スマホゲームの開発段階からマーケティングのプロを参加させる6つのメリット

マーケティング

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はゲーム事業におけるマーケティングの関わり方についてのお話です。

最初に結論をお伝えすると

「ゲーム開発段階からマーケティングのプロをチームに参加させるべき」

となります。

逆を言うならば、サービス開始初動で失敗する多くのゲームは、ゲーム配信日から逆算してマーケティング担当をアサインさせているケースが多いのです。

つまり、「その場凌ぎのマーケティングごっこをしているだけ」とも言えます。

すいません。ちょっと言い過ぎました。

でも実際のところ、そういうケースが多いのです

そして失敗するゲームにおいて、アサインされるマーケティング担当も、名前こそ「マーケティング職」でありながら、実態はマーケティングのプロではなかったりします。

ゲーム開発段階からマーケティングのプロを参加させることで何が変わるのか?

参加させるべき6つの理由(メリット)をお話します。

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スマホゲーム・PCオンラインゲームの開発段階からマーケティングのプロを参加させる6つのメリット

①プロジェクトの進むべき道を間違わず、勝機ををあげられる

ゲームの開発段階からプロのマーケターを参加させることで、このプロジェクトが進むべき道を間違える確率を減らし、成功する確率をあげることができます。

なぜなら開発段階からマーケターを入れることで
いま作成しているゲームの企画書、開発中のゲームの向こう側に

「そのゲームを遊んでくれるユーザーは存在するのか?」

「そのユーザーはビジネスとして成立するだけの規模があるのか?」

「このゲームに対して課金(または購入)してくれる可能性があるのか?」

このゲームの成功を左右する要件を事前に分析して、ゲーム開発にインプットして、未来を変えることができるからです。

独りよがり、思い込みのゲーム開発ではなく、その先に見込みがあるのか?

わかった上でゲームを企画して、試作品(プロトタイプ版)を作って、本開発をができます。

そのためにプロのマーケターは、

過去の経験と知識と、今回のための市場調査やユーザーテストで仮説と検証を繰り返し、答え合わせをすることでゲーム事業の成功確率を高めることができます。

結果的に「プロジェクトの進むべき道を間違わず、勝機ををあげられる」というわけです。

ここはゲーム事業において非常に大きな役割を果たします。

なぜならゲーム事業の成功の80%以上はゲーム本編の面白さで決まるからです。

②事業計画と連携してゲーム内KPI設計できる

どんな面白いゲームであっても、ゲーム会社として利益を生まなければ存在価値はありません。ゲーム事業はボランティア活動ではなく、投資とリターンによって成立するビジネスだからです。

よって、ゲームごとに売上、利益目標が設定されており、会社の事業計画は作られます。

この事業計画を達成するためには、ゲーム内の各種KPIが達成される必要があります。なぜならKPIを達成することが、売上、利益を達成して、会社の事業計画を達成するからです。

そのためには、現在開発中のゲームのKPIについて適切に設計され、それは現実的に達成できる状態をゲーム開発段階から作り上げる必要があります。

スマホもPCオンラインゲームも実際にサービス開始してみないとわからないよ。

という発言をする人も中にはいますが、これはビジネスではなくギャンブルです。

ゲーム開発チームに全て任せておいて、開発段階から適切なKPI設計がされ、ゲーム内に反映されるなら開発段階からのプロのマーケターの参加は不要です。

でも実際には適切にKPIが設計され、ゲーム内に反映されることは稀です。

現在開発中のゲームにおいて

 

・目標ユーザー数は獲得できるのか

(新規ユーザー)

・1日あたりのアクティブユーザーは維持できるのか

(DAU=Daily Active Users:1日あたりの固有のプレイユーザー数)

・マネタイズ(課金)はまわるのか?どの程度になるのか

(PUR=Paid User Rate:DAUに対する課金ユーザー数)

・ユーザーのの生涯顧客単価はいくらになるのか

(LTV=Life Time Value:生涯顧客単価)

 

このような売上、利益に関するKPIを構成する要素が適切に設計され、ゲーム開発に反映され、それが現実に実行できる状態を作る必要があります。

ゲーム開発経験が豊富であったり、そのゲーム会社の社内において過去の膨大なデータが蓄積されていれば、ある程度、KPIとそれを達成するための開発方法の推測ができるかもしれません。

でも、ここで推測できるのは、あくまでも過去のデータから推測できる世界に過ぎません

スマホゲーム、PCオンラインゲームともに、日々進化し、日々トレンドが変化し、ユーザーも変化し続けています。

過去のデータや経験だけで未来を予測するには限界があるのです。

しかも、ゲーム開発の場合は開発に数年かかることがザラです。

 

ということは、過去のデータや経験に加えて、今、これからのユーザーや市場動向をミックスした上で未来を予測しながらKPI設計をする必要があります。

現状が不足しているならそこに対して改善策を提案して、ゲーム開発チームと一緒にKPI設計を行う、その結果、売上利益の目標を達成して投資ビジネスとして成功させる

この領域は、ゲームプロデューサーや開発担当者よりも圧倒的にゲームマーケティングのプロは得意とします。

③売りやすく、売れるゲーム開発ができる

その昔、ゲーム開発者からこんな話をされました。

このゲームは実際に遊んだら面白いので、プロモーションを使って多くのユーザーに遊んでもらう機会を作って欲しい

まず、言えるのはこのようなゲームは現在では売れません。

その昔、莫大な広告費をかけてTVCMなどのパワープロモーションをかけて遊んでもらえる機会を作れば「売れるチャンス」も作れた時代もありましたが、現在では難しいのです。

なぜなら、あまりにもゲーム市場がレッドオーシャンであり、競合が多いからです。

現在、売れるゲームの大前提として必要な条件は

「ゲームの見た目も面白そうに見えるし、実際に遊んだら面白くて病みつきになるゲーム」

なのです。

・ゲームタイトルを発表した瞬間にターゲットユーザーの心を掴む

・ゲームのスクリーンショットやPVを公開した瞬間に遊びたいと思わせる

・実際にゲームをプレイしたら事前の期待と一致して面白くて遊び続けてしまう

こんな状態を開発段階でつくる必要があります。

 

そのためには

・ターゲットユーザーは誰?

・ターゲットユーザーの趣味嗜好は?

・どんな見た目と実際の遊びでターゲットユーザーの気を引くことができるのか?

これらをゲーム開発にインプットできるとヒットの確率が上がります。

そして、これらを得意とするのがマーケティングのプロなのです。

 

具体例を挙げるなら、ターゲットユーザーの世代や属性によって、好きな女の子のキャラクターデザイン、タッチも異なります。開発する側が「可愛い」と思って描いた女の子のデザインタッチとターゲットユーザーの嗜好が全く合致していないケースも多いのです。

実際に遊んでみたら面白いゲームが作れたかもしれない

でも1枚のゲームのスクリーンショットに使われている女の子のイラストをみた瞬間に

あれ、なんか10年前のゲームのようなデザインだよな

と感じさせてしまったらユーザー獲得の際に苦戦します。

マーケティングのプロが開発段階から参加することで、ユーザーテスト、市場調査なども絡めながら「売りやすく」「売れるゲーム開発」ができるようになります。

 

 

④オーガニックユーザーを獲得する機能を実装できる

このゲームに200万人のターゲットユーザー規模があるとしましょう。

でも200万人すべてをプロモーションで獲得するこは100%不可能です。

その理由は

・お金の問題

・競合タイトルの存在

・プロモーション(広告)では動かないユーザーの存在

などが挙げられます。

 

例えば、このゲームのターゲットユーザーの規模が200万人として、そのうち100万人を配信1年で獲得するプランを立てたとしましょう。

でも実際のところプロモーションで獲得できるユーザーは統計的に100万人のうちの20%程度になります

これは先程お話した

・お金の問題

・競合タイトルの存在

・プロモーション(広告)では動かないユーザーの存在

が影響します。

 

残りの80%はオーガニック獲得(自然流入)する必要があります。

オーガニック獲得とは

・リアルなクチコミ

・SNS上でのクチコミ

・オンライン上でのレビュー

・ランキング

などが影響します。

この中でもオーガニック獲得において特に大きな影響力を持つのは「リアルなクチコミ」「SNS上でのクチコミ」です。

つまり、すでに遊んだ20%のユーザーによるクチコミが、残りの80%のユーザーを動かすのです。

そのゲームをプレイした20%のユーザーをどうやって活用するかが重要になります。活用方法としては次のようなことが考えられます。

①ゲームに友達を誘いたくなる機能を盛り込む(機能による対策)

②友達を自然と誘いたくなるゲームのコアな遊びを盛り込む(ゲームの面白さによる対策)

③友達との話のネタとして使いやすい要素をゲームに盛り込む(ネタの提供)

 

上記を達成する方法は幾つも考えられるでしょう。

なので、どんな方法が考えられるか皆さんでも考えてみてください。

ただし、多くのケースで「①ゲームに友達を誘いたくなる機能を盛り込む(機能による対策)」を選択しがちです。

機能による対応は、そのゲームを心の底から本気で気になって仕方ない状況をつくる上では力不足です。よって、②③にどこまで踏み込めるかが重要です。ただし①は開発の終盤に後付けて実装することも可能です。でも②③はそのゲームの本質に踏み込んだ話です。開発の初期段階から考えられていなければ対応できません。

つまり、プロモーション(宣伝)で獲得した20%のユーザーが「1対1の獲得」で終わらず、彼らが新たなユーザーを連れてくる「仕組み」がゲーム内に必要です。

下記の記事で「マーケティングとはモノが売れる仕組み作りである」と解説してきましたが、「仕組み作り」はマーケティングのプロが得意とする領域なのです。

⑤ゲーム離脱(リテンション)に繋がる原因を事前に解決できる

基本プレイ無料のスマホゲーム、PCオンラインゲームは

インストールした瞬間からユーザーが次々と辞めていくゲームです。

これは基本プレイ無料という「敷居の低さと」のトレードオフによってスマホゲーム、PCオンラインゲームの宿命です。

ゲームジャンル、ターゲットユーザー、ゲームの中身によって変動しますが一般平均としてインストールした翌日に50%のユーザーが辞めます。

 

ユーザーが辞める原因には様々なものが存在します。

ユーザーが辞める理由は全て事前に予測できる事ばかりであり、また、事前に解決できることなのです。

しかし、多くのゲーム開発の現場において様々な理由から事前に予測されていなかったり、予測できていても解決せずにゲームが配信されます。これは、ゲームを成功させたいという目的と矛盾する行為なのです。

・離脱要因を予測するための経験や知識がない

・ゲーム開発段階で解決する時間がなかった

・離脱要因を予測して解決もしたけど不十分だった

 

ゲーム開発現場ではこのような理由がゲーム離脱の原因となっています。

でも、ゲーム配信直後はそのゲームにおいて、最も重要なユーザーが遊ぶタイミングであり、そこでの失敗はその後のゲーム運営に大きな影響を与えます。

 

以前は初動の失敗を挽回できるチャンスはありましたが、近年は初動での失敗を挽回することは極めて難しい市況にあります

でも繰り返しますが、ユーザーが辞める理由は全てわかっています。

下記にまとめていますので、時間がある時にでもご覧ください。

 

そのためには

「これら離脱要因となる場所が開発中のゲームのどこにあるのか?」

「ターゲットユーザーにとって、その離脱要因はどれほど深刻で、どうすれば軽減できるのか」

「軽減するためのゲーム内の機能や対策は何か」

ここを明らかにして開発チームにインプットするだけでゲーム事業の成功率は劇的に変わります。

これらもゲームマーケティングのプロが得意とする領域ですし、あたり前にやるべきことなのです。

 

⑥事前登録開始から、ゲーム配信後までの運用計画が設計できる

トロネコは家庭用ゲーム、スマホゲームで20以上に渡ってマーケティングの経験があります。

家庭用ゲームにおいて「発売日」をゴールとするならば

スマホゲームやPCオンラインゲームにおいて「発売日」はゴールではなくスタートに過ぎません。

 

つまりスマホゲームや、PCオンラインゲームの場合、どれだけ配信前にファンを獲得して、事前登録を積み上げて、配信初日にインストールを獲得して、その結果、一時的に売上を獲得しても、そこはゴールではないのです。

あくまでもスタート地点に立ったにすぎず、ゴールはもっと先になります。

 

ここが理解できていると、ゲーム開発段階からゲームの運用計画がゲーム内外で連携した上で作成されている必要があります。

サービス開始時には少なくても3ヶ月、できれば6ヶ月分のゲーム内外の運用計画が完成して、すでに仕込まれつつある状況が必要です。

つまりサービス開始から3ヶ月から6ヶ月後の未来が開発段階から見えている状態で開発が進んでいるということになります。

しかも、それらはCBTやOBT、内部テストや蓄積された過去データによる仮説と検証から算出した精度の高い計画です。

これができていれば

・ゲームサービス開始後でゲーム内のコンテンツが不足も回避でき

・多くのユーザーが続々と辞めてしまう状態も回避でき

・仮にユーザーが辞めてしまったとしても、それを止めることも、戻すこともできます

なぜなら、事前に想定され対策が用意された状態だからです。

起こりうる未来を先回りして、対策を用意しておくのはプロのマーケターが得意とする領域です。

 

まとめ

今回、「ゲーム開発段階からマーケティングのプロをチームに参加させるべき」というテーマでお話しをしました。

残念ながら、本当の意味でこれが実行できているゲーム会社はまだ稀です。そして、今回お話した内容はマーケティングの仕事ではないという認識も根強く存在するのも事実です。

多くの現場では、マーケティングとはプロモーションであり、下記における「とどけるマーケティング」を指しているのが現実なのです。

でも、それではもう結果を出せないことは、これを読んで頂いている現場の最前線で戦っている皆さんなら、もう気づいていることでしょう。

マーケティング100リスト」でも解説していますが、従来のゲームマーケティングにおいて「マーケティング」とされていた領域は間違いなのです。

ここに気づき、一歩踏み出せるかがゲーム事業を変えられるかの境目になります。

トロネコはここを、ゲームプロデューサーの皆さんと一緒に変えたいと思っています。

 

最後に今回、ご紹介した内容についてご相談したいことがあればLINEチャットで無料相談できる「トロネコのカベウチ」をお気軽にご利用ください。トロネコがチャットでご相談に乗ります。

もちろんメールでご連絡いただいても結構です。

toro_neko2020@yahoo.co.jp

みなさまのお役に立てればトロネコは幸せです。