スマホゲームは「辞めるユーザー」との戦いであり、辞めさせないゲームアプリマーケティングが必要です
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はスマホアプリならではの特徴あり、最大の課題である
「インストールした直後から続々とユーザーが辞めていく」
という課題についてお話しします。
膨大な広告予算をかけて獲得したユーザーなのに、インストールした翌日に半分以上のユーザーが辞めてしまいます。
つまり、我々の努力の半分は無駄な徒労に終わってしまうのです。
よって、スマホゲームは「辞めるユーザー」との戦いであり、「辞めさせないマーケティング」が非常に重要となります。
ユーザーがゲームを辞める理由はを考えてみよう
ユーザーがスマホゲームを辞める理由としては様々なものが考えられます。
家庭用ゲームの場合、ゲーム購入時に代金を一括支払いをするため、お金を払ってしまった以上、辞めるという概念自体が存在しません。
積みゲーと化してしまい遊ばない
または、途中で辞めて中古ショップに売ってしまう
ということはあるかもしれませんが、一方でお金を払って購入したわけですから、家庭用ゲームはスマホゲームに比べると辞めにくいという性質を持っています。
一方で、基本プレイ無料で遊べるスマホゲームは、無料で遊べるゆえに、いつでも始められる、でも、いつでも辞められる、辞めやすいゲームと言えます。
つまりゲーム内課金、基本プレイ無料というスマホゲームの根底にあるビジネスモデル自体が「始めやすいけど辞めやすい」という特性を作り出しているのです。
こちらの表はトロネコ手書きのグラフです。データ自体はダミーです。
この表で伝えたいことは、スマホゲームはインストールした翌日に平均で50%、1週間後には70%が辞めると言われています。
この50%という数字はあくまでも平均値であり、もっと悪いゲーム、もっと良いゲームもあります。そのゲーム会社の分析方法によってもブレがありますので、あくまでも参考として考えておいてください。
また、厳密には、ゲーム内容、ゲームジャンルによっても、インストール翌日に辞める50%、1週間後に辞める70%という数字には差異があります。いずれにしてもかなりのユーザーが辞めてしまう事実は変わりません。
多くのゲーム開発者、マーケターはこれを「無料で遊べるスマホゲームの宿命」として諦めています。でも、冷静になってみてください。それっておかしくないですか?
なぜなら、次々辞めていくユーザーは
事前登録をしてくれるほどの熱いユーザー
アプリ配信直後にインストールしてくれるほどの情報感度の高いユーザー
といった状態だったのにインストール翌日には半分が辞めていくのです。
これはどう考えてもおかしい話です。
なぜならゲームが配信する直前まで、遊ぶ気満々で待ち望んでいたのに配信の翌日には辞めるからです。
繰り返しますが、インストールした翌日に半分もユーザーが辞めるのって、異常だと思いませんか?
そして、我々それを「当たり前」として黙認している状態も異常だと思いませんか?
「なぜユーザーは辞めてしまうのでしょうか?」
実はゲームを辞めるのには必ず原因があります。
ゲームをインストールして、ゲームを起動して、遊んでくれたのに辞めるわけです。その原因を突き止めて対応することで、50%、70%という数字を改善することができます。
そこで、考えられる「辞める理由」を全部書き出してみましょう。
みなさんもホワイトボードに考えられる理由を列挙してみてください!
①システムに対する理解度(≒ゲーム耐性)
・ゲームが理解できないから ・ゲームが難しいから ・あそびにくい ・ゲームがクリアできないから ・対戦でボコボコに負けたから
②期待値とのギャップ ・ゲームが期待していたものと異なるから ・ゲームが面白くないから ・ゲームが飽きてしまったから ・他に面白いゲームがあるから ・お金を使わないと勝てないような気がしたから ③その他 ・障害でゲームが遊べないから |
とりあえず書き出してみました。いかがでしょうか?なんとなく辞める理由は大きく3つに分類できそうな気がしてきましたね。
上記以外にも辞める理由をあげられそうですが、たぶん、今回あげた理由で、インストールから2日目には50%が辞めて、7日目には70%辞める「主な理由」としてはほぼカバーできそうです。
辞める理由はもっと細かく分類できます。下記の記事がおすすめです。
【おすすめ記事】スマホアプリ継続率リテンションに影響する22大離脱要因まとめ(なぜユーザーはゲームを辞めるのか?)
ゲームユーザーを辞めさせない方法
ここからが今回の本題です。
辞める原因が明確になったところで、原因に対する対策方法を考えてみましょう。様々な対策方法が考えられますが、対策方法はゲーム内容、ゲームジャンル、市場環境などで変動しますので、今回は「具体的な施策アイディア」ではなく、みなさんのゲームにマッチした「施策を考える上でのヒント」に振り切ってみることにしましょう。
これも、ホワイトボードにみなさんも想定される対策方法を書き出してみてください。
①システムに対する理解度 ・ゲームが理解できないから →ルールがよくわからない 【対策】ルール理解を目的にした映像、Web、情報出しを考える・ゲームが難しいから →ルールはわかるけど難しい 【対策】テクニック、攻略方法を軸にした 映像、Web、情報出しを考える・あそびにくい →複雑、面倒臭い、操作がわからない、UIがわからない 【対策】ゲームフロー、システム、UIの事前設計と徹底検証・ゲームがクリアできないから →ルールはわかるけど先に進めない 【対策】テクニック、攻略方法を軸にした 映像、Web、情報出しを考える・対戦でボコボコに負けたから →勝てないから気持ちが萎えた 【対策】勝てるテクニック、攻略を伝える |
②期待値とのギャップ ・ゲームが期待していたものと異なるから →RPGだと思ったらアクションゲームだった 【対策】ゲームジャンルの相性の悪さは対策方法が難しい。 企画段階で企画とジャンルのギャップを軽減するジャンル選択が必要・ゲームが面白くないから →ゲームがつまらない 【対策】配信前にゲームの面白さを徹底的に担保する。ユーザーテスト、調査を行う・ゲームが飽きてしまったから →遊べるコンテンツがなくなってしまった 【対策】充分なコンテンツを用意してから配信する・他に面白いゲームがあるから →他のゲームに優先順位で負けた 【対策】他のゲームにない、このゲームにしかない遊び、遊び方を用意する・お金を使わないと勝てないような気がしたから →お金がかかるならやらない 【対策】課金を意識させない設計をする |
③その他 ・障害でゲームが遊べないから →ゲームが遊べないから辞めよう 【対策】配信前にCBT/OBTでサーバー障害リスクをつぶす、バグチェックを徹底する |
書き出してみました。
辞める理由ごとに様々な対策方法が考えらます。
ここで、みなさんもう気づいているかもしれません。
ユーザーが離脱する原因となるものは、配信前に事前になにかしらの方法で対応できる可能性がありそうなものばかりではないでしょうか。
そして、その方法は「マーケティング施策」と「ゲーム開発」の両方で対応しなければならないことがわかります。
つまり、ユーザーを離脱させないための対策は、開発、マーケティングが連携しないと解決できないというわけです。
もし、マーケティングだけ、または開発だけで何とかしようと思っていたら、それは根本的な解決にはならないというわけですね。
一度、辞める体験をしたユーザーは戻しにくい、戻せても定着しにくい
さて、辞めさせてしまったユーザーをどうすれば戻せるのか、その方法について考えてみましょう。例えば下記のような施策で戻せます。
①施策
・周年施策
②ゲーム内コンテンツ ・新しいキャラクター(モチーフに依存するもの) |
実際にこれ以外にも方法はたくさんあります。でも、多くのゲーム会社では上記を組み合わせて、辞めてしまったユーザーを戻す施策が頻繁に行われています。
実際のところ一度辞めたユーザーを戻すことは可能です。
しかし、戻した多くのユーザーは残念ながら辞める前のように定着してくれません。
ちょっと、驚いたかもしれませんが
一度ゲームを辞めたユーザーがゲームに復帰した場合のゲームに対する継続率、課金率は新規ユーザーと比べると低いことがデータで裏付けされています。数値感的には半分、またはそれ以上の継続率、課金率になります。
これは一度辞める体験をしてしまったユーザーは再び辞め易く、記憶の中に、また辞めるという潜在意識があるため、以前のように課金しなくなる(課金することを控える。だって辞めそうとなんとなくわかっているから)という人間の潜在意識に基づく要因があるためと思われます。
よって、さまざまな施策で辞めたユーザーを戻し、瞬間的にゲーム内KPIであるDAUが改善しても、しばらくすると施策前の状態に戻ってしまいます。
これはゲーム運営をしている人なら経験があるのではないでしょうか?
一度辞める体験をしたユーザーは再び辞めやすい傾向にあるのです。
【KPI】Key Performance indicatorの頭文字をとった言葉。難しい言葉で表現すると「重要業績評価指標」となりますが、ゲームアプリやPCゲームの運用に関する数値全体をざっくり刺すことばとして使われています。ケーピーアイと読みます。
【DAU】Daily Active Usersの頭文字をとった言葉。KPIにおける重要な指標のひとつです。1日あたりの平均プレイユーザー数のことをさします。ディーエーユー、またはダウと読んだりしますが、読み方はどっちでも結構です。 |
これからは、「辞めさせないマーケティング」が重要になります
ここまでの話をおさらいしてみましょう。
ゲームをインストールから2日目には50%が辞めて、7日目には70%辞めます。ゲーム配信直後は大量のユーザーが辞めるわけです。 |
そして、一度辞める体験をさせてしまうと、後日、なにかしらの施策で戻してもまた辞めます。 |
ということは
最初から辞めさせないようにすることがゲームアプリ事業には重要ということになります。そして辞めさせてしまった時点で「負け」のような気がしませんか?
よって、今回のテーマである「辞めさせないマーケティング」ができて、インストールから2日目に50%が辞めるところを40%に、7日目には70%辞めるところを60%に軽減できたら、未来は大きく変わります。
たった10%ですが、1年後、2年後には大きな差が出ることは明らかです。
しかも配信直後にインストールしてくれるようなイノベーター的なユーザーですから、そのゲームに対する興味や熱量、課金率、LTV(Life time value)も高いはずです(実際高いです)
そして、家庭用ゲームソフトや、スマホアプリに共通した事実として、発売、配信から最初の週末で初月販売数の50%の販売数、インストールを稼いだりします。
実際に50%かどうかは置いておくとして(厳密には違うので)、配信した直後にそのゲームアプリの一生涯のインストールユーザーのうち、かなり大部分のインストール数を占めることは明白です。
よって、初動でいかに辞めさせないマーケティングができるかが重要なのです。ここを逃しては後に挽回するチャンスはありません。
まとめ
近年、スマホアプリのインストールも以前と比べると獲得しにくいマーケットになりつつあります。
市場が飽和してユーザーが取れなくなっているため、「数」ではなく「質」で勝負しなければならないフェーズに入っているわけです。
よって、これからは限りあるマーケットの中でユーザーを維持して、「辞めさせないマーケティング」ができるかが勝敗を分けるのです。
ぜひ、これからは「辞めさせないマーケティング」を意識してみて下さい。
まだほとんどのゲーム会社ができていないことですので、ここができると大きなアドバンテージになりますし、「数」ではなく「質」で勝負できるようになります。
リテンションやユーザー離脱軽減に関するご相談がございましたらメール、またはLINEチャットで気軽にご相談できる「トロネコのカベウチ」をご利用ください。
というわけで今回はここまで!