【前編】ゲームのマーケティングスペシャリスト(マーケター)に必要な5つのこと

マーケティング

こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はマーケテイングスペシャリスト(マーケター)に「必要なこと」「やってはいけないこと」この両方で【前編】【後編】の2回に渡ってお話します。

今回取り上げた以外にも、条件はたくさんありますが全部は説明しきれないので、実際にトロネコが20年間、ゲームマーケターをやってきた結果、特にお伝えしたい点に絞って説明します。

新しい会社に転職したり、社内異動で新しい職場にJoinしたときに、今回紹介する項目を注意するだけでも、環境に適応し、今もっているスキルを発揮でき、かつマーケターとして成長し続けることができます。

ゲーム業界でマーケティングスペシャリストを目指す皆さんにとっての参考になれば幸いです。

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【厳選】 ゲームのマーケテイングスペシャリスト(マーケター) として必要な5つのこと

①論理的であり、感情的であり、常に謙虚であること

マーケターとしてはロジカルであり、数字に強く、マーケティングの定量、定性情報を元に進むべき道を示す必要があります。

ただし重要なのは

「論理思考だけでは一定の結果は出せますが、ゲーム業界では想定を超えた大きな結果を出しにくい」

という事実です。

なぜならゲームという商材は「人の感情を動かすエンタメ商材」だからです。
残念ながらエンタメ商材は、論理的思考だけでは対応しきれない部分があります。

なぜならエンタメとは常にユーザーの期待値を超えていく特性を持っており
論理的思考で推測できる領域も常にアップデートされていくからです。

10年前のゲームと現在のゲームに求められる「基準」が「同じではない」ように、論理的であることは重要ですが、論理的思考はその「過去体験」に縛られてしまうため「過度に論理思考過ぎると」時代に追い付いていけないという事実があります。

そこを埋めるのは「感情的思考」です。

これはどういうことかというと

常にいまのユーザー、ファンの感情の状態をウォッチしながら
常ににいまのユーザー、ファンの期待を超えていくものを探し出す行為を止めない、ということです。

ファンと同じ共感の感情をマーケター自身が持ち続けられるように、自らもゲームを自然に楽しめる状態を維持していく必要があります。

つまり「ゲームを仕事としてではなく、ユーザー感度を持って楽しめないとゲーム業界のようなエンタメ系マーケターは務まらない」というわけです。

でもゲーム業界で働いていると、「ゲームの仕事は、たまたま仕事としてやっているだけで、別にゲームが好きではない」という人もたくさんいます。

ゲームを仕事としてやっている以上、ゲームマーケティングスペシャリストにはなれません。なぜならユーザー感情を適切に理解できないからです。(理解できた気になっている止りでその先に進めないからです)

決してゲームオタク、マニアを推奨するわけではありません。
むしろ、 ゲームオタク、マニアはマーケティングマイオピア(近視眼的)になってしまうので、これもゲームマーケティングスペシャリストには不適切です。

論理的であり、感情的であり、それをミックスした状態がマーケティングスペシャリストには必要です

とはいっても、そんなレベルの高いことをどうすれば実現できるのか?と思いますよね?
これは「圧倒的な経験」「スキルの積み上げ」をしていくしかないのですが、それを支えているのは「謙虚さ」だとトロネコは20年のゲーム業界の経験から学びました。

「自分は正しい」「自分はできる」といった自信も必要ですが、必ずセットで「人や事象に対する圧倒的な謙虚さ」がマーケティングスペシャリストになつるための近い道です。

②特定分野だけでなく上流から下流まで全部網羅できる

ゲームマーケティングスペシャリストとしてのスキルは何か?簡単に説明すると次のようになります。

「SNS運用、デジタル広告、ゲーム内イベント設計・・・・・といった個々の施策のスペシャリストではない」
「上流のマーケティング戦略とか方針決定を得意としている人・・・・でもない」

上流から現場の施策まで全部網羅的に理解して、ひとりで全部、高いレベルでできる状態をマーケティングスペシャリストと定義します。

さらにゲームのマーケティングスペシャリストにおいては、マーケティングの定義である「モノが売れる仕組み」を「3つのマーケティング」で実践する必要がありますので、ゲーム開発の部分にも踏み込める必要があります。

マーケティングの定義、3つのマーケティングプロセスはこちらの記事を参照

これについては「理想が優先されて現実的ではない」という意見もあるかもしれませんが、ぜひここを目指してください。(当サイトでもそこに近づけるための記事を書いています)

一方で、Youtube、SNS、デジタル広告といった「木の枝葉の施策部分」や
マーケティング戦略、戦術、市場調査といった「木の幹の土台の部分」などで
優秀な人はいますが、それはマーケティングスペシャリストではありません。
なぜなら、それらパーツだけではゲーム事業を成功させるには役不足だからです。

分かりやすい例をあげてみましょう。

ゲーム会社の上層部:戦略、戦術、方針による会社の進むべき道が重要( 木の幹の土台の部分 )
ゲーム会社の現場担当者:施策による今期の事業計画達成が重要 (木の枝葉の施策部分)

こんな感じでポジションによって見ている世界が違います。

ゲーム会社の上層部はゲーム会社の現場に対して、「木の枝葉ではなく、幹を見るように」と指摘する場面がたびたび遭遇しますが、実は 木の枝葉ではなく、幹を見ても結果が出ません。

なぜなら、両方を網羅的に見て実行できる状態でないとゲーム業界では結果を出せないからです。

そこを埋めるのがマーケティングスペシャリストです。
そして、本来、ゲーム会社の上層部に立つ人はマーケテイングスペシャリストでなければなりません。

「細かい施策やデータとかユーザーの声とかは現場に任せています」ではダメなのです。

なぜなら、上層部が事業の判断をしますが、マーケティングスペシャリストでなければ適切な判断ができないからです。

③仮説検証、PDCA好き(否定から入らず、できる方法を考える)

会議をしていると、まずできない理由をあげて「否定から入る人」がいます。
そういう人は大体のケースで「否定するだけの評論家」だったりします。

一方で「否定するなら、対策をセットで発言しないと発言してはいけない」といった考えを押し付けをする人もいます。いわゆる「否定だけする人は、発言する権利ないよ」といった感じです。

これは両方ともマーケティングスペシャリストからは遠い状態であり、いずれも適切な状態とは言えません。

・否定から入っても構いません
・すぐに対策をセットで提示できなくても構いません

ただし、否定したくなる「ひっかかり」を感じ、その「ひっかかり」を解決する対策がすぐに見つからないなら、対策としてできる方法がないか思考を止めず(思考停止にならない)、常に自問自答を止めない、その状態を会議に参加しているメンバーを巻き込んで「考え続ける」というのが重要なのです。

マーケティングスペシャリストは「なぜ」「なぜ」「なぜ」を止めません。むしろ「なぜ」が好きであり「仮説検証」「PDCAサイクル」から得られる新しい示唆や、その示唆を元にした成長が好きで好きでたまらないのです。

前のパートでお話しましたがマーケティングスペシャリストにとって、マーケティングは仕事ではなく、ライフワークそのものなのです。

④ゼロイチもゼロヒャクの両方も得意だし大好き

いろいろな人と話をするとこんな事をよく耳にします

「私は0を1にするのが得意ですが、1を100にするのは不得意です」「トロネコさんは ゼロイチもゼロヒャクのどっちが得意ですか?」

マーケティングの定義=モノが売れる仕組み作り

という話をしました。

そしてそれを分解したものが「3つのマーケティング」という話をしました。ここからも分かる通りマーケティングスペシャリストには「ゼロイチもゼロヒャクも得意だし大好き」なのです。

ということは

「私は0を1にするのが得意ですが、1を100にするのは不得意です」「トロネコさんは ゼロイチもゼロヒャクのどっちが得意ですか?」

という質問の時点でマーケティングスペシャリストとしては不十分といえます。

しかし、実際には「ゼロからイチをつくる起業が好きだけど、ヒャクにグロース(成長)させるのは不得意」といった声を耳にします。

でも、得意不得意といっている状態は「自らの成長を諦めている」ようなものです。

「適材適所、人には得意不得意分野がある」という考え方は否定しません。でも、マーケティングスペシャリストになるには、その先に踏み出して欲しいのです。

なぜなら、踏み出せないと、もう戦いにならないくらいの世界がこれから待っているからです。

⑤言語化して人に教えることができる

当サイトでも何度もお話していますが、ゲーム事業はひとりではできないほど巨大化しており、百人から数千人規模のチームによる総合力で戦わないと戦いにならなくなってきています。

となると、もし企業に1人の優秀なマーケターがいても、彼ひとりではその企業を変えていくのは不可能です。

よって、マーケティングスキル、知識、経験を「言語化」して「人」に教えて
一緒に戦っていける人材育成を並行実施していかなければなりません。

マーケティングスペシャリストはこれらを「言語化」して伝えて、組織全体のレベルアップができなければなりません。

どんなに優秀なマーケターでもひとりではゲーム事業を成功させられず、上流から現場まであらゆるメンバーのボトムアップができる人が、真のマーケティングスペシャリストなのです。

まとめ

今回、「マーケテイングスペシャリスト(マーケター)に必要なこと」というテーマで話をしました。

ぜひ、日々の仕事の中で今回紹介した項目を注意しながらスキルアップに臨んで頂けますと幸いです。

次回は後編として「ゲームマーケティングスペシャリスト(マーケター)としてやってはいけない5つのこと」をお話します。

というわけで今回はここまで!