【市場調査の限界】リサーチ結果を100%鵜呑みにできない3つの理由(ゲーム マーケティング)

マーケティング

ゲームやエンタメコンテンツは市場調査と相性は必ずしも良くない

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はマーケターとしては切っても切れない「市場調査(マーケティングリサーチ)についてお話ししましょう!

市場調査は一度やれば終わりというものではなく、終わりがないマーケティングにおける重要なタスクのひとつです。

マーケティングリサーチといえば「リサーチ担当」がやるもの?という認識があるかもしれませんが、実際に「リーサチ設計」からマーケターががっつり入るべき案件です!

実際にトロネコも市場調査は「リサーチ調査設計段階」からがっちり入って、調査設計にかかわっています。なぜかというと、リサーチ担当にお任せではなく、設計段階からマーケターが入らないと調査結果を施策や開発に活かせないからです。

というわけで、今回はマーケターとして押さえておきたい市場調査についてお話します。

そして、最初に押さえておいて欲しいことは

・市場調査は必ずしも完璧なものではなく、

・むしろ不完全で、限界があって、

・100%鵜呑みにできない

性質も持っているという点です。そのまま全部受け入れるのではなく、調査結果をどうやってマーケティングや施策に活かすかが重要です。

そんな「市場調査」との向き合い方について深いところまでお話をしますので、どうぞ最後までお付き合いください!

①リサーチ結果ではマーケットが存在するように見えるけど実際には存在しない理由

リサーチのイラスト(束)

市場調査を実施した結果

・このゲームは300万人の市場規模があって

・その中でも100万人の人が絶対に遊びたいと言い

・残りの200万人がそこそこ遊びたいと言っている

といった結果が出たとしましょう。

その結果、市場規模が300万だからダウンロード目標数を300万ダウンロードに設定したところ50万ダウンロードしか獲得できなかった・・・・

そんなこと、ゲーム業界では「あるある」です。

 

例えば、300万ダウンロード目標だったのに、獲得できたのはたった6分の1にあたる50万だったとします。

何故こんなことが起こるのでしょうか?

それは、次のような理由が挙げられます。

・100万人の人が絶対に遊びたいと言い(TOP1 box)

・残りの200万人がそこそこ遊びたいと言っている(TOP2 box)

TOP1box、TOP2boxともに「遊びたい」と回答していますが、

これをそのまま受け取ってはいけません。

その理由について次のパートでご説明します。

調査に対する回答は曖昧で、回答者の真意を100%反映したものではない

調査とは人が答えるものですから曖昧な部分が存在します。必ずしも本音でちゃんと答えているかは疑問です。つまり調査には限界があります。

限界としている理由は次の2つがあげられます。

・アンケートに答えたら報酬がもらえるから報酬をもらうための回答になっている

・人によって好き、嫌いの程度が違うから

 

調査結果をもとに、おおよその傾向はわかります。でもその結果だけを完全に鵜呑みにすると危険です。

特に企業が独自に実施するアンケート結果はさらに結果の確実性が落ちます。下記の記事でも書きましたが、アンケートって収集方法でバイアスがかかりますし、結果に対しする賞味期限もありますから、そのまま全部受け入れるのは判断を間違う可能性があります。

今回のように外部の会社を使った市場調査でも同じことが言えます。

【必見】スマホゲームのインストール時アンケート機能は配信初動の継続率を大幅改善できます

 

とはいっても、日本市場における市場調査はそれでもマシな方です。こちらで海外マーケティングの話をしていますが、海外における市場調査はにほのと比べると150%増しくらいにポジティブにバイアスがかかった結果が出やすいのです。

よって、調査結果だけをそのまま鵜呑みにすると失敗します。

これはお国柄が影響しているのですが、アメリカ人はそんなにイイと思っていない場合でも

「それイイよね!」

と回答する傾向があります。よって日本よりもTOP1boxが高めに出る傾向があるのです。この辺りの話はこちらで少し触れていますので興味があれば読んでみてください。

でも、彼らはTOP1boxで「イイね!」って回答したのに買わないんですよ。

だから、調査ではすごく売れるという結果だったのに、実際に発売してみると全然売れない・・・というギャップに泣くことが結構あります。

話を戻しましょう。

 

・100万人の人が絶対に遊びたいと言い(TOP1 box)

・残りの200万人がそこそこ遊びたいと言っている(TOP2 box)

 

こんな調査結果が出たとします。さて、ここで質問です!

この中でターゲットとして見込んでいいのはどこまでだと思いますか?

この2つのうち、ターゲットとして見込んでもいいのはTOP1 boxだけです。

絶対にTOP2 boxは見込んではいけません!(まぁ、数字合わせのために多くのマーケターはTOP2も獲得できる!と見込んでしまいがちですが、これはリスキーです)

 

なぜなら、そこそこ遊びたいとしか答えられなかったTOP2 boxは

「そこそこ遊びたい」としか回答できなかった何かしら理由があるからです

その原因が何か解明し、その原因を取り除いて上げない限り獲得できない(獲得しにくい)可能性があると思われます。

(だからこそ、原因を究明して取り除く努力が必要であるということを、わかるような調査設計が必要になります)

つまり調査の結果、TOP2boxはそのまま獲得かも!と100%鵜呑みにしては絶対にイケません。

 

でも多く調査の結果、リサーチャー、マーケターともにTOP2boxまで獲得できるターゲットとして見込んでしまいがちです。そこに何かしら課題がありそうなのに、その課題を探そうとしません。これではせっかくの調査を生かせず勿体無いです。

 

市場調査は設計次第で結果を偽装できる

市場調査は設問の聞き方、その調査設計次第で

調査する側にとって幾らでも都合のいい回答を収集し、解釈することができる、使い方次第では非常にリスキーなマーケティングツールです。

よって、悪いマーケターの中には、自分たちの都合のいい調査結果を出すための調査設計をする人もいます

そういう人は最近は明らかに減ってきたと思うのですが、自分たちの説を裏付けするための調査をする人はまだまだいます。

でも、それって結果的に売上とか成果がでないので、全く意味がないんですよね・・・・・

 

このように悪意を持って調査をしている人がいるならば、まだ解決策はあるのですが、厄介なのは悪意がなく、完全な善意でありながら、間違った調査設計によって、間違った調査結果を生み出してしまい、それを信じてしまうようなケースです。

悪意がない極めて善意の結果で、間違いに気づかず、その調査結果をもとに戦略を立てて進んでしまうケースがありますが、これこそ厄介なことはありません

ゆえに、市場調査とはリサーチャーや分析担当の能力がシビアに反映されるツールでもあります。

なので優秀なリサーチャーや分析担当と仕事ができるかは結構重要ですが、いくら優秀でも、ゲーム事業は特殊なので、ゲーム事業を理解しているリサーチャーや分析担当って本当にレアなんです。

(はぐれメタルスライム以上にレアかもしれません)

よって、もしあならがマーケターで、本気で市場調査に価値を求めるならばリサーチャーや分析担当に丸投げするなんて、極めてリスキーでありえない話なのです。

 

②市場調査は過去の経験で想像できる世界しかわからない

望遠鏡を覗く男の子のイラスト

冒頭で申し上げた通り「市場調査は万能ではありません」

特に市場調査の最大の弱点は

「調査は調査対象者の過去の人生経験に基づく世界でしかわからない」

という点にあります。どんなに設問を工夫しても、調査対象者の人生経験を超えた情報を引き出すことは困難なのです。

これを「顕在ニーズ」と呼びます。

 

ゲームの世界で例えるなら、

顕在ニーズとは「ドラクエは楽しい」「ポケモンGOは楽しい」といった過去のプレイ経験の延長上におけるニーズでしか語れないというわけです。

顕在ニーズについては下記で詳しく説明しています。

ゲーム開発における潜在ニーズと顕在ニーズの違い【ゲームクリエイターとゲーム開発者の違い】

 

つまり、最近流行っている「ドラゴンクエストウォーク」は調査で見つけられる「顕在ニーズ」です。

なぜなら、ドラクエという過去資産の活用方法、ポケモンGOというすでに存在する事例があるわけですから、市場調査で見つけることができます。

 

しかし、市場調査でいまだかつてない、「未知なるゲームのニーズ」までは見つけることができません。

厳密には「未知なるゲームのニーズ」のヒントとなる欠片は見つかるかもしれませんが、結構大変です。

 

どういうことかというと、ユーザー本人も意識していない、でもユーザーに提示すれば

「あ、それ、いいですね!面白そうですね!」

と初めて気付く「潜在ニーズ」まで市場調査で踏み込むことは困難です。

このあたりについても下記の記事で詳しく書いていますので興味があれば読んでみてください。

ゲーム開発における潜在ニーズと顕在ニーズの違い【ゲームクリエイターとゲーム開発者の違い】

でも、冷静になって考えてみて欲しいのですが

エンタメ、ゲームの世界は基本的に未知なる楽しさへの飽くなき挑戦です。

すべてのゲーム会社がドラクエ、ポケモンを生み出せるわけではありません。

だからこそ「潜在ニーズ」に踏み込んで、次の20年を席巻する新しいゲームをつくろうと日々模索しています。

でも、それって凄く難易度の高い話であることは、ゲーム業界で働いたことがある人ならわかっていると思います。それゆにに、それができないから数字が読める版権キャラクターを使ったゲームに頼ってしまうですけどね・・・

 

③市場調査ではユーザーインサイトまで踏み込めない

おさらいすると

「顕在ニーズ」は調査で収集できても

「潜在ニーズ」までには調査で踏み込めない

これが市場調査の限界です(これ、結構深い話です)

 

だから、マーケター、リサーチャーは「個別ユーザーインタビュー」という形で、ユーザーの奥底に眠る「潜在ニーズ」を引き出そうとします。

そうなんです、ユーザーインタビューという調査形態は「潜在ニーズ」に踏み込むための調査です。

だから、ユーザーインタビューで「顕在ニーズ」を聞いているシーンを見かけると時間も限られている中でちょっと勿体ないというか、わかっていない感じがするんですよね。

ユーザーインタビューって「顕在ニーズ」を確認する場所ではなく「潜在ニーズ」を引き出す目的で実施します。

ここが理解できていないケースが多いので本来のユーザーインタビューの価値が出し切れていなくて勿体無いのです。

「顕在ニーズ」を知りたいなら一般的な市場調査で十分です。

でもユーザーインタビューにもリスク要因があります。

それは、インタビューに呼べる人数って限られていますので、被験者の個性に引っ張られて判断を誤るリスクあります。

実際にユーザーインタビューで呼ぶ人を10人決めておいたとしても、10人来ないかもしれないし、想定していた10人の内訳じゃない人が来るかもしれません。

どういうことかというと

・当日ドタキャンで来れない人が出た

・トロネコの大冒険をプレイしているからインタビューに来てもらったのに、実際に来た人は遊んだことがないなんて言っている

と言った感じで本当に必要な人が、当日来るのか「水物」的な部分があるのです。

でも、ユーザーインタビューってリアルな言葉として発せられるリアルな情報ですから、例えば開発チームのメンバーを同席させると、被験者の個性に引っ張られたバイアスのかかった情報なのに、それを鵜呑みにしてしまうというリスクがあります。

たった数人のインタビューが世の中の意見だと勘違いしてしまうんですよね。

それでも、ユーザーインタビューを開発メンバーに見せることには価値はあります。

ただし、マーケターとしては必ず同席し、間違った判断をしないようにする予防線を張っておくのも役割のひとつです。

価値ある調査をするためのヒント

男性看護師の表情のイラスト「ひらめいた顔」

最後に、価値ある市場調査を実施すためのヒントについてお話をして今日は終わりにしましょう。

市場調査ってゲーム開発の真っ最中に実施されること多くないですか?

またはマーケティング担当がアサインされる前に開発主導で実施されたり、またはマーケターがついていても、マーケティング戦略がまだ作成されていないタイミングで実施されたり

要するに配信から結構前に実施されることがほとんどだと思います。

(配信直前に実施されたら調査結果をゲームに反映できませんからね)

 

市場調査で一番やってはいけないのは

「マーケティング戦略が何もない時点で調査をやってはいけない」

ということになります。

 

調査って仮説を検証するためのツールなので、仮説なき調査は、それ自体が無意味です。なので、必ず下記のプロセスを通るようにしましょう。

 

①仮のマーケティング戦略をつくる

②マーケティング戦略で不明瞭な部分を洗い出す

③それを検証するための調査設計をする

④調査の結果、仮のマーケティング戦略の精度があがり打ち手のヒントがわかる

 

これは最低限必要です。

でも実際には、仮のマーケティング戦略がなく、ただルーティンのように調査をしているケースがほとんどではありませんか?(たぶん、そうですよね?)

また、調査をしてもゲーム開発やマーケティング戦略、プロモーションに反映できない、または、するつもりがない確認目的の調査をしていませんか?

調査をすることが目的になっていて、調査結果が活用されないことがほとんどだったりしませんか?

それって全くを持って無駄なので調査自体をやる意味ないです。

 

それでも、調査をやって、やった気になっていませんか?

そんな見せかけの調査はやめましょう。

そして、今回、この記事を読んで頂いた皆さんは是非本質に踏み込んだ調査をやってください。

 

さらに、調査は万能ではありません。よって調査結果が何か大きな判断を決める材料のすべてにならないようにする必要があります。様々な情報や現状をもってジャッジしてください。

そして調査は1回限りではなく、状況やフェーズに応じて何度も実施して、真実の確度をあげるようにしましょう。ゲーム開発、市場の変化によって新たなる疑問や課題が現れてくるからです。

まとめ

市場調査でわかるのは「過去の人生経験から想像できる世界」に限定されます。ゲーム、エンタメでもっとも求められる「未知なる楽しさ」は見つけられません。

そうなんです、調査って限界があるんですよ。

だからこそ、トロネコはいつも口をすっぱくしながら伝えているのですが、調査はあくまでも参考レベルに押さえていただき、

「ゲームクリエイターには意思を持って未知なる面白さに踏み込んで欲しい」

「踏み込むことができたら、未知なる面白さでも調査で検証できる」

というわけです。

仮に「クリエイターが作った未知なる面白さ」をユーザーインタビューで提示して反応が悪くてもそんなに悲観する必要はありません。恐れる必要もありません。

なぜなら、ユーザーインタビューの被験者は「顕在ニーズ」でしか答えられないからです。

(顕在ニーズとは自分自身で自覚している過去の人生経験に基づいて想像できるニーズです)

 

「クリエイターが作った未知なる面白さ」は「潜在ニーズ」も飛び越えている場合もあるので、被験者からみると理解不能な場合もありますね。

(遠い未来の先を行き過ぎて理解不能なゲームってありますよね?)

 

でも、本気でそれが面白いと確信があるなら、意思を持って市場に出して問うべきです。なぜなら、ゲームの歴史を作ってきたのは「未知なる楽しさへの飽くなき挑戦」だからです。

市場調査でわかる「顕在ニーズ」だけで作られたゲームは「打率」はいいのですが、場外ホームランは打てません。

というわけで、今回はここまで!

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