬間に
・売り上げも下がる
・マーケターとしても打ち手がなくなる
・デジタル広告に依存していたゆえに思考停止になってしまう
結果、サービス終了となるわけです。
このような状態は「宣伝マーケティング担当としての役割を果たすことが目的になった瞬間」に起こり得ると思っています。
つまりユーザーを獲得し続けることが、マーケターの仕事であると誤解している環境でよく見られます。
でも、マーケティングの定義は「モノが売れる仕組みづくり」です。お金でユーザーを獲得することがマーケターの仕事ではないのです。
まとめ
「ゲームアプリ開発運営を初動で失敗してしまった場合のタイトル復活方法あるの?」というテーマでお話をしました。
テーマの特性もあり深く踏み込み切れていないかもしれませんが、これを読んで頂いた皆さんにとって何かしら「気付き」があれば幸いです。
というわけで、今回はここまで!