こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
連載企画も今回で最終回です。最終回は
「 ハートドリブン×ロジカルドリブン思考のフュージョンこそ最強」であり、これからのゲーム事業を成功させるために重要です。
という話をしたいと思います。
「ハートドリブン」「ロジカルドリブン」のメリット、デメリットについては前回までの記事をご覧ください。
ハートドリブン×ロジカルドリブン思考の融合(フュージョン)で生まれる3つの強み
いよいよ、この連載企画の総仕上げです。
ハートドリブンとロジカルドリブン思考が融合(フュージョン)できると、どんな効果があるのか、「3つの強み」にまとめてみましたのでご紹介しましょう。
①健全なゲーム会社経営ができる(攻めと守りの両立)
前回まで説明したメリット、デメリットをざっくりまとめると下記のようになります。(あくまでもざっくりですよー)
ハートドリブン | ロジカルドリブン | |
成功打率 | △ | ○ |
狙えるヒットの大きさ | ○ | △ |
再現性 | △ | ○ |
ゲームとの相性 | ◎ | ○ |
サービスとの相性 | ○ | ◎ |
働く人のモチベーション | ○ | △ |
この比較表をみても分かる通り「ハートドリブン」と「ロジカルドリブン」には両方デメリット、デメリットがあります。しかも、相反するものばかりです。
よって両者を融合(フュージョン)できると健全、かつ理想的なゲーム事業ができます。
例えば具体的にこんな方法が考えられます。
考え方 | 具体例 |
「ロジカルドリブン思考」で1年後も利益を出し続ける事業を確立し足元を固める | キャラクター版権モノや、一定の売上が見込める自社の強みであるゲームエンジンのガワ変え |
「ハートドリブン思考」で2年後の主軸となる事業を育てる | 自社オリジナルタイトルや、従来のゲームの枠にハマらないチャンレジをする |
どちらかに偏っているゲーム会社だと、企業としての安定、成長性に課題がでてきますので、上記をバランスよく編成できる組織が必要です。
一番良くないのは「ロジカルドリブン思考」で足元を固めるキャラクター版権モノばかり注力してしまい、「ハートドリブン思考」によるチャレンジを怠ってしまうと、キャラクター版権モノが厳しくなった段階で「手詰まり感」が出てしまうケースです。
なぜなら、「ハートドリブン思考」による自社オリジナルタイトルの仕込みは、
・育てるまでに時間もお金も人もかかる
・企業に余裕がある時にしか仕込めない(金銭的だけでなく精神的にも)
という特性があるからです。
既存のキャラクター版権モノが厳しくなってきたので、自社オリジナルタイトルで何とか状況を変えたい!
と思っても、
「版権モノと自社オリジナルタイトルでは成功させるために必要な開発力、マーケティング力などのスキルセットが異なるので」ほとんどのケースでうまく行きません。
②クリエイターのポテンシャルを引き出せるゲーム事業ができる
「ゲームを作れるのはゲームクリエイターです」
ここを、理解していない人が本当に多いのですが、
経営層もマーケターも、進むべき道は示してあげることができますが物理的にゲームは作れません。
「自社で作れないなら外注すればいい」という考え方もあるかもしれませんが、外注してもゲームを作るのは「ゲームクリエイター」です。
※もう少し踏み込むと、ゲームクリエイターの定義は「アソビが作れる人」であり、開発担当者、外注担当者、それに準ずるビジネス思考のプロデューサーでもありません。
クリエイターが持っているポテンシャルを引き出す事が、「面白いゲーム」、ファンの期待値を超えて「売れるゲーム」を作るために必要条件です。
第1回の記事でも書きましたが「ハートドリブン」はクリエイターのポテンシャルを引き出すのために有効です。
しかし、どんなに優秀なクリエイターでも進むべき場所が、ゲームファンが求めているものと、ズレているとゲームは売れません。
また、1万人の熱狂的なファンが作れても、事業として成立しなければ継続できません。これはスマホゲームはもちろん、家庭用ゲームでも同じです。
そこで「ロジカルドリブン」はクリエイターの進むべき道を示すことができます。
・マーケットの状況は(競合、トレンド)
・ゲームジャンルは(ジャンルによるユーザー特性やKPI)
・市場ボリュームは?ターゲットユーザーは?
他にもいろいろ示すことはできますが、「ロジカルドリブン」で示した情報を元にゲームクリエイターはとことん「ハートドリブン」すればいいわけです。
「人生の2年間をそのゲームに費やしてきたのに、まったく売れなかった」
というクリエイターをみるたびに、進むべき道を示してあげられなかった組織としての責任を感じます。(トロネコとしてはこれほど心が痛む事はありません・・・・)
でも、このようにゲームを発売できた人は幸せなのかもしれません。なぜならゲームを世の中に出したという事は、そのゲームクリエイターのキャリアの一部にはなるからです。
「人生の2年間をそのゲームに費やしてきたのに、発表前にプロジェクト中止になってしまった」
というクリエイターの方がむしろ多く、彼らの貴重な人生の2年間を奪ってしまうほど、悲しい事はありません。
なぜならちょっとだけ「ロジカルドリブン」で道を示してあげるだけで結果は全く別のモノになっていたと思うからです。
③融合(フュージョン)するとゲームチェンチャーになれる
ハートドリブン思考、ロジカルドリブン思考、いずれかに強みを持つゲーム会社は多いのですが、「ハートドリブン×ロジカルドリブン」の融合(フュージョン)ができているゲーム会社はまだ存在しません。
でも、この重要性に気づいて誘導(フュージョン)したいと努力しているゲーム会社は存在します。
よって、「ハートドリブン×ロジカルドリブン」の融合(フュージョン)ができると一定期間(数年くらい)はライバルが存在しない「無敵状態」でゲーム事業を戦うことができます。
この「無敵状態」をいかに早く作り出せるかは重要です。
なぜなら、2021年以降、ゲーム業界、特にスマホゲームにおいては状態が大きく変わる可能性があるからです。
こちらでも少し書いていますが5G化によってスマホゲーム、PCゲームには大きな地殻変動が起きます。
家庭用ゲームではPS5が2020年末に発売されるとアナウンスされていますがPS2→PS3→PS4の流れからPS5による変化は予想できる世界ですが、スマホゲームはPS5のようにプラットフォームの変化がこれまでありませんでしたが、5Gになることでプラットフォームの変化に相当する地殻変動があると考えられるからです。 |
5G化によって具体的には
・動画プラットフォームの台頭(ゲームからの可処分所得を奪う) |
・ブラウザプラットフォーム・ブラウザゲームの再台頭(アプリストアに依存しなくてもリッチなゲームが楽しめる) |
・ゲームのリッチ化による開発費高騰、グローバル展開前提の開発が前提になる |
などを考慮しなければなりませんし、最近問題になっているコロナウィルス等の不確定要素にも耐えられるゲーム開発が必要です。
ここを突破できる手段は「ハートドリブン×ロジカルドリブン」の融合(フュージョン)だと考えています。ここに踏み込めたゲーム会社は、ゲームチェンジャー(市場ルールを変える人)になれるとトロネコは踏んでいます。
まとめ
今回、3回の連載企画としてハートドリブン×ロジカルドリブン思考について特集してみました。
いままで単発テーマで記事を書いてきましたが、連載企画は連続性があって面白いかもですね!
というわけで、今回はここまで!