ゲーム開発とマーケティングは売れるラーメンつくりと同じ
こんばんは、トロネコです。
ところで今回はラーメンとゲーム事業がよく似ているという話をします。
いままでの記事でも、ゲーム事業をラーメン作りに例えた事がありますが、今回はかなり深掘ってお話をしたいと思います。
実は、マーケティングをあまり知らない人に、わかりやすく説明する際に「ラーメン」に例えて話をすると非常にわかりやすく説明することができます。
ぜひ、今回の記事を読んでいただき、マーケティングの説明が必要な時に活用していただけると幸いです。
成功する「ラーメン屋さん」に必要なプロセスを分解してみよう
もしあなたがラーメン屋さんで成功したいならきっと、こんなプロセスを踏む必要があります。
・他にはないポジションを獲得できる美味いラーメンを考える
↓
・試作品を作ってみる
↓
・ラーメン好きな人を集めて試食会を実施する
↓
・お店をオープンして提供する
↓
・毎日作り続ける
↓
・お客様の好みや市場の変化にあわせて改良し続ける
全てではないけど、成功するプロセスとしては必要な気がしませんか?この、売れるラーメン屋さんのプロセスをゲーム開発に置き換えると次のような流れになります。
・他にはないポジションを獲得できる美味いラーメンを考える | →ゲーム企画 |
・試作品を作ってみる | →プロトタイプ開発 |
・ラーメン好きな人を集めて試食会を実施する | →ユーザーテスト、CBT(クローズドβテスト) |
・お店をオープンして提供する | →ゲーム配信 |
・毎日作り続ける | →ゲーム運営 |
・お客様の好みや市場の変化にあわせて改良し続ける | →アップデート、リニューアル |
いかがでしょうか?美味しいラーメンつくりと、ゲーム開発は似ていると思いませんか?
まずいラーメン(=つまらないゲーム)は絶対に売れない
当たり前の話ですが、まずいラーメンを売って来いと言われても、まず売れません。
ラーメン屋さんの新規開店記念ということで、
「本日だけラーメン無料」 「ラーメン食べたらお食事券1000円プレゼント」 |
みたいなプロモーションは不可能ではありませんが、まずいラーメンを食べた結果、再訪しようなんて誰も思わないと思います。
しかし、「本日だけラーメン無料」「ラーメン食べたらお食事券1000円プレゼント」といった施策こそ、ほとんどのゲームアプリで「マーケティング」と呼ばれて行われてるそのものなのです。
実際にはマーケティングというよりも「プロモーション」なのですが、多くの人が、「マーケティング」と「プロモーション」はイコールと考えています。でも、これは間違いなのです。
・クオリティ的に問題があるゲームなだけど宣伝費をかけてなんとかしよう!
・だって他に選択肢がないんだし(売るタイトルもないし・・)
・海外系のゲームはそうやって配信初動でユーザーをとっているらしいっすよ
みたいな感じでプロモーションをしているケースが多いのです。
でもパッケージ売り切り型の「家庭用ゲーム」の場合、つまらないゲームでも美味しそうに見せて売り逃げするケースが2000年代初頭にはありました。
TVCMで美味しそうな部分だけ見せて、期待感を煽って、予約を集めて、売り切ろうとうという感じです。
しかし、そんな売り方をすると、次回作は売れないのでゲーム事業としては短命で終わってしまいます。
このように、売上が発売日と同時に立つ家庭用ゲームなら逃げ切りもできなくはないのですが、運用型のスマホゲームの場合はまず不可能です。
なぜなら、スマホアプリの場合は、アプリダウンロードさせても、つまらないゲームと分かった時点で課金もしてくれませんし、そもそも、その日のうちでゲームを辞めてしまうからです
オープン当日にゲームが遊べないのは、それ以前の問題
ここでちょっと話を変えてみましょう!
たとえば新しいラーメン屋さんをオープンするにあたって、近隣周辺にお住まいの方にチラシ配布してオープン告知して、チラシにはラーメン1杯無料チケットを付けたりして、オープン当日に集客をしたりしますよね?
でも、なんと、オープン当日に麺とスープの仕込みを忘れていて
オープンできなかった・・・・・
みたいな事は実際にはないと思うんですけど、ゲームアプリではありえるんです(実際に何度もそういう状況を目にしてきました)
・ゲーム配信直後にサーバーにアクセスできない
・ゲームが不具合だらけで遊べない
せっかく、ラーメン無料チケットを握りしめて、オープン初日、朝早くからお店の前に並んだのにラーメンが食べられなかった、そんな体験をさせてしまったら、再度、日を改めてオープンをしても食べに来てくれません。
ゲームアプリは配信日から続々とユーザーが辞めていく
もし、無事にラーメン屋をオープンできたとしても、全く油断できません
なぜなら
・肝心のラーメンがとても食べられたものではない |
・肝心のラーメンがとても食べられたものではない |
・美味しいけど、再訪するほどじゃない |
こんな状態でラーメン屋をオープンしたらオープン当日に来店してくれたお客様をその後リピーターにするのは難しいからです。
オープン当日でどこまで魅了してリピート来店を確定させるかがラーメン屋さんでは重要というわけです。
それと同じようにゲームアプリでも配信当日が非常に重要です。
なぜなら、様々な理由でインストールしたばかりの新規ユーザーが続々と辞めていくのがゲームアプリの避けられない特性だからです。
・ゲームがつまらない |
・ゲームのルールがわからない |
・全然勝てない |
ゲームを辞める理由にはいろいろ理由はあるんですけど、ラーメン屋と同じで、一度辞めてしまったユーザーを戻すのは非常に困難です。
厳密には、一度辞めてしまったユーザーを戻せなくはないけど、辞める体験をさせてしまった人を、再度戻すのは労力がかかります。
そして、まずいラーメン(=ゲーム)を一度食べさせて失望させたわけですから、その信頼を挽回する方法は普通の方法では困難です。
ゲームも同じなのですが初日に集客したユーザーを維持できない、魅了させられなかったから、サービス開始後にゲームを改修しても、一度辞めたユーザーを戻すのは容易ではありません
1年後にゲーム改修して、ユーザーを戻して、なんとなく成功したように見えても結局のところ、最初でつまづかなければ、もっと高い場所を目指せたハズで1年後に、なんとなく成功したように見えている「山の頂上」って、本来登れた山よりも低い山なんですよね。だからこそ、配信直後が重要というわけなんです。
ゲーム事業において「マーケティング」と「開発チーム」は一心同体
ここまで読んていただいた方は、もう気づいていると思います。
ゲームマーケティングとはそのラーメンの美味さをみんなに知ってもらい、来店して、ファンになってもらうだけではは不十分なのです。
これらに加えて冒頭でお伝えした次の要素が必要になります。
・他にはないポジションを獲得できる美味いラーメンを考える | →ゲーム企画 |
・試作品を作ってみる | →プロトタイプ開発 |
・ラーメン好きな人を集めて試食会を実施する | →ユーザーテスト、CBT(クローズドβテスト) |
・お店をオープンして提供する | →ゲーム配信 |
・毎日作り続ける | →ゲーム運営 |
・お客様の好みや市場の変化にあわせて改良し続ける | →アップデート、リニューアル |
これらのプロセスにはマーケティングも関わらなければならなりません。
つまり
新しくて美味いラーメンをつくるためにはラーメン好きな人の好みを解析し必要なインプットをラーメン店主にする必要があるというわけです。
もちろん、ラーメン店がオープンできないという不足の事態にならないように、あらゆる予防線を張っておく必要もあります。それもマーケター、マーケティングの仕事なのです。
それ、本当に「マーケティング」の仕事なの?
ここまで読んでいただくと「マーケティング」って仕事量が半端ない感じがしませんか?たぶん、いまマーケティングの仕事をしている人からすれば、
「マーケティングの仕事って、そこまで必要なの?違うでしょ?」
と思うかもしれません。
でも、もしそう感じたなら、それは
「マーケティング=新規ユーザー獲得の宣伝」と誤解している証拠です。
いわゆる「プロダクトマーケティング」という領域までゲームのマーケターは踏み込む必要があります。それは開発の仕事ではなく、マーケターの仕事領域です。
なぜなら、結局のところまずいラーメンはどうやっても売れないからです。
プロダクトマーケティング的な役割はマーケターでなくても、出来ますが、たぶんマーケティングやっている人が得意な領域です。
何度もお伝えすると
まずいラーメンを売り続けるのはまず不可能です!!
でも、ラーメン店主といっしょに作った美味いラーメンはその美味さの理由や制作ストーリーも語れるし誰向けに作ったのかも明確だから売りやすいし、実際に売れます!!
そう考えていくと、ゲームマーケティングとは新規ユーザーを獲得するのが役務であり、ユーザーを取れないなはマーケティングの責任みたいな話はナンセンスなのです。
うまいラーメンが作れなかった責任を転嫁しているようなものです。
でも、そういう意識はゲーム業界で根強く存在していて、そういう意識が状態化した結果、世の中に出て行くゲームの9割は売れないし生き残れない状況を作り出しています。
まとめ:なぜヒットが生まれないのか?
なぜ、うちのゲームが売れないのかなぜ、大ヒットに続く、2本目のヒットが出ないのか、その原因はシンプルです。
運良くヒットしただけなのに、それを実力だと勘違いして
本質が見えていないだけなのです
それを突破するには、運に任せるのではなく、マーケターがラーメン屋の店主と一緒にラーメン作りから入っていく必要があります。
こういう話をすると必ず返ってくる話が
「そんなスキルセットを持ったマーケターなんて存在しない」
みたいな話になるのですが、そんな言い訳をしている時点で、もうこれからのゲーム業界では生き残れません。
というわけで、今回はここまで!