こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回は見過ごされがちな「ユーザーの質」についてです。
日々、マーケティング戦略や、プロモーション施策を考えたり
KPIとにらめっこしている中で
たとえば、みなさんこんなことありませんか?
「施策でTwitter、LINEのフォロワーが1000人増えた!凄く嬉しい」
「施策で昨日比でゲームのインストール数が1000人増えた!凄く嬉しい」
たしかに1000人増えたら嬉しいニュースかもしれません。
でも、その1000人って本当に価値ありますか?
という結構、残酷な話です。
目次はこんな感じです。
【目次】
・同じユーザー、フォロワーでも獲得時期や方法によって価値が異なる ・数よりも質を追求しないと投資対効果(ROI)があわない ・Twitterフォロワー、LINE友だち登録、ゲームインストールのダメな増やし方例 ・オーガニック集客を獲得する方法 ・市場がレッドオーシャン化すると数では勝負できない |
同じユーザー、フォロワーでも獲得時期や方法によって価値が異なる
いきなりですが最初に本質に踏み込んだ事実をお話します
「見た目はどれも同じようにみえる1ダウンロード、1フォロワーだけど実際の中身は全然違います」
これが真実です。
たとえばTwitterフォロワー、LINE友だちなら
「このゲームアプリの情報を入手したいから登録したユーザー」と
「いま登録するとプレゼント商品が当たる、ポイントが貰える」では
ユーザーの質は全く異なります。
前者は登録する理由は「そのゲームが好きらから、情報入手したい」というゲームに基づいた理由です。
後者が登録する理由は「プレゼント商品、ポイントが貰えるという物欲から」というゲームとは関係ない物欲が理由です。
最終的な「目的」は
このゲームをインストールして、遊び続けてもらう事にあるならば
後者をそこまで持ってくるのは、かなり難しいです。
しかし、いずれも「1フォロワー」「1友達」と見た目上の数字はかわりません。でも、同じ1フォロワーなのに「質」は全然違うのです。
これって、ヤバくないですか?
もうひとつわかりやすい事例をあげましょう
「ゲームアプリ配信直後にインストールした1人のユーザー」と
「ゲームアプリ配信から1年後にインストールした1人のユーザー」では
ユーザーの質は全く異なります。
前者は「事前登録期間を経て、アプリ配信直後にインストールするくらいですから、そのゲームアプリに対する興味やプレイ意欲は高いです」
後者は「配信から1年も経過して、なんらかの理由でそのゲームを知りインストールするくらいの情報感度ですから、そのゲームアプリに対する興味やプレイ意欲は、前者に比べるとそれほど高くありません」
実際のところ
前者は課金率、継続率ともに高く、おもてなしをすれば、その後、何年にも渡ってゲームを遊んでくれる優良顧客予備軍です。
しかし後者は、課金率、継続率ともに一般的には高いとは言えません。
これってヤバいですよね!?
さらに踏み込んだ話をしましょう。
Web広告で新規ユーザーを獲得するとしましょう
「丁寧なゲーム内容訴求によって獲得したユーザー」と
「いまらな100連ガチャ無料訴求で獲得したユーザー」では
見た目は同じ1ユーザーだけど、その中身の「質(課金率/継続率)」は異なるのです。
つまり、同じ1ダウンロードでも
集客方法によって、中身が全然違うユーザーというわけです。
「数」よりも「質」を追求しないと「投資対効果(ROI)」があわない
ゲームやWebサービスのマーケティングをやっていると
どうしても「質」よりも「数」を優先してしまいがちです。
なぜなら、「数」を獲得できないと精神的に不安になりますし
周囲からは「数」を獲得することに対してプレッシャーをかけられるからです。
ぶっちゃけな話、数が集まらないとみんな不安になりませんか?(事前登録が集まらないことに対して、どんなに大丈夫、次の施策で集まるから、と説得してもチームメンバーの不安はおさまらないですよね)
「数」は無意味とはいいません。
なぜなら、マーケティング戦略次第では「力任せの数で勝負する」という戦略もありえるからです。
しかし、本質的には「数」ばかり追い続けていると
結果的にはプロモ予算を無駄遣いし、そのプロジェクトをトータルで見た場合は赤字になってしまいます。
つまり
「数」も重要だけど、同時に「質」も追い続けないと結果がついてこないのです。
Twitterフォロワー、LINE友だち登録、ゲームインストールのダメな増やし方事例
「数」とか「質」とか言っても、よくわからないという人も多いと思いますのでわかりやすくダメな例をあげましょう
一見、成功しているように見えて、俯瞰的に見たら成功しておらず、現場は結構悩んでいるケースが多いです。
事前登録100万人突破!!
普通に考えたらオーガニック集客で事前登録100万は越えません。
なぜなら、日本を代表する数々の有名コンテンツでもオーガニック集客で事前登録100万は無理だからです。
※オーガニック集客とは自然増という意味です。
よって100万突破!!というと、LINEブースト、Twitterブースト等を実施して「数字をつくっている」ケースが殆どです。
LINEブースト、Twitterブーストで集客した事前登録はアプリインストールにおける転換率(コンバージョン率)が非常に低いです。
なぜならゲームとは関係ないプレゼント商品や、ポイント等で集客しているので、そもそもそのゲームには興味がないからです。
オーガニック集客で集めたユーザーと比べると、ブースト施策で獲得したユーザーの アプリインストールにおける転換率(コンバージョン率)は
最悪のケースで1/10くらいの開きがでます。
ゲームと関係ない方法を使ったインストール促進施策
ゲームって、とても嗜好性の高い商品ですので、結局のところそのゲームが好きになって遊び続けてもらえなければ、インストールさせても意味がありません。
具体的なゲーム会社の事例を挙げるのは避けますが
ゲームと関係ないユーザーモチベーションを刺激してアプリインストールさせるような施策は数は稼げても、インストール後のプレイ継続率は低く結構苦戦します。
アプリ配信初動で無料ランキング上位にランクインしたけど、その後が続かないアプリとかが、このケースになります。
もちろん無料ランキング上位に入ることで、そこからの副次的なインストール効果を見込んだ施策という考え方もできますが、本質的ではないですし、無駄にプロモ予算がかかってしまいます。
オーガニック集客を獲得する方法
そうはいっても、ゲームとは関係ないところでユーザーを獲得しなければならない理由も当事者からするとあるかもしれません
なぜなら
「オーガニック集客ではアプリ初動で必要な数が集まらないから」
という理由です。
完全新規タイトルとか、オーガニック集客に頼っていたら、全く事前登録の数字が集まらないということもあります。
しかし、これはマーケターとしては適切な理由ではありません。
なぜなら、
オーガニック集客ができる状態をつくる、ファンをつくるのが 配信前のマーケターの最重要ミッションだからです。 |
このあたりは下記の「美味しいラーメンをつくる」話でも触れていますが
開発チームといっしょに「つくるマーケティング」に踏み込めないと
アプリ配信前にファンをつくる施策を投下することもできません。
でも踏み込まれば、健全、かつ本質的なマーケティングができます。
市場が「レッドオーシャン化」すると「数」では勝負できない
これまで「質」よりも「数」が重要とされてきた風潮があったのは
そもそも「質」を追求しなくても「数」でなんとか勝負ができた時代があったからです。
実際には2018年前半くらいまでパワープロモーションによって「数」を取れば、「売上」がついてくるような時代がありました。(いい時代でしたね・・)
しかし、2019年以降、ゲームアプリ市場が成熟化してくると
かつては同じ施策でもっと「数」を獲得できたのに、全然「数」が獲得できない状況になりました。
結果、各ゲーム会社の中では苦戦している会社も出てきているわけですが
以前のように「数」はもうとれないので
限られた「数」の中でどうやって「質」を維持しながら戦うかという話になってります。
もうこれは目を反らせない事実でして、2020年以降は、さらに「質」が重要になってきます。
これらはゲームアプリ市場が完全にレッドオーシャン化してしまったため
新規タイトルが売れにくくなってしまったことが原因です。
一方で、既にメガヒットタイトルが存在し
多くのユーザーがそれを遊び続けている以上、
そのタイトルからユーザーを引き剥がして、こっちの新しいゲームをプレイさせるハードルが年々高くなっているという原因もあります。
この状態は今後ますます加速するでしょうし
ゲーム事業においては、「戦い方を変えられるゲーム会社」だけが
今後、生き残れると思います。
まとめ
というわけで、今回は「数」よりも「質」が重要という話をしました。
ちょっと難しい話だと思いますので、わからないようでしたら繰り返し読み込んでみてください。