こんにちは、ゲームマーケターのトロネコです。
今回はスマホゲームアプリのマーケティングとしては、外すことができないTwitterを使ったプロモーションについて、お話していきましょう。
いわゆる「ファン・コミュニティマーケティング」という、最近トレンドのマーケティング手法です。
しかし、コミュニティマーケティングを語るにあたっては、「ファンとの距離感」とか「ファンの作り方」みたいなコミュニティ的な話題や、あとは「インフルエンサー」といったネット上で影響力を持つタレントによる発信の話になりがちです。
でも、具体的にどうやって使いこなしたらいいのわからないですよね?
Twitterってどんな特性があるの?といった基本的な話や、特性を踏まえてどうすればいいの?的な踏み込んだ話など、今回はTwitterを使った施策設計に役立つ核心に迫った話をします。
ツイッターの特性整理(LINEと比較してみよう)
まずはTwitterの特性について整理しておきましょう。
国内における2大SNS(ソーシャルネットワーク)といえば、TwitterとLINEですね。
でも、同じSNSだけど、TwitterとLINEではまったく特性が異なることを理解しておく必要があります。ざっくりまとめると次のようになります。
LINE | ||
伝達力 | △ | ◯ |
拡散性 | ◯ | × |
期待できる効果 | 新規ユーザーの獲得
離脱ユーザーの復帰 |
既存ユーザーの維持 |
期待できない効果 | 既存ユーザーの維持 | 新規ユーザーの獲得
離脱ユーザーの復帰 |
費用対効果 | ◯ | △ |
この表は非常に重要です。TwitterとLINEでは媒体特性が全く異なるので、目的と役割を使い分ける必要があるということがわかります。
特にTwitterは情報を拡散してリーチを稼ぎ「トレンドをつくる」媒体です。
さらに重要なのは、過去や未来でもなく「いま」を語る媒体です。
「リーチを稼ぐ」×「いまを語る」=「いま何かムーブメントを起こす」という目的や役割とは非常に相性がいいのです。
一方で、Twitterで未来や過去の話をしても、Twitterフォロワーの心理状態を考えると、あまり興味がないのでTwitterでは埋もれがちです。この特徴を知っておくのと知らないではTwitterを使った施策設計に大きな違いが出ます。
一方、LINEは開封率が極めて高いショートメッセージのようなもので、開封したユーザーのアクションを促すレスポンスが期待できるSNSです。
Twitterは拡散によってリーチを稼げるけど、その投稿から即時的なアクションが見込みにくいという点があります。一方で、LINEはプッシュ投稿を送った瞬間にレスポンスが期待できるというわけです。
のちほどお話しますが、このLINEならではの媒体特性がスマホアプリの事前登録においてはTwitter < LINEの方がインストール転換率は高い理由になります。
つまり、LINEとTwitterでは特性が全く異なるのです。この特性を理解せず、バナーもテキストも全く同じ投稿をTwitterとLINEで運用しているような場合は、媒体特性を活かすことができません。
実はほとんどのゲーム会社がLINEとTwitterの特性を理解した運用ができていません。
でも、媒体特性を理解して、運用をちょっと変えるだけで劇的に状態が改善することができます。
TwitterとLINEについて、もう少し踏み込んだ形で特性を整理すると下記のようになります。
Twitterは新しいユーザー、一旦やめてしまったユーザーを取りにいくための「攻めのSNSツール」
LINEはいま遊んでいるユーザーを辞めさせないように維持し続ける「守りのSNSツール」 |
このように「攻めのSNSツール」「守りのSNSツール」という切り分けができると、それぞれの役割も明確にできます。
SNSの使い方は国や地域によって異なる
ちなみにトランプ大統領もTwitterを使っていることで有名ですが、これを見るとアメリカでもTwitterはスマホアプリのプロモーションツールとして使えそうに感じるかもしれません。
しかし実際のところアメリカではTwitterはメジャーではなく、日本では軽視傾向にあるFacebookに重きを置いています。これはTwitterよりもFacebookによるリアルな人間関係に紐づいた情報の方がプロモーション上での価値が高いからです。
よって日本のプロモーションをそのまま海外で展開してもうまくいかず、ゲームの中身のカルチャライズとセットで、ゲーム外のカルチャライズも行う必要があります。
海外マーケティングについては下記で詳しく説明していますので時間があれば読んでみてください。
【保存版】海外ゲームマーケティング攻略方法【ユーザー特性の違いを理解しよう】
アプリ配信フェーズ別でみるTwitterの効果的な設計方法
さてここからはスマホアプリのフェーズにあわせたTwitter施策の設計方法についてご紹介していきましょう。
なぜ、スマホアプリのフェーズにあわせて紹介するのかといいますと、フェーズごとにTwitter運用の役割が変化するためでして、その変化を踏まえた設計ができていないと効果を最大化できないからです。
そうなんです!Twitterの活用方法はスマホアプリのフェーズによって変えなければならないんです。ここ結構重要です!
【アプリ配信前】事前登録キャンペーンでの活用
アプリ配信前のTwitterの主な役割として使用されるのが「事前登録媒体」としての役割です。
事前登録媒体としてはTwitter、LINE、メール、アプリストアなどがありますが、twitterの事前登録に寄せるべきです。むしろTwitterだけでもいいくらいです。
なぜ、Twitterを事前登録媒体としておすすめなのか、ざっくりまとめると
アプリ配信前も、アプリ配信後も、運用資産として使えるからです。
運用資産とは情報を発信するメディアとしてずっと使えるという意味です。
事前登録フェーズでTwitterをフォローしていただくことは、例えるなら、あなたのゲームに興味を持ってくれた「ファンと連絡先を交換するようなもの」です。
連絡先を交換すれば、ゲームをやめてしまっても、戻ってくるようにファンレター(=Twitter投稿)を送ることができます。
そのファンレターが辞めてしまった人の心を動かせるかは、また別の課題なのですが連絡先を知っているということは、そういったアクションがとれるというわけです。
一方で、こちらの記事でも説明していますが、ファンの連絡先がわからない使い捨ての事前登録媒体は極力避けるべきだと思います。やってはいけない、とまで言いませんが目的と役割を明確にしておく必要があります。
「事前登録とはファンとの連絡先交換である」
これはトロネコがずっとゲームマーケティングの現場で言い続けていることです。この概念があるか無いかでマーケティング戦略や、施策設計に大きな影響を与えます。
【アプリ配信前】ファンマーケティングでの活用
事前登録で積み上げたTwitterフォロワーという名前のファンは、フォロワー数も重要ですがフォローしているファンの「状態」も重要となります。
たとえば金券や金銭的価値があるもので釣ってTwitterフォロワーを積み上げたり、広告で積み上げたり、見た目のTwitterフォロワーを増やすのは簡単です。
でも、そうやって増やしたtwitterフォロワーは「正真正銘のファン」ではありません。
よってフォロワーとしての状態は良くなく、Twitterによる情報拡散の媒体力として活用できません
なので、見せかけの事前登録数を積み上げることは、全く無意味なのでフォロワーが稼げない本当の原因に踏み込むべきなのです。
一方で、自然な形で多くのファンをTwitterフォロワーで獲得できても、そのファンを満足させ続けられなければ離れてしまいます。
冒頭でもお話した通り、twitterは「いまを語る媒体」なので、常に「いま」何を提供してくれるのかが重要です。いつ配信されるかわからない「遠い未来」のゲーム配信を語るには相性が悪いんです。
だから、Twitterフォロワーとしてファンを獲得できたら、そのファンを満足させ続ける「コンテンツ」もセットで事前に用意しておく必要があります。
トロネコの場合も、必ずそれらをセットで考えるのですが、一方でゲーム開発を簡単に延期してしまったりされると、1ヶ月ならまだしも半年とかされると維持するには限界がありますよね。
よってファンマーケティングを考える上でゲームの開発遅延とか延期はあってはならないことで、そういう意識作りもマーケターの仕事なのです。
長い間、家庭用ゲームのマーケティングをやっていましたが、家庭用ゲームの開発チームのスケジュールに対する意識の高さに比べると、スマホアプリの開発チームは意識が低いように感じます。
【アプリ配信直後】インストール誘導
ゲームアプリが配信されるとTwitterフォロワーに対して
「ゲーム配信開始しましたよー!」
と投稿で伝えてインストールして頂くわけですが、これによって実際にインストールしてくれるのが事前登録からアプリインストールの転換率(CVR:ConVersion Rate)というわけです。
Twitterは投稿が流れて、埋もれてしまう「いまを伝える」媒体ですから転換率(CVR)は平均30%くらいとなります。
よって配信直前に1万人フォロワーがいても3,000人しかインストールしない計算になります。
この転換率 (CVR)は以下4つの要因で変動するため、ここをこだわれば転換率をもっとあげることはできて、もっと多くのインストールを獲得できます。
①Twitterフォロワーの状態
LINEは友達から嫌われると即ブロックされますが、Twitterは嫌われてもアンフォローされず放置される媒体特性があります。なぜなら情報が流れる媒体なのでブロックしなくても流しておけばいいとユーザーは考えるんですね。となると見た目は1万人フォロワーがいるけど、5000人しか実在しない、関心を持っていない場合もあるのです。
②Twitterフォロワーの集め方
ゲームの魅力とは関係ない金券や何かしらのインセンティブで集めたフォロワーは状態が良く無いので、転換率を下げる要因になります。繰り返しお伝えしますがフォロワーの集め方は重要なのです
③ゲームジャンル、タイトルパワーなど
版権キャラクターモノと、完全新規のゲームでは、そもそもそのゲームに対する関心度が全然違いますね。これも転換率に影響を及ぼします
④Twitter投稿の時間、タイミング
わかりやすい例をあげると早朝6時にtwitter投稿をしても見てくれないのは明らかです。Twitterは流れる「いま」を語る媒体ですから投稿時間は重要です。ターゲットユーザーがどこまで明確にできているか次第ですが、ターゲットの通勤時間、お昼休み、お風呂に入って一休みしている寝る前など、行動特性によってTwitter投稿の価値は大きく変動します。
【アプリ配信後】新規、離脱ユーザー獲得
Twitterが優れているのは媒体としての拡散性であり、これはLINEやその他メディアにはない魅力です。よって、この媒体性を活かすことで
・新規ユーザー
・辞めてしまった離脱ユーザー
に対しても情報を届けることができるのでTwitterは新しいユーザー、一旦やめてしまったユーザーを取りにいくための「攻めのSNSツール」という役割を果たせます。
と考えると
・事前登録ではTwitterに寄せるべきですし(寄せることで媒体力がつく) |
・Twitterフォロワーの集客方法も考えるべきですし(フォロワーの質が媒体力を決める) |
・そうやって配信前からコツコツ積み上げてきた資産が配信後の運用フェーズで「攻めのSNSツール」として使えるか、影響してくるのです。 |
よって事前登録は単なるた事前登録ではなく、そのタイトルの1年、2年後の未来の運命を決める重要な施策です。
これが当サイトでも以前に書いた「点」ではなく「線」で考えられるかという話にも繋がってきます。多くのマーケターができていない領域だったりします。
どうしても、その場しのぎ、その時の売り上げやKPIの達成しか見えない人が多いんですが、これはマーケターとしてはイケていません。
絶対にやってはいけない間違ったツイッターの使い方
最後に絶対やってはいけない間違ったTwitterの使い方を1つだけお話しましょう。
ゲームマーケティングにおいて以下は絶対にNGです。でも普通に使っているTwitterは多く、すごく勿体無いことをしているので注意してください。
「Twitterを既存ユーザーへの情報伝達ツールとして使う」
例えばゲーム内のガチャイベントの告知、ゲーム内メンテナンスの告知など、そういった用途としてゲーム業界ではTwitterが使われる場合があります。でもこれは絶対にやってはいけません。
なぜなら、Twitterは「新規ユーザー」「離脱ユーザー」に対して情報をリーチさせるために有効なツールであり、そこに振り切ることで活かせるからです。
Twitterフォロワーに既存ユーザーもいますが、ゲームをプレイしていないけど興味を持っていてフォローしているユーザーや、かつて遊んでいた離脱ユーザーも多く存在します。
新規ユーザー、離脱ユーザーにとっては「課金ガチャ」「ゲーム内メンテナンス」の情報はどうでもいい話であり、拡散する価値もありません。
すごく踏み込んだ本質的な話をすると
「課金ガチャ」「ゲーム内メンテナンス」はゲーム内で既存ユーザーに伝えればいいですし、それができないなら、ゲームに近い場所に既存ユーザーが集うコミュニティを開発段階からセットで用意しておくべきなのです。
でもそれを怠っていて、用意していない、できないからTwitterでなんとかしようとしているだけで、根本的な解決になっていないのです。
Twitterで「課金ガチャ」「ゲーム内メンテナンス」の告知をすることで、Twitterを使った「新規ユーザー」「離脱ユーザー」獲得施策は効果を出しにくくなります。
なぜなら、そのTwitterは企業都合による様々なユーザー向けの情報が混在することで、フォロワーにとってそのTwitterをフォローし続け、情報をウォッチし続ける理由が薄れてしまうからです。
まとめ
Twitterのフォロワー資産を有効活用するためはTwitterは「新規ユーザー」「離脱ユーザー」向けと割り切って使う事がおすすめです。
既存ユーザー向けの情報伝達媒体としてはLINEを使うか、または「ゲーム内」または「ゲーム内からの動線を作った別の場所」で情報伝達できる手段を用意するようにしましょう。
というわけで今回はここまで!