【2022年最新版】スマホゲームアプリ事業における基本的KPIの教科書|ゲームアプリマーケティングの基礎

スマホゲーム

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はスマホゲーム事業の現場で実際に使われている基本的なKPIについてご紹介します。すべてゲーム事業で使われているものばかりで、これらを一通りマスターすることはゲーム事業に関わる者としての必須科目です。

計算式や使い方だけでなく、実際に使う上での注意点などについても詳しくまとめましたのでご活用ください。

なお、ここに記載している以外にも多数のKPIは存在します。たとえばデジタル広告においては、さらにバリエーションは豊富です。

しかし、ゲーム事業において重要なのは

・ユーザーを獲得して

・ユーザーを維持しながら

・長期運用にあたって売上と利益が積み上げていく

これがすべてです。

ゲーム事業に関わる全ての人は、これが目的でなければなりません。よって、この目標に対してクリティカルに影響を与える重要なKPIだけに限って掲載しています。

つまり、ここに掲載していないKPIはあまり重要ではないのです。

ちなみにKPI(けーびーあい)とはKey Performance Indicatorの頭文字をとった言葉であり、重要業績評価指標という日本語に訳されます。いわゆる事業を判断する上での重要指標というものです。

過度にKPIに依存すると本質が見えず危険です

またKPIを過度に重視しすぎると、数字であるKPIに振り回されてしまい本質が見えない状況になります。

いわゆるマーケティングマイオピアという状態に陥ってしまうため非常に危険です。

KPIは現状を数字で可視化する上では大変役立ちます。

ただし、KPIからはその数字を構成するユーザーが「泣いているのか、笑っているのか、怒っているのか」まではわかりません。

なぜなら、怒って、いますぐ辞めそうな状態でもKPIはあがる事が多々あるからです。

よって、KPIだけを過信せず、必ず定性的データや、マーケターやゲームプロデューサーである、あなた自身の経験や感性も組み合わせて活用するようにしてください。

ここにマーケティングの本質がありますので、どうぞ忘れないようにしてくださいね。

また書かれているKPIについては随時アップデートしてまいりますので、予めご了承ください。

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スマホゲームアプリ事業における基本的KPI

ゲームアプリのユーザーアクティブに関するKPI

新規ユーザー

すべてのユーザーは必ず「新規ユーザー」としてゲームをはじめます。

そして「新規ユーザー」を獲得し続けることがゲームアプリとしての成長になります。多くのマーケターがもっとも重視しているユーザーであり、このユーザーを獲得するためにコストと時間をかけています。

離脱ユーザー

休眠ユーザーという表現をする人もいますが、既存ユーザが離脱した状態を離脱ユーザーと呼びます。

離脱ユーザーがゲームに復帰すると復帰ユーザーを呼びます。

一度、離脱させる経験をさせてしまうとゲームに復帰させることは非常に難しく

・離脱した原因への対策

・復帰への道筋

これらをセットで訴求しなければ復帰させられません。

離脱してからの経過日数が長いほど復帰は困難であるため、休眠させてしまうと基本的には復帰させることは難しくなってしまいます。そういった意味で「休眠ユーザー」という表現は適切ではない、と言う考え方もあります。

ちなみに長期離脱させてしまうと復帰が難しいため、離脱ユーザーの定義としては1週間から2週間程度の離脱状態(その間に1度もゲームをアクセスしていないユーザー)を指すことが多いです。

既存ユーザー

既存ユーザーとは、いま遊んでいるユーザーです。

言い換えるならば

「現在の売上」「現在のDAU」を構成するユーザであり、現在のゲーム運営を支えている大変貴重なユーザーです。

新規ユーザーは翌日には50%が離脱し、1ヶ月後には80%が離脱するとされています。そんな離脱を乗り越えて残ったのが既存ユーザーになりますので、

ゲーム自体が長期運営化すればするほど精鋭中の精鋭ユーザーともいえるでしょう。

既存ユーザーを維持できれば、現状のゲーム運営は維持できますが、既存ユーザーが維持できなくなると、ゲーム運営は行き詰まっていくのです。

DAU

DAU(だう/でぃーえーゆー)はDaily Active Usersの頭文字をとった言葉であり、その日にゲームをプレイしたユーザーの重複無し、固有数を指します。

DAUは「新規ユーザー」「既存ユーザー」「復帰ユーザー」から構成されます。よってDAUを維持、改善するにはこれら3つのユーザーの獲得と維持が重要になります。

DAUは遊んでいるリアルな数値であり、遊んでいるユーザーの中の一部がゲーム課金をするため、売上の変動要因として大きな影響力を持っているKPIでもあります。

MAU

MAU(まう/えむえーゆー)はMonthly Active Usersの頭文字をとったKPIです。

DAUはその日にゲームをプレイしたユーザーの重複無し、固有数を指しますが、MAUはその月にゲームをプレイしたユーザーの重複無し、固有数を指します。

MAUは当月のプロモーション状況によって数字が大きく変動するためリアルな現状を把握する上では使い勝手が悪いKPIです。

たとえば当月の上旬にTVCMを投下した結果、MAUは100万MAUになったとしても、TVCMで獲得したユーザーが当月の後半で全部離脱しているならば100万MAUの意味はないためです。

一方で、毎日はログインしてゲームを遊ばないけど1ヶ月の中で特定のタイミングだけ遊んでいるようなユーザーを把握する上でMAUは使えます。それらユーザーの実態を深く掘り下げることでアクセス頻度を高める施策を実施してDAUに転換させ、売上をあげることは可能だからです。

WAU

WAU(わう/だぶりゅーえーゆー)はWeekly Active Usersの頭文字をとったKPIです。

DAUはその日にゲームをプレイしたユーザーの重複無し、固有数を指しますが、WAUはその週にゲームをプレイしたユーザーの重複無し、固有数を指します。

MAUと同様、WAUも当週のプロモーション状況によって数字が大きく変動するためリアルな現状を把握する上では使い勝手が悪いKPIです。

一方で、毎日はログインしてゲームを遊ばないけど1週間の中で特定の曜日だけ遊んでいるようなユーザーを把握する上でWAUは使えます。それらユーザーの実態を深く掘り下げることでアクセス頻度を高める施策を実施してDAUに転換させ、売上をあげることは可能だからです。

HAU

HAU(はう/えいちえーゆー)はHourly Active Usersの頭文字をとったKPIです。

HAUはその時間帯にプレイした固有ユーザー数を把握するためのKPIです。毎日のゲームプレイの中でユーザーはどの時間にプレイしているのか?どんな施策に反応したのか?時間単位で把握することで施策の効果と、次へのフィードバックを分析することができます。

RR

RR(あーるあーる/りたーんれーと/りてんしょんれーと)はHReturn Rate、またはRetention Rateの頭文字をとったKPIです。

その他、継続率、リテンションという表現で使われる場合もみられます。

新規ユーザーはインストールした翌日には約50%が辞めてしまいます。よって翌日に辞めると2日目の継続率は50%となります。

具体的に下記のような表で継続率を算出していきます。

下記の記事でも詳しく解説しています。

 

実際にゲーム運営では毎日、新規ユーザー、既存ユーザー、離脱ユーザーが入り乱れてDAUが構成され、そして毎日、ユーザーが離脱していきます。

そして新規ユーザー、既存ユーザー、離脱ユーザーはそれぞれRR(継続率)が異なりますし、さらにゲームジャンルやゲーム内容によっても異なるのです。

RR(継続率)を知ることができれば、今日獲得したユーザーが1ヶ月後にどれだけ残存して、どのくらいの売上貢献をしてくれて、その貢献は当初の目標を達成しているのか?

といった計算ができます。

このような計算ができると健全で計画的なマーケティング戦略とゲーム運営ができるというわけです。

でも算出方法は難しいですよね。トロネコではこれら算出が一瞬でできるツールを用意しています。詳しくは下記の記事を参考にしてください。

ゲームアプリの課金・マネタイズに関するKPI

ARPU

ARPU(えーあーるぴーゆー/あるぷ)はAverage Revenue Per Userの頭文字をとったKPIです。1ユーザーあたりの平均客単価を示す数値です。

ARPU/DAUなら1日のDAUあたりの1ユーザーあたりの平均客単価を示す数値になり、ARPU/MAUなら1ヶ月のMAUあたりの1ユーザーあたりの平均客単価を示す数値になります。

つまりDAU、MAUといったアクティブユーザーとセットで使われるKPIですから売上をうまない無課金ユーザーの実態と、そこにかけているコストなどの分析をする上で使えるKPIとなります。

ARPPU

ARPPU(えーあーるぴーぴーゆー/あーぷ)はAverage Revenue Per Paid Userの頭文字をとったKPIです。課金ユーザーの1ユーザーあたりの平均客単価を示す数値です。

ARPPU/DAUなら1日の課金1ユーザーあたりの平均客単価を示す数値になり、ARPPU/MAUなら1ヶ月の課金1ユーザーあたりの平均客単価を示す数値になります。

基本プレイ無料のスマホゲームの売上は課金ユーザーからうみだされています。よって課金ユーザーの客単価の動向を分析することで、売上の維持と改善が可能になります。

のちほど出てくるLTVと混同する場合があるので注意しましょう。

LTV

LTV(えるてぃーぶい)はLife Time Valueの頭文字をとったKPIです。そのゲームで遊んでいる課金、無課金ユーザーを合算した獲得ユーザーの特定期間における生涯客単価を示す数値です。

たとえば獲得したユーザーがプレイ後、180日間で使うLTVの場合は180dayLTVと表現される場合もあります。

たとえば、想定180dayLTVが1000円のゲームにおいて、1ユーザーを宣伝で500円のコストで獲得した場合は

500円の投資で1000円のリターンが想定されることになるため、投資に対して2倍のリターンが見込めるということになります。

PUR

PUR(ぴーゆーあーる)はPaid User Rateの頭文字をとったKPIです。いわゆる課金率をさすKPIになります。

DAUに対して課金率をどれだけ上げられるかによって売上が変動します。DAUに対するPUをさすKPIとしてDPU(Daily Paid Users)というものもあります。

下記の図でも解説していますが、売上はDAUと課金率、課金単価から構成されます。そしてDAUは新規ユーザー、既存ユーザー、復帰ユーザーから構成され、それぞれのユーザーの継続率も異なるというわけです。

詳しくは下記の記事で書いていますので参考にしてみてください。

ゲームアプリインストール・デジタル広告に関するKPI

IMP

IMP(いんぷ/いんぷれっしょん)はWeb広告出稿における掲載回数を意味するKPIです。広告出稿に限らず、TwitterのSNS運用においてもIMPは重要な意味を持ちます。

こちらの記事でもAIDMA、AISASについて書いていますが情報の認知に相当するものがIMPだからです。

IMPにより情報を認知させることがプロモーションの第一歩であり、そこからゲームインストールにつなげていくことになります。

CTR

CTR(しーてぃーあーる)はClick Though Rateの頭文字をとった言葉であり、Web広告出稿において、掲載された広告をクリックする確率をさします。こちらも広告出稿に限らず、TwitterのSNS運用においても重要な意味を持ちます。

どんなに広告掲載をしてもユーザーの興味を全くひくことができなければ意味がありません。CTRはまさに興味をひくことができたユーザーの数でもあるのです。

CVR

CVR(こんばーじょんれーと/しーぶいあーる)はConVersion Rateの頭文字をとった言葉であり、Web広告出稿において、掲載された広告をクリックした結果、ゲームをインストールした確率をさします。こちらも広告出稿に限らず、TwitterのSNS運用においても重要な意味を持ちます。

CPI

CPI(しーぴーあい)はCost Per Installの頭文字をとった言葉であり、1インストールを獲得する上でかかったコストを示します。

こちらもWeb広告に限らず、あらゆる施策においてCPIは算出可能です。

ゲーム事業の評価・効果検証におけるKPI

ROI

ROI(あーるおーあい)はReturn On Investmentの頭文字をとった言葉であり、1インストールを獲得する上でかけたコストに対する、リターンの係数を示すKPIです。

たとえば、想定180dayLTVが1000円のゲームにおいて、1ユーザーを宣伝で500円のコストで獲得した場合は

1000 ÷ 500 = 2 (ROIは2.0になります)

500円の投資で1000円のリターンが想定されることになるため、投資に対して2倍のリターンが見込めるということになりますので、これは投資としては優秀です。

一方で想定180dayLTVが1000円のゲームにおいて、1ユーザーを宣伝で1000円のコストで獲得した場合は

1000 ÷ 1000 = 1 (ROIは1.0になります)

1000円かけて1000円の利益しか生まないユーザーを獲得することは投資としては失敗です。もちろん、ROIが0を割っても投資し続ける価値があると判断される事業フェーズもありますが、基本的にゲーム会社の多くでは最低でもROI1.2、健全ならROI1.4以上がないと投資の価値がないと判断されます。

なぜなら、あまり儲からないプロジェクトに投資するより、他の事業に投資した方が良いと判断するのが会社経営において一般的だからです。

 

ゲーム事業頻出KPIまとめ

最後にゲーム事業でよく使われているKPIについて改めてまとめておきましょう。

ゲーム運用においては下記でほぼカバーできています。

(Web運用広告などにおけるKPIは除外しています)

 

あらゆる運用型のスマホゲーム、Webサービス、オンラインゲーム

そして、売り切り型の家庭用ゲームでさえも、次の方程式でビジネスとしての成功を説明できます。

 

継続モチベーションと課金モチベーションが同時に成立した瞬間にゲーム事業は成功します。

片方だけでは成功しません。

2つのモチベーションについては下記で詳しく解説しています。

 

継続モチベーションと課金モチベーションに対して、KPIが存在します。

つまり我々が日々向き合っているKPIは

ゲーム事業を成功させるための方程式の一部を担っていることになります。

 

なお、これだけのKPIがありますが、全てチェックする必要はありません。どれを重視するかは、ゲームタイトルやそのゲーム会社の方針に大きく依存します。

モチベーション KPI 詳細 読み方 定義 備考
継続モチベーション
DAU Daily Active Users ディーエーユー、またはダウ 重複なし、1日あたりのユニークユーザー数 現状をリアルに知ることができる
WAU Weekly Active Users ダブルーエーユー、またはワウ 重複なし、1週間あたりのユニークユーザー数 曜日による行動特性を把握できる
MAU Monthly Active Users エムーエーユー、またはマウ 重複なし、1ヶ月あたりのユニークユーザー数 大型プロモ、ユーザー属性の影響を受けやすい
HAU Hourly Active Users エイチーエーユー、またはハウ 重複なし、1時間あたりのユニークユーザー数 時間軸による行動特性を把握できる
RR Return Rate/Retention Rate リターンレート、リテンションレート、またはアールアール、シンプルに継続率と呼ぶ場合もあり ゲームをプレイしたユーザーの継続プレイ率
day1RRからday180RRまで、特定の期間における継続率を指す
どのタイミングでユーザーが離脱しているのか把握できる
課金モチベーション
ARPU Average Revenue Per User エーアールピーユー、またはアルプ ゲームをプレイした全ユーザーにおける課金単価 獲得ユーザーの質を把握できる
ARPPU Average Revenue Per Paid User エーアールピーピーユー、またはアープ 課金ユーザーにおける課金単価 最重要ユーザーの質を把握できる
PU Paid Users ピーユー 課金したユニークユーザー数 獲得ユーザーの課金意欲を把握できる
PUR Paid Users Rate ピーユーアール ゲームをプレイした全ユーザーにおける課金率 獲得ユーザーの課金意欲を把握できる
LTV Life Time Value エルティーブイ 一定期間における課金総額、顧客生涯課金額
day30LTV、day60LTV、day180LTVなど特定の機関における顧客生涯課金額を示す
獲得ユーザーの質を把握できる
ゲームの内容やユーザー属性によって重視するLTVは異なる
例えばハイパーカジュアルゲームの場合はday30LTVのみを採用する場合が多い
継続モチベーション×課金モチベーション
ARPUDAU Average Revenue Per UsersDAU エーアールピーユーダウ、アルプダウ DAUに対する平均課金単価 DAUと課金単価の分析に使う
ARPUWAU Average Revenue Per UsersWAU エーアールピーピーユーダウ、アルプワウ WAUに対する平均課金単価 WAUと課金単価の分析に使う
ARPUMAU Average Revenue Per UsersMAU エーアールピーピーユーマウ、アルプマウ MAUに対する平均課金単価 MAUと課金単価の分析に使う
投資指標
ROI Return On Investment アールオーアイ 投資収益率、広告費に対する利益を表す指標 ROI = LTV ÷ CPI
ROI1.1を超えたら投資する価値あり
企業によってROI1.5を超えないと投資価値なし、といったような基準を設けているケースも多い
ROAS Return On Advertising Spend ロアス 広告費に対してどれだけの売上をあげられたのか表す指標 売上は上がっても利益が出ていると限らない
ゲームによって売上が上がるタイミングが異なる
CPI Cost Per Install シーピーアイ 1インストールユーザーの獲得コスト アプリ配信の時間経過や獲得方法によってCPIは変化する

最後に

KPIの読み方はゲーム会社によってバラツキがありますので、自社内でどれを使うか統一することをお勧めします。

またKPIの定義についても厳密にはゲーム会社や開発会社でバラバラだったりしますので、ここも定義をしっかり統一することが重要です。

自社のゲームタイトルごとにKPIの定義がバラバラだったり、担当者ごとに言語統一されていない場合は間違った判断をしてしまうことがあるからです。

 

まとめ

今回、様々なKPIについて解説してきました。

KPIの意味を知ることも重要ですが、実際に運用することがもっと重要です。

トロネコではスピーディーに、かつ誰にでもわかりやすい形で運用ができるように様々な独自ツールを用意しております。

KPIの使い方、分析の仕方、実運用への落とし込みなど、ご不明な点やご相談したいことがあればメールでご連絡ください。

みなさまのお役に立てればトロネコは幸せです。